読割 50
電子書籍
猫はなぜ絞首台に登ったか
著者 東ゆみこ (著)
18世紀のヨーロッパで起こった猫の逆さ吊り事件。なぜ、猫が有罪になり、吊され、人々から笑われたのか。古代までさかのぼって見えてきた意外な思考の形。
猫はなぜ絞首台に登ったか
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
猫はなぜ絞首台に登ったか (光文社新書)
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
日常生活からの神話学入門
2004/07/21 18:00
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず、タイトルがうまい。 手にとって中を見てみたくなる。
一方、帯には「イヌ、ウシ、ウマ、ブタ……みんな裁判にかけられた! 18世紀、パリ、ロンドン、人々の娯楽は残酷でした」とある。池上俊一『動物裁判』(講談社現代新書)のような内容なのだろうか、或いは動物保護政策のはじまりを論じた本なのかな、とも思う。
ところが、「はじめに」を一瞥すると、神話学の重要性が説かれているではないか。
うーむ、わけが分からないが、読んでみたくなる気持ちを抑えきれない。で、読んでみたところ、これはなかなかの本だと感じ入った。
話の発端は漱石が所有していたホガースの版画である。ホガースは18世紀に活躍した英国画家であるが、この作品には犬や猫、小鳥をいじめる少年たちが描かれている。とりあえず、ここから著者は当時のロンドンでは動物虐待が人々の娯楽となっていたという事実を確認する。
しかし話は次の章で思わぬ方向に転回していく。著者はさまざまな学問上の方法を駆使して、労働者と使用人の対立、カーニヴァル、都市化、産業構造の変化、そして豊饒神をめぐる祭に言及し、一見他愛のない動物いじめの版画にさまざまな見方があることを明らかにしてゆくのである。それは言い換えれば人間の生活の多面性を指摘してゆく作業であり、究極的には、人々が大昔の祭儀を無自覚のうちにであれ繰り返しながら生きているという神話学の主張を証明する仕事でもあるのだ。
本書は大学での講義をもとにしたものだそうで、ですます調で書かれた文章はたいへん分かりやすいし、興味深く読み進めることができる。個々の分析手法は既存の学問から借りてきたものであり、必ずしも著者独自の方法が提唱されているわけではないが、狭い専門性にこだわらずに物事の多様な見方を身につけていきたいという人にはお薦めできる本である。
紙の本
出版社からのオススメ
2004/07/25 03:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:光太郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
パリで起こった「ネコの皆殺し事件」。ロンドンの少年たちの「残酷」なふるまい。人々の「娯楽」に秘められた謎の答えを、神話学的観点から探求する。新しい神話学の入門書。
[目次]
第1章 十八世紀、猥雑のロンドン
第2章 コンタは見たー印刷工たちのパリ
第3章 都市の詩学
第4章 この世は笑う
第5章 絞首刑のアーケオロジー
第6章 穀物霊と神話の力
[著者について]
日本女子大学・学習院女子大学・都留文科大学
等の非常勤講師。専攻は神話学。