電子書籍
悪霊と辺縁意識
2019/08/06 10:24
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投稿者:まさな - この投稿者のレビュー一覧を見る
クリスチャンとして、悪霊(悪魔)の働きに関する実態を知りたいと読んで見ました。
人間を破滅に導こうとする悪の勢力は確かに存在するが、どんな方法でどんな経路を通って私達に影響を及ぼすのか。
この本では辺縁意識という言葉を用いていて、ここに普段の生活で感じる心の動きと霊的な影響についてのヒントが隠されていると思います。
ふとした考え一つでさえ支配出来ない自分に気付き謙虚な気持ちにもなった。
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加賀乙彦の誠実な人柄がよく表れた書。こういう希望を持った人が少なくなったのが現代日本の問題点なのかな。
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本書の主題は「自分の頭で考えろ」ということです。悪魔のささやきというと甘言を用いて人をそそのかすようなイメージですが、本書では自己内面の考えることの放棄について扱っています。
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本の、最初の方(犯罪者とのお話)に興味がありました。
が、後半あまり興味のない宗教観のお話とかが出てきて、いや、必要なことなんだけど、ちょっと楽しかった半分・期待はずれ半分でした。
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凶悪犯罪、自殺等を起こす瞬間、人間に囁く”悪魔”について書かれた本。
つい先ごろ「悪魔に命令された」という理由で犯罪を行ったケースがありましたが。
そこまで明確な存在として認識される場合でなく、”魔がさす”や”なんとなしに”といった虚ろな状態での話。
だから命令ではなく囁き。もっと曖昧なもので誰もが起こり得る状態について扱っている。
人間は昔から善にしろ悪にしろ影響力をもつ自分ではない”何か”の存在を感知するようで。
自らの言動を外的要因にする心の構造…とか読めたらいいなと思いましたが、ちょっと違った。
本当に悪魔の存在を肯定する本でもないですが、罪に対する言い訳ではない”悪魔に取り付かれたように自我のなくなる瞬間”というのは肯定している。
何故そういった状態になるのかというと、知識の欠如・自分の意見を持っていないこと・ストレスフルな社会などが挙げられるそうです。
そのため圧力やら挫折やら不満を感じた時に後先も考えず意思無く谷底へ向かって自ら突っ走ってしまう。
情報の氾濫した社会であるのに知識が欠乏し、個の権利が主張されている時代なのに個としての意見を見失っているっていうのは皮肉だなと思いました。
口述筆記で書かれた本ということで、内容は聖書から最近の犯罪における”悪魔”まで広くライトに書かれていて読みやすい。
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犯罪者が事件後によく口にする「悪魔にささやかれて・・・」という言葉。本当に悪魔がるのかいないのかは、わからないところだが、誰しもがふっと心の隙を疲れる可能性はあるのだ。
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何か過ちを犯してしまったときによく聞く「悪魔にささやかれて」とか、「魔がさして」という言葉。その悪魔とはいったい何なのかを記した本。ただの言い訳としてではない現象として追求してみようっていう。ただ体験談のインタビューや犯罪の話で読者に刺激を与えるだけで終わらすんじゃなくって、第二次世界大戦前後の歴史から日本人の精神構造を分析したり、宗教としての悪魔も参考にしたりと、読み応えアリ。しかもわかりやすい。ちゃんと筆者が考えた対策までも述べられている。己の人格をちゃんと意識しろと、集団に流されない個をちゃんと持て、考えることを止めるな、逃げるな、ということですね。簡単そうに思えて、けっこう難しい。自分も非常時にはどうなってしまうのか、ちゃんと自分を保てるのか、悪魔にささやかれないか自信はありません。
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筆者は人間の弱さやずるさにつけ込み引きずり出すものを「悪魔のささやき」と呼ぶ。死を意識したり、犯罪を犯すとき、ポンと背中を押すような「ささやき」だ。
おかしいと思う政治の流れを食い止められないのは流されやすさだ。そこには「無意識の個人内情報操作」が働いているという。つまり「見たくないものは見ない」傾向だ。ネット情報から自分の望む情報だけを探し、私たち自身が自分をだますことは続いている。また、「自分と自分の周辺だけが大事」なミイイズムもはびこっている。未来に希望が見いだせないプリゾニゼーション(社会の刑務所化)によって関心の狭隘化が起きているのだそうだ。長い拘禁状態で長期囚が自分の生活以外の興味関心をもたなくなるように。
悪魔を避ける方法として、考える主体を「私」に置き、視界を360度に広げはるか遠くを見はるかすことなど、いくつかの提案がされている。
結局、本を読め、想像力を働かせよ、人格を磨けetc……という基本的なことに尽きるのだ。
作成日時 2007年08月12日 11:33
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口述筆記ということもあって、わかりやすく平易な文章です。
「悪魔のささやき」としか言いようのない、心理的な動きはありますね。
拘置反応やプリズニゼイションなど、なるほどなと思わせてくれる記述もありました。
悪魔の誘惑を避ける方法で、自分の考え方を持つと言うのがありましたが、別の言い方をすれば大衆であり、愚衆であるということかなと思いました。
大衆は流されやすく、自分を見失いやすく。
だからこそ、おろかであると思うのです。
加賀乙彦氏の言わんとすることろは理解できますが、万人に期待することは不可能な気がする。
歴史は繰り返さざるを得ないということです。
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精神科医、心理学者として、日本人の心を見つめてきた著者が、戦前の軍国主義、オウム真理教事件など数々の実例をもとに、その正体を分析。想像を越えた凶悪な犯罪が次々と起きる現代日本の危うい状況に警鐘を鳴らす。
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インテリの視点であって、誠実な感じはする。この人は作品を一貫して書いてるなーと思った。ただやはりこれは口述筆記ということもあって、そこまで綿密ではないけど読み物というか「加賀乙彦というひと」ってテーマも読めるなー。面白かった。
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-各々(特に日本人)は自分の思想を持つべき
たくさんの情報を比較し、どれが正しいかを客観的に判断した上で「私はこの道をとる」というプロセス
「集団の和を第一義に考える人間よりは、個を重んじる個から発してコミュニケートしていこうとする人々のほうが悪魔のささやきに対して耐性がある」
-私たちは、犯罪者を犯罪者としてカテゴライズすることで、自分とは異質な人とさげすみ、拒絶しがち
これは誰の心にも棲んでいる悪魔性を否定したいとする表れ。
<人間から攻撃的な性質を取り除くなど、できそうにもない!>parフロイト
-目は自分の見たいものを見れる。他方、耳には選択の自由がなく、すべての音が聞こえてくる。だから悪魔のささやきが聞こえる。
-悪魔のささやきの対処法
単調な社会生活からの脱出、偏見や自己防衛から脱皮し多くの情報を得、客観的に物事を見る
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[ 内容 ]
人は意識と無意識の間の、ふわふわとした心理状態にあるときに、犯罪を犯したり、自殺をしようとしたり、扇動されて一斉に同じ行動に走ってしまったりする。
その実行への後押しをするのが、「自分ではない者の意志」のような力、すなわち「悪魔のささやき」である―。
精神科医、心理学者、そして作家として半世紀以上にわたり日本人の心を見つめてきた著者が、戦前の軍国主義、六〇年代の学園闘争、オウム真理教事件、世間を震撼させた殺人事件など数々の実例をもとに、その正体を分析。
拝金主義に翻弄され、想像を超えた凶悪な犯罪が次々と起きる現代日本の危うい状況に、警鐘を鳴らす。
[ 目次 ]
はじめに 二十一世紀の日本を蝕む悪魔のささやき
第1章 悪魔はいかにして人を惑わすか
第2章 日本人はなぜ悪魔のささやかに弱いのか
第3章 人間を嘲笑い破滅させる、ささやきの正体
第4章 豊かさを餌に太り続ける現代の悪魔
第5章 いかにして悪魔のささやきを避けるか
[ POP ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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犯罪や自死に向けて、人の背中を押す「悪魔のささやき」。悪魔は自身の中に存在するのだ。
ただ、ひとつ気になったのが、犯罪者の更生を評価するあまり被害遺族がないがしろにされているように感じた点。話の本題からは逸れるが、無神経だと思う。
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フォトリーディング。ものすごく面白いと思った。高速リーディングが楽しみ。高速リーディング。面白かった。途中の聖書解釈は同じクリスチャンとして恥ずかしいレベルの低さだったが、著者はカトリックなので仕方がないかも。文明に関しては優れた洞察力。要約すると、日本人は特に悪魔のささやきに弱いが、個人の人格をたてあげる事で対抗できるということ。その為に読書は最適の方法であるとは、著者の最後の言葉。