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毒薬としての文学 倉橋由美子エッセイ選
著者 倉橋由美子
学生時代、マスメディアに劇的に登場、常に現代文学に挑戦し続ける著者の『わたしのなかのかれへ』『迷路の旅人』『磁石のない旅』『最後から二番目の毒想』『夢幻の宴』の全エッセイ...
毒薬としての文学 倉橋由美子エッセイ選
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毒薬としての文学 倉橋由美子エッセイ選 (講談社文芸文庫)
商品説明
学生時代、マスメディアに劇的に登場、常に現代文学に挑戦し続ける著者の『わたしのなかのかれへ』『迷路の旅人』『磁石のない旅』『最後から二番目の毒想』『夢幻の宴』の全エッセイ集から、1.日常と文学の周辺、2.作家・詩人関係に集約編集。「性と文学」「文学的人間を排す」他、坂口安吾、澁澤龍彦、三島、埴谷等、35篇。独創的世界を展開する著者の文学観、発想の源流を示す文芸文庫版エッセイ集。
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紙の本
類い稀なる面白作家・詩人論
2002/05/20 09:27
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Snake Hole - この投稿者のレビュー一覧を見る
倉橋由美子のエッセイ集。センセイの全エッセイ集から文庫版として改めて編集したというシロモノで,「日常と文学に関する随筆」,「作家・詩人に関する評論」のニ部構成。前者にも「愛国心」という妄想を斬って捨てる「妄想の落とし穴」とか,ある部分丸山健二の書いていることに通じるような「文学的人間を排す」など面白い読み物があるのだが,後半の作家論,詩人論がスゲェ。いやマジで,この面白さはちょっと他に類を見ないのではないか。
「彼は近代的リアリズム小説を書かずに安吾流の小説を書いた」と結論付けた坂口安吾論,独特の視点からその「私小説」の「私小説」的なるものを分析する島尾敏雄論,ほとんど恋文と言っていい吉田健一論など,どれを取っても (そのおっしゃる内容に賛成であろうと反対であろうと) 目からウロコが2枚ほどは落ちようという傑作である。
なかでも「ユニークで難解で畏怖すべき思想家と見るよりは黙示録的夢想家」と断じた「『反埴谷雄高』論」に至っては,よくこれが同氏の個人全集の解説 (または月報かも知れない) に掲載されたなぁと,またそういう媒体からの依頼に対してよくこれを書いたなぁという,ある種の感嘆というか畏敬の念というかそういうものを感じてしまう。
いみじくも三島由紀夫の死について著者は「これが少なくとも女にはできないことであること」を繰り返しておく必要がある,と語るのだが,このような埴谷雄高論,三島由紀夫論を書く,ということが「少なくともできるオトコはめったにいないコト」であるように私には思われるのである。