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電子書籍
「誰にも書けない」アイドル論(小学館新書)
著者 クリス松村
知っているようで、知らなかったことが満載。2万枚にも及ぶレコードやCDの蒐集と、アイドルに関する知見では誰にも引けをとらないクリス松村さんが、自ら集めた膨大な資料と、実際...
「誰にも書けない」アイドル論(小学館新書)
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「誰にも書けない」アイドル論 (小学館新書)
商品説明
知っているようで、知らなかったことが満載。
2万枚にも及ぶレコードやCDの蒐集と、アイドルに関する知見では誰にも引けをとらないクリス松村さんが、自ら集めた膨大な資料と、実際に行ったコンサートなどの体験をもとに、アイドルとその時代背景について、データに基づきディープに分析。70年代のアイドル草創期、80年代前半の黄金期、80年代後半以降の冬の時代について、自らの人生とともに書き下ろしました。
山口百恵、松田聖子といったA級アイドルだけでなく、新井薫子やスターボーなどのB級、C級アイドルについても言及。松本隆や大滝詠一といった、アイドルを支えた作家陣についてもたっぷり書いています。
クリス松村さんのアイドルと音楽に関する知識の深さは、山下達郎、竹内まりや夫妻も認めるところ。そこで音楽情報サイト「ナタリー」に掲載された竹内まりやさんとクリスさんの対談も収録しました。
「え、そうだったの!?」「知らなかった!」という内容が満載で、アイドル評論家や音楽評論家にはけっして書けない、これまでになかった「アイドル論」です。
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紙の本
国民的ソロアイドル歌手のいた時代
2014/08/30 10:24
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キック - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書はソロアイドル歌手の歴史(発生・興隆・衰退)と現在のアイドル事情を踏まえた「アイドル論」を、クリスさんの自伝を交えて語られています。昭和の香り漂う本に仕上がっていて、満足しました。ただ、第6章の竹内まりやとの対談は、つまらない提灯記事でした。
クリスさんによると、アイドル歌手の定義は「明星や平凡といったアイドル雑誌の表紙を飾ったことがある方々(36ページ)」で、一般的には、71年デビューの小柳ルミ子さん、天地真理さんが始まりとされているとのことです。
そして、80年代前半に全盛期を迎えました。歌番組も大量に放映されていた時代です(92ページ)。アイドルの活動期間は2~4年程度(223ページ)で、新旧アイドルの交代劇は大きな楽しみの一つでした。
ところが79年のウオークマンの登場により、音楽事情が激変。アイドルも変容を余儀なくされました。つまり「ピンポイント型の聴き方」が始まり、万人に愛されるソロアイドルが廃れていきます(45ページ)。そして、おニャン子クラブの登場で致命的なダメージを受けます。「素人スターを輩出しすぎたために、ソロアイドルの消滅へとつながった(42ページ)」わけです。田村英里子さんを最後にソロアイドル時代は終わったとのクリスさんの分析です(43ページ)。
老若男女、万人が歌を共有していた昭和から平成に移ろい、全世代が同じ歌を共有する時代ではなくなりました。つまり、ソロアイドル歌手が切磋琢磨して成長する「国民的ソロアイドル歌手の時代」は終わったのです。アイドルの盛衰や変容という視点で、日本社会の変遷の一端が見えてくるというアプローチは面白かったです。
本書は、2万枚ものレコード・CD・DVDや膨大な資料を所有しているクリスさん(229ページ)のウンチクを、ほんの少し披露したにすぎないでしょう。昭和の文化史として、様々な切り口で、「アイドル論」を語り続けてほしいと思いました。