読割 50
電子書籍
サイモン・アークの事件簿1
著者 エドワード・D・ホック , 木村二郎
オカルト探偵アーク登場!73人もの人間が崖から飛びおりた、謎の大量自殺事件を取材に出かけたわたしは、現場の村で不思議な男性と知り合う。その男は、悪魔の存在証明や真の超自然...
サイモン・アークの事件簿1
サイモン・アークの事件簿 1 (創元推理文庫)
商品説明
オカルト探偵アーク登場!73人もの人間が崖から飛びおりた、謎の大量自殺事件を取材に出かけたわたしは、現場の村で不思議な男性と知り合う。その男は、悪魔の存在証明や真の超自然現象を追い求め、世界を旅しているのだという。年齢2000歳とも言われる彼の名は、サイモン・アーク――。シリーズ第1作にしてホックのデビュー作でもある短編「死者の村」を巻頭に、自薦作品の中からさらに精選した10編を収録した、オカルト探偵アーク待望の第1短編集。黒魔術、狼男、悪魔崇拝、妖精……世界じゅうで起きる怪異な事件に、快刀乱麻の推理力で挑むアークの活躍をご照覧あれ。
目次
- 死者の村
- 地獄の代理人
- 魔術師の日
- 霧の中の埋葬
- 狼男を撃った男
- 悪魔撲滅教団
- 妖精コリヤダ
- 傷痕同盟
- 奇蹟の教祖
- キルトを縫わないキルター
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
自称2000年生きている
2015/11/15 13:39
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のきなみ - この投稿者のレビュー一覧を見る
というサイモン・アークが主人公。これを信じるか信じないか、というともちろん私はいやいや法螺だろうと思うのだけどアークの堂々とした様子が『もしかしたら……』と強引に信じさせてしまう。
あらすじ見る限りでは黒魔術とか霊的なものとバトルのかなぁーと思ったらそういうものをちゃんと理論的、現実的に見破っていく、というのがストーリーの基本らしい。推理物としては定番だけど文章がしっかりしててとても読みやすい。あと表紙が好み。
紙の本
緻密な推理で奇怪な事件の謎を解く、自称2000歳(!?)のオカルト探偵
2009/01/22 15:19
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐吉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
昨年(2008年)77歳でこの世を去ったエドワード・D・ホックは、生涯現役をつらぬき、50余年にわたる作家生活において900編余りの作品をものした短編ミステリの名手だった。謎を解くための手掛かりを読者にフェアに提示する本格ミステリを得意とし、緻密な論理展開によってあざやかに解明への道筋を示してみせるその作風から「古典的犯人当てミステリの王様」と称され(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン)、2001年には短編主体の作家としてはじめて、MWA(アメリカ探偵作家クラブ)の巨匠賞を受賞している。
ホックには、邦訳が刊行されている「怪盗ニック」シリーズや「サム・ホーソーン」シリーズをはじめ、20以上のシリーズ作品がある。その中でもっとも息が長く、ホック自身もっとも愛着を感じていると語っていたのが、この「サイモン・アーク」シリーズである。ホックを代表するシリーズの一つでもあるこのオカルト探偵シリーズは、彼のデビュー作『死者の村』(1955年)に始まり、以来半世紀以上にわたって61編が書きつがれてきた。
サイモン・アークは、自称2000歳、さまざまな傍証から少なくとも1500歳以上と推定されるコプト教徒で、悪魔や超常現象を追って世界中を旅していると語る謎の人物である。深い皺の刻まれたその容貌は70歳代の老学者を思わせるが、がっしりした体躯に張りのある肌を持ち、身のこなしは若者のように機敏だ。
サイモンが関わる事件には、つねに悪魔や超常現象の匂いがする。73人もの村人が崖から身を投げた謎の集団自殺事件、中世の古文書を追って辿り着いた悪魔崇拝の儀式、聖夜のニューヨークに現れたロシアの伝説の妖精、サイモンらの目の前で車ごと消えた女性……。サイモンは該博な知識と犀利な推理力を武器に、これらの奇怪な事件に敢然と挑んでゆく。
ときに、オカルトと本格ミステリという組み合わせは、一見相容れないもののようにも思える。もちろんここで云う本格ミステリとは、ある種の超常現象が受け容れられる架空の世界において成り立つ謎解きではなく、現実世界においてもじゅうぶん説得力のある論理的・科学的推理のことだ。
しかし、超常現象のような不可思議なものごとを科学的に解明しようと試みるのは、必ずしもそれらに対して否定的な考えからばかりではあるまい。逆に、人知を超えた神秘に強く惹かれるからこそ、敢えて懐疑的な姿勢でそれらに臨み、それらがどう足掻いても合理的に説明できないことを確かめたい、という考え方もまた成り立つだろう。そうしてみると、オカルトと本格ミステリとは、案外相性の良いものなのかもしれない。ホックの作品は、そんなことをも考えさせてくれる。
もっとも、あくまで本格推理を身上とするホックは、このシリーズにおいても、サスペンスフルな演出にはさほど重きを置いておらず、それゆえ趣向こそオカルト風ではあるものの、そこにホラー小説のようなおどろおどろしさはない。軽快な語り口とスピーディーな展開、そして胸のすくような小気味好い謎解きこそが、やはりホックの持ち味である。
作品は、シリーズの全体像が捉えられるよう、1950年代から2000年代にかけての各年代に発表されたものから1、2編ずつが採られている。いずれの作品においても、それぞれの時代背景が効果的に描かれ、また登場人物たちも現実の時間の流れに合わせて歳をとり、彼らを取り巻く環境も変化してゆく。サイモンの友人であり、シリーズを通じての語り手でもある「わたし」は、最初新聞記者として登場するが、のちに出版界に転身し、そこで順調に出世を重ね、2000年代には引退してフリーで編集の仕事にたずさわっている。また第一作ではテレタイプ(通信可能な電動タイプライター)が活躍していたものが、90年代になると携帯電話やインターネットがさりげなく登場するなど、ちょっとした描写に時代の変化がうかがえるのも楽しい。
ただしそんな中、ひとりサイモンだけは、初登場のときからずっと変わらず「活発な70歳台」の風貌を保っている。実はそのサイモン自身の存在が、このシリーズで唯一合理的な説明のつかない不思議であり、もはや永遠に解き明かされる機会の失われてしまった謎である。
紙の本
二千歳の探偵
2012/03/26 13:32
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:koo± - この投稿者のレビュー一覧を見る
自称二千歳の怪探偵サイモン・アークが「わたし」と共にオカルトな謎を暴く連作短編集。トリックは案外凡庸ですが、題材の扱いやプロットの組み立てが上手い。どのエピソードも物語として面白かったです。
●収録
・死者の村
・地獄の代理人
・魔術師の日
・霧の中の埋葬
・狼男を撃った男
・悪魔撲滅教団
・妖精コリヤダ
・傷痕同盟
・奇蹟の教祖
・キルトを縫わないキルター
●見かけよりも正統派の本格ミステリ
読む前の印象と随分異なります。よい意味で。思ったよりも薄い怪奇色。探偵もクセのある変人系かと思いきや、良識的な紳士。ロマンスグレー(死語)の素敵なオジサマです。オカルト特有のドロリとした描写も少なめ。むしろソリッドでロジカルな文体。人物描写も記号的。訳もよいのでしょう。
エラリー・クイーンの愛弟子とも称される著者。正当派のアメリカ本格ミステリの風合が漂います。「霧の中の埋葬」「狼男を撃った男」「妖精コリヤダ」「キルトを縫わないキルター」辺りが好感触でした。
けっこう長期に渡るシリーズみたいですね。2008年の作者歿に至るまで54年間続いたそうです。デビュー作でもある「死者の村」は1955年。「キルトを縫わないキルター」は2003年。年代毎に収録されています。近年の作品の方が本格色が強いかな?
今後も追い掛けたいと思わせてくれました。現在3冊まで発刊。今後の刊行が楽しみです。
※「です・ます調」レビュー100本ノック。28本目。