紙の本
人の心の奥底に渦巻くドロドロとした部分を乃南アサは包み隠さず書いてしまう。不思議な魅力の一冊。
2005/07/06 12:49
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
昌世はモノにしたい男(医者)との旅行計画を立てていた。
ところが丁度旅行へ出発する日に祖父が死にそうな状況に陥ってしまう、その時に昌世がとった行動は祖父を死体が凍らず腐らない程度に保てる4℃の冷蔵庫へといれておくことだった。(4℃の恋)
親友の婚約者に会った日から喋れなくなった朋子。しかし挙式前には元に戻り彼女の口から出た祝辞は親友の隠された過去の暴露話だった。(祝辞)
他、女が欲望、嫉妬、妄想によりその本性を現した時に起きた出来事を描いた短編集。
この本に登場する女性ははっきり言って性格も根性も悪い。
それは加害者も被害者もどっちもどっちの酷さなのだが何故だかそんな彼女達に親近感が沸くから不思議なのだ。
例えばあなたにも経験はないだろうか?花嫁の席に座っている親友、しかし親友だからこそ知っている花嫁の裏の顔、今までの悪事。笑顔で祝福しながらも脳裏に浮かぶ色々な思い。
また自分の自慢する部分と重なる目障りな存在、相手を潰したいと思いつつなかなかできないイライラ。そんな人間の心の奥底に渦巻くドロドロとした部分を乃南アサは隠さずに「ここまで出すか」というくらいに描き出した短編集。
嫌悪感を抱きつつも妙にスッキリとする読了感。
摩訶不思議な魅力の一冊。
電子書籍
女の友情
2018/07/02 00:28
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pope - この投稿者のレビュー一覧を見る
ネタばれあり。
女の間に友情なんて存在しないのかもなと思ってしまいますねw
祝辞はやったらすっきりするだろうけど、後でみじめになりそうだよな・・・
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女性の心理の恐ろしさに焦点を絞った短編集。
中でも「髪」が一番好きです。
容姿の点で見下していた子がどんどん
キレイになって、自分の影が霞んでいくときの
焦りと嫉妬。
絶対こういう心理って、女性にはある。
エンディングで同じセリフを呟きたくなった人、
絶対いるはず。正直私もその一人。
「祝辞」も「あーこの場で奴のあんなこともこんなことも
言ってやりてえ」と思っている人、いるはずです。
…実際にやっちゃう人はいないと思いますが。
どちらかというと男性にオススメ。
女性が読んでももちろん面白いです。
オンナはこんなに怖いんだよ…うふふ。
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女性の嫉妬や思い込み、執念がめっちゃ深く描かれています。怖いくらい・・・
これは最低やろ!!って思うような主人公達の”気持ち”や”行動”。でも自分のなかに絶対ないのか?ってゆわれたら、・・・。
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オレは男だし、女性心理にはどちらかといえば疎いほうだ。
乃南アサの作品を読むと、少しは女性の心理とかを理解できるのではないかなと思える。
しかしその反面、女性は「取扱厳禁」というか(笑)、美しくもあるけれど実は怖いものだということが文面から伝わってくる・・・。
この「夜離れ」という作品は、6つの様々な結婚前の女性心理を描いたサスペンスだ。
祖父の死よりも海外旅行を優先し、祖父の死体を病院の冷蔵庫に保存する女性。
友人の結婚式のスピーチで、すべての秘密を暴露しようとする女性。
ストーカー行為をしていることに気がつかず、俳優を追い掛け回す女性。
登場する女性は皆「幸せ」を求めつつも、嫉妬や憎悪、甘えと妬み、ヒステリー・・
そんなことがグルグル渦を巻いて、「おお・・怖(こわ)っ」と思わせる。
女性にはいつもニコニコしてもらいたいなあ・・なんて思うのは、やっぱり男のエゴなんだろうなあ。
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内容(「BOOK」データベースより)
甘えん坊の摩美としっかり者の朋子。摩美の彼氏に一目惚れしてしまった朋子が、摩美の結婚式で行なった禁断のスピーチとは…「祝辞」。銀座のホステスから地味なOLに戻り、着実な結婚をめざした(私)を襲った突然の不幸…「夜離れ」。結婚に憧れる女性たちが、ふと思いついた企みとは?ホントだったら怖いけど、どこか痛快な気分にも。微妙な女心を描く6つのサスペンス。
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甘えん坊の摩美としっかり者の朋子。摩美の彼氏に一目惚れしてしまった朋子が、摩美の結婚式で行なった禁断のスピーチとは…「祝辞」。銀座のホステスから地味なOLに戻り、着実な結婚をめざした(私)を襲った突然の不幸…「夜離れ」。結婚に憧れる女性たちが、ふと思いついた企みとは?ホントだったら怖いけど、どこか痛快な気分にも。微妙な女心を描く6つのサスペンス。
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こんな女が近くにいると寒気がするな〜という怖さ。
そして、そんな女たちに時々共感できてしまう自分への怖さ・・・のWホラー。
あとがきが心理カウンセラーさん!
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図書館で置いてるハードカバーの本は情報が少な過ぎだよ。
今いろいろ凹んでるからハッピーな本が読みたかったのに、出てくる女性出てくる女性みんな頭おかしい。男が婚約者の友人を紹介してもらったら、その日からその友人が失語症になって、ようやく治ったと思ったら結婚式のスピーチで新婦が男と遊び回って堕胎してたことを暴露する話だとか、髪の毛が自慢のOLが、自分より髪の毛がキレイになった同僚の髪の毛を燃やす話だとか、新しい男との海外旅行と祖父の死が重なって、昔の男を騙して日本に帰って来るまで祖父の遺体を法医学研の冷蔵庫に保管させる話だとか。「心温まる話が読みたいのに…えぐっ、えぐっ」って泣きながら読んだ。
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読みながらゾクゾクする。
フィクションだ・・・と思いながらも共感できてしまう女の怖さ。
解説が秀逸。
人は自分を受け入れることを、人生を通して向き合っていく運命なのね。
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乃南節! フルスロットルww
はじめて著書を拝読して以来、いちばん好きな女性作家ですv
結婚というテーマで統一してるとこがモノトーン(?)でオサレなので、お気に入りの一冊。
ただし、内容はオサレどころか、相変わらずドロッドロww
女性の奥に渦巻くコールタールのような「闇」が赤裸々にダダ漏れ!
そこが良いっっv ←
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ちょっとブラックな味付けの短編集(中編?)「4℃の恋」「祝辞」<結末はなんとなくわかったけど、それでもひいた。。ふむぅ。。「青い夜の底で」「髪」「枕香」「夜離れ(よがれ)」
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再読。
女性の嫉妬心、猜疑心、思い込み、底意地の悪さなどを書かせたらピカイチ。
どの作品も面白かった。
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女の怖ーい面にフォーカスした短編集。どれも結婚が絡んでいる。どれも面白いが特に「祝辞」の驚きのエンディングと、ストーカー女の登場する「青い夜の底で」は素晴らしかった。表題作「夜離れ」の主人公だけが少し違った感じで、この作品で終わっているのがなんともニクい構成。
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【本の内容】
甘えん坊の摩美としっかり者の朋子。
摩美の彼氏に一目惚れしてしまった朋子が、摩美の結婚式で行なった禁断のスピーチとは…「祝辞」。
銀座のホステスから地味なOLに戻り、着実な結婚をめざした(私)を襲った突然の不幸…「夜離れ」。
結婚に憧れる女性たちが、ふと思いついた企みとは?
ホントだったら怖いけど、どこか痛快な気分にも。
微妙な女心を描く6つのサスペンス。
[ 目次 ]
[ POP ]
この本を読んで、しみじみと女性は怖いなあと思う。
寂しさや虚栄心・甘え・妬みからくる冷淡な行動、ヒステリックな振る舞い。
ああはなりたくないと思いながらも、自分のことが書かれているわ、と情けなく思ったのだった。
本書では、「結婚=女の幸せ」が前提として書かれた短編が収められている。
上手く書かれているのは、ヒステリックになりたくないのに、ついそうなってしまう女性の心理。
とくに「枕香」という話。
大好きでたまらない彼なのに本心を言えず、口を開けば喧嘩を誘う強気なことばかり。
わがままで甘えん坊の恭子の言動は、寂しくて不安で常に相手の気をひきつけたいという心の裏返しだ。
まるで数年前の自分を見ているような気になり、同情してしまう。
女性の虚栄心を描くのも上手い。
「髪」という話でくせ毛だった髪をストレートにし、何度も髪に手をやってうっとりする場面が出てくる。
女性なら誰でもこういう仕草をしてしまうのではないかしら。
実は、私は、やったことがあります……
[ おすすめ度 ]
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☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]