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誤解された仏教
著者 秋月龍ミン
インドに発した仏教は、長い時間をかけてわが国へと到達したが、伝播の道筋で土着の思想と習合し、本来の思想から大きく変容した。この結果、「死者儀礼」「死者に対する〈仏〉という...
誤解された仏教
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誤解された仏教 (講談社学術文庫)
商品説明
インドに発した仏教は、長い時間をかけてわが国へと到達したが、伝播の道筋で土着の思想と習合し、本来の思想から大きく変容した。この結果、「死者儀礼」「死者に対する〈仏〉という呼称」「霊魂の存在」など、現代に通じる誤った仏教理解が生じる。こうした誤解に塗れた日本人の仏教観を叱り、「仏教=無神論・無霊魂論」の主張を軸に、正伝の仏法を説く。(講談社学術文庫)
目次
- まえがき
- I 誤解だらけの仏教
- 第1章 仏教は「無霊魂論」である
- 第2章 仏教は本来葬式・法事に関わらない
- 第3章 仏教は「輪廻」説をどう考えたか
- 第4章 「輪廻」説をどう超えるか
- 第5章 仏教は「無神論」である
- 第6章 「梵我一如」説は仏教ではない
- 第7章 なぜ「梵我一如」説は仏教でないか
- 第8章 正しい仏教は土着思想と対決する
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紙の本
仏教への思いの強さが熱く語られている
2007/10/26 22:27
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み始めの頃はかなり異端の僧侶かと思えたが、至極まっとうな仏教解釈と思想の持ち主であることがわかった。現代日本の寺僧と仏教哲学者の在り方や考え方に、疑問と義憤を持っているだけであり、その思いが強く表現されているのであった。
著者は、臨済宗の僧侶であり仏教系大学の教授でもあったという。キリスト教や親鸞、道元、空海の仏教も学んだうえで、西田哲学や鈴木禅学の理論も咀嚼し、禅を釈迦牟尼仏陀の根本仏教に直結するものとしてる。
そして、葬式仏教と化した宗派仏教や大乗仏教は釈迦の仏教にあらずとする仏教哲学者にたいする義憤の念から、自分の信ずる仏教を解説し、賛同者を募っている。おうおうにして宗教家は自分の信じる宗教を絶対視し、未だ信じない人を信じさせようと、折伏という行為にでるものである。信じられない人を救いたいという、仏教でいう慈悲とか菩薩道の思いからの行動であっても、迷惑なものである。著者は、折伏というのは、仏教の争いを避けるという考えとは異なるものと云い、議論はしても論争はしない、という姿勢をとっている。
現状への問題意識や仏教への思いの強さが熱く語られており、その背後の努力と研鑽も読み取れる。教えられることも多かった。釈迦牟尼仏陀の悟りとは、四聖諦と十二縁起と理解していたが、それは悟りの内容ではなく悟りの説明である、内容と説明は違うものだ、ということを初めて知った。多分大部分の人も誤解しているだろう。