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プルトニウムと半月
著者 著者:沙藤 一樹
原子炉の爆発がきっかけで、双子の姉妹・華織と紗織は別々の家に預けられた。しかし失意の華織は自殺の名所とも呼ばれる放射能汚染地域へと自ら踏み込んでしまう。立入禁止の汚染地域...
プルトニウムと半月
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プルトニウムと半月 (角川ホラー文庫)
商品説明
原子炉の爆発がきっかけで、双子の姉妹・華織と紗織は別々の家に預けられた。しかし失意の華織は自殺の名所とも呼ばれる放射能汚染地域へと自ら踏み込んでしまう。立入禁止の汚染地域で生き長らえる華織、非汚染地域で暮らす紗織、互いに相手を強く求めながらも、決して満たされることのない日々は、ついに意外な結末を迎えた……。第4回日本ホラー小説大賞短編賞受賞の『D‐ブリッジ・テープ』に続き、世界の果てに佇む孤独な魂の反抗と狂気を、まったく斬新な表現方法で描いたホラーワールド。
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紙の本
原子力発電について
2000/07/22 19:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:伊藤克 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は、原子力発電所の重大事故を想定して書かれた本である。
事故により放射能で汚染され、立ち入り禁止となった地区を、双子の姉妹を通してえがいている。
題名のハーフムーン(half moon)とは、立ち入り禁止区域が、海に面した半月の形をしているところからきている。
チェルノブイリ原子力発電所で起きた事故では気流に乗って東西方向へ拡散した放射能汚染も、風、地形の影響を受けなければ、同心円上に拡散していく。
海岸沿いの原子力発電所であれば、この小説の様に、半月(半円)型となるにちがいない。(海に対する影響については知らないが)
双子の姉妹は、この原子力事故の混乱の中で、離ればなれとなり、1人は立ち入り禁止区域で生き、もう1人は外の区域で生きる。
ストーリー展開は、双子姉妹の両方の生活と、事故時についての記述の3種類の話が同時進行する形であり、なれるまでは読みにくい。
また、中で語られる物語の残虐性は、今風であるのかも知れないが、私には馴染みにくい。
しかし、狭い日本の中に一般住居と隣接して存在する原子力施設で、ひとたび事故が発生した時に起こる汚染の規模と、影響について警告している事には間違いない。
(事故の規模、影響を事前にを想定する事は難しい事であるが。)
原子力プラントに携わっている人達の技術力、技能たるや、並大抵のものではないのも事実である。
日本国内に50機存在する原子力発電の安全性は、その人達の日々の努力の上に成り立っているのである。
私は、原子力の平和利用について肯定も否定もしないが、勤勉で有能な、数多くの”猛獣使い”達によって私たちの生活が潤いあるものとなっている事を忘れてはならない。