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天使の心臓(ハート)
著者 篠原烏童
レンタルペットのラグはロボット犬。普段はトロくて、記憶に入力されたことしかできないラグは、みんなの人気者だけど、いつもまわりは問題ばかり。でもひとたび患者さんたちの危機に...
天使の心臓(ハート)
天使の心臓 (DAITO COMICS)
商品説明
レンタルペットのラグはロボット犬。普段はトロくて、記憶に入力されたことしかできないラグは、みんなの人気者だけど、いつもまわりは問題ばかり。でもひとたび患者さんたちの危機に直面すると、プログラムにはない奇跡を起こす---。冷たいはずの機械の心が生み出したその不思議なチカラの正体は!?
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紙媒体で何度も読み返したいので入手できず残念
2019/08/11 02:28
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投稿者:Nagi - この投稿者のレビュー一覧を見る
新品の形でどこを探しても見つからなくて、読みたいけど読めないでいた作品です。
今月いっぱい限定価格とのことで、我慢できずに電子で購入。
心や魂は何を根拠に定義するのだろう、といった感じのテーマは、『攻殻機動隊』で考えさせられたことがあるテーマなのですが、この作品は硬質ではなく、とても柔らかく優しい形でそれについて考えたり感じさせてくれる作品でした。
初版は2010年、当時はまだ介護保険に介護ロボットにかかる料金が適用対象になっておらず、このときに読んでいたら、夢物語のように感じながら読んでいたのかもしれません。
今は少子高齢化も手伝い、孤独死が問題化しているためか、作中で患者に異変が生じたら、飼い主(開発者)である志木にラグが信号を送ったり、院内で予期せぬバイオハサードが起きたときは、その対応に向かったりと、日常では「トロい」「とろラグ」と辛辣なことを言われてしまっているラグがとても頼もしく、ほしい…ではなく「飼いたいな」と思ってしまいました。
志木、という生真面目な作り手の細やかなプログラミングによって、おっとりとしていて(一部で「とろラグ」と呼ばれてしまうくらいに。苦笑)、だけど人の細やかで人間なら見落としがちな表情も感じ取って反応するラグは、介護という範疇を超えて、今の多くの人に必要な存在かも、と考え込んでしまうお話でもありました。
ペットカフェなどが人気ですが、ペットのストレスが問題になっているという話も耳にします。
ラグなら(これは志木のおかげでもあるのでしょうけれど)人の良い面、やさしい面、弱っている面をよく見ていてくれて、精いっぱい(とこちらには見えてしまうんです)元気づけようとしたり慰めてくれたりします。
だけど、それをストレスには感じていなさそうなので、、きっと現実には、実用にはまだまだ程遠いのでしょうが、こんな子が自分といることでストレスを感じずに傍にいてくれるなら、一緒に居たいなあと思わせてくれる子でした。
篠原烏堂さんの作品は、相変わらず柔らかく優しく、だからこそ、何か事件が起きたときの衝撃が大きく、ラストでそれらを全部包むように最大級のやさしさが読む側を包んでくれるので、この作品でもそんな感じで、とても温かでほっこりとする読後感でした。
ラグは物語の終盤で、志木の指示を待つことなく自らの意思(と言っていいのか分かりませんが)でその事件の解決に当たります。
本当はこの先もまだ続くはずだったんじゃないか、もっと伝えたいことがあったんじゃないか、と思ってしまう終わり方でもありました。
そう思うと、掲載誌の廃刊による続編がなさそうなのが残念で仕方ありません。
その点だけが、致し方ないこととはいえ心残りと思ってしまう作品でした。