紙の本
着物を着て暮らしたくなる
2001/03/18 23:29
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投稿者:小萩 - この投稿者のレビュー一覧を見る
着物をテーマにした短編集。着物は高価なモノだけに、女の念がこもりやすいものなのでしょうか。ちょっとだけ、コワイお話が多いです。
林真理子という作家はこういう短編の方が、はっと気の利いた作品が多いような気がします。もちろん長編もさすがのストーリーテイリングではありますが。やはりコピーライター出身だからでしょうか。各作品の扉にそのストーリーにふさわしい着物の意匠が印刷されていて、それがまたため息がでそうなモノばかり…。着物を着たくなります。一度でいいから歌舞伎座に着物で行きたい…。小紋が欲しい…。と贅沢な欲望がむくむくとわき上がってきます。
紙の本
着物をめぐる
2021/06/11 20:23
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
着物は着てみたいと思いつつも、なかなかハードルが高くて未だに一人では着られず。宮尾登美子さんなどを読むと、着物には並々ならぬ深い思いがこもっているものもあり、その感じが伝わってきました。
紙の本
2000/11/5朝刊
2000/11/10 21:15
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投稿者:日本経済新聞 - この投稿者のレビュー一覧を見る
美しいものには、時に人の心を狂わせる魔物が潜んでいる。本書に収められた十一の短編は、長い伝統と職人技によって生まれた着物に魅入られた人々の物語だ。着道楽の姉のわがままによって、運命を変えられた妹のしっとと憎しみ。あるいは、愛した着物に死後も思いを残し、触れる者にのろいをかけようとする女の執念。美しく華やかな衣装の陰から、それをまとう人間のぞっとするようなエゴや残忍さが浮かび上がる。
(C) 日本経済新聞社 1997-2000
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■説明
全部で11話の短編で構成されている。
一人称、独白で語られている。すべて主役は違う人だ。
それぞれが、着物に関係する出来事を語るという形式である。
■感想
着物について、私は知識がないのであるが、取材の苦労はいかほどかとと思うほど、詳細に語られている。着物に詳しい方にこの評を聞いてみたい。
それはおいておいたとしても、うまくできている。
本の主人公は語り手であると同時に、やはりこの本全体としては 着物が主役なのだ。
全体を通してさらっと読める。そうして、さぞ、書いている本人もおもしろかったろうと思えるような本であった。
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父の仕事を辿る娘の話が秀逸。
他は、私には合わなかった(お好きな方すみません)。
そういえば。
芸術新潮に連載されていたものだが、皇族絡みの話が見あたらない。削除されたのかしら?
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着物にまつわる11の物語。著者の着物好きは有名な話なので、てっきりエッセイだと思って読み始めたらおもいっきり小説という嬉しい誤算。
普段読んでいるエッセイだけでは計り知れない林真理子という作家のすごさを見せ付けられたようだ。
(2004.5.29)
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美しい着物の写真と
それとつながる物語(短編)で構成されてて、
うっとりキレイな一冊です。
さすが職業作家さんだけあって、
心情描写や情景描写が細やかで
良くつくられています。
そして、林さん自身着物がとっても好きで
知識も思い入れも持っているから
登場人物の着物に対する感情が
とってもリアルで濃いんですね。
これは、本当に絹を触って絹をまたとった人じゃないと
実感湧かないだろうと思います。
着物好きさんだったら読み応えある一冊だと思います。
気持ちよく引き込まれます。
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着物をめぐる十一の短編を集めた物。章ごとに着物の写真もついてムードを盛り上げます。「松の緑」は加賀友禅作家の父を娘が回想する話。芸者の出の衣装…すごそうです。銀座のマダムの「形見」、若い女優が初めて時代劇映画に出た時の話「お夏」など。歌舞伎座の衣装方が語る歌舞伎座の大部屋のむんむんするような独特の熱気など、面白かったです。ねっとりして、ちょっと恨みがましいような残酷な気配が漂う、念入りに仕立てた着物ならではの怨念めいた想い。女を夢中にさせる力を「こんなことがセーターやスーツで起こるでしょうか」と言われると、確かに…?
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どの物語もそれぞれ素敵でした。中でも歌舞伎座の幽霊と、箱屋と、美装室が好き。(着物だけが女を呪う力を持つのです)
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図書館にて。
読みやすかった。
どうしてこんなにいろいろくわしいんだろう。
こんな有名作家になってもちゃんと取材してるってことかしら。
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宮尾作品とともに、着物友だちに薦められた本。
彼女と私の違うところは、彼女は「着物の出てくる話」を
読むのが好きで、私は「着物の話」を読むのが好きな点。
だから彼女は小説を読み、私はエッセイを読むのです。
そして話してるとアレ読んだコレ読んだって聞くので、
本屋さんに行くと「そういえば・・・」と探したりして。
人に薦められた物を読むのはおもしろいから好き。
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11の短編の中で、ハッとした文章に出会った。
『織り姫さま』という話にある“上布は若い女には織れぬ”というくだりである。
越後上布という布が外車が一台買えるくらい高価なものとは知っていたが、
老齢の織り子さんが極寒の季節に夜を徹して織り上げていくという。
越後の冬である。しかも夜。その寒さは尋常ではないだろう。
しかし冬の間に織り上げなければならない理由があるのである。
ここに収められた11の短編に込められた女の業や執念と、
着物という伝統文化の織りなす綾。
着物を創る者、買う者、売る者‥それぞれの人間模様が、
林真理子さんの熱を帯びた筆致で描かれていて惹きこまれる。
読み終わった後、タンスに眠ったままの自分の和服の一部を洗い張りに出した。
無性に着物に身を包みたくなった一冊。
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着物にまつわる11編の短編集。
語り口調で書かれている文章がとってもきれい。
もともと着物には興味があったのだけれど、母の着物も、叔母の着物も全て譲ってもらえたらどんなにいいだろうな……とかいつの間にか考えてしまっている。
扉の着物の写真にうっとりしてしまったり、読んでいる間にだんだん自分も着物に執着を持ってしまう感じがしました。
ほとんどの話に死がからんでいたり、読後はすこし重苦しいです。それでも着物、着物と思うのは、着物には人を魅了する力があるんだなと思います。
1番頭に残った話は「その六 姉妹」
戦時中、着物道楽の姉と、姉とは正反対に真面目な妹。
着物に親のお金もつぎ込む姉の箪笥の中身が見てみたい、着てみたいと思います。(でもこの姉の身勝手さはいけすかなかったり)
いろいろ苦労した妹より自分勝手な姉の方がいい結婚をした時は悔しかったです。
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ゴージャス、絢爛でおどろおどろしい、女と着物に纏わる短編集。着物といってもウール、木綿などお呼びでなく、ポリは論外。正絹小紋ですら怪しい。古着を「絹の死体」と称されたのは若干ショックであった。物語自体は、異世界を垣間見るようでたいへんおもしろい。
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本の帯びからもっと恐ろしい話なのかと思ったらそうでもなく。第三者からの視点で書かれているためかサラッと触れているだけの感じがした。
自分は中古衣料に携わっており、どんな服にもエピソードがあって当たり前だと思っているので、その中でも「念」がこもってしまっている物の存在は着物に限った話ではない。
またこの本に出てくるのは高級な着物ばかりであり普段着は無い。それをセーターやスーツと同等とするのは違和感があった。
しかし花柳界と越後上布の話は興味深く読んだ。