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清張映画にかけた男たち―『張込み』から『砂の器』へ―
著者 西村雄一郎
ただの娯楽映画にはしたくなかった。松本清張の世界を徹底してリアルに描きたかった。野村芳太郎、橋本忍、山田洋次らは『張込み』にすべてをかけた。やがて彼らは、大ヒット作『砂の...
清張映画にかけた男たち―『張込み』から『砂の器』へ―
【期間限定価格】清張映画にかけた男たち―『張込み』から『砂の器』へ―
清張映画にかけた男たち 『張込み』から『砂の器』へ
商品説明
ただの娯楽映画にはしたくなかった。松本清張の世界を徹底してリアルに描きたかった。野村芳太郎、橋本忍、山田洋次らは『張込み』にすべてをかけた。やがて彼らは、大ヒット作『砂の器』を生み、幻の映画『黒地の絵』へ……何かに打ち込むことがすべてだった「昭和」の日々を描く、情熱と哀惜のノンフィクション。
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紙の本
映画みたいに面白い
2015/09/18 07:30
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本は映画評論ではありません。
あえていうなら、昭和33年に封切られた、松本清張原作、橋本忍脚本、野村芳太郎監督、大木実、高峰秀子主演の、映画「張込み」制作の、ノンフィクション作品です。
何しろ著者の、映画評論家西村雄一郎氏の実家は佐賀の老舗旅館松川屋で、この宿屋こそ主演の大木たちが撮影のために宿泊した宿屋だったのです。
西村氏にとって、映画「張込み」の制作日記をたどることは、自身の子ども時代の日々をたどることでもあり、そういった人と人との交差が、この作品の魅力になっています。
タイトルに「清張映画」とあるように、前半部分は映画「張込み」のドキュメント、後半は数多く作られた松本清張原作の映画をみていきます。
その中には「清張映画」の代表作ともいえる「砂の器」(これも野村芳太郎監督)も当然はいっています。
しかし、なんといっても前半の「張込み」制作のドキュメントの、なんという面白さ。なんというスリリングさ。それだけで、1篇の映画を観ているような気分になります。
そもそも「張込み」は松本清張の短編小説で、それを2時間の映画に仕上げた橋本忍、野村芳太郎の才能はすごいものがあります。
そのすごさは佐賀でのロケにも現れていて、野村芳太郎は松竹の本社からしばしばロケ中止の勧告を受けたといいます。それでも、野村は撮影をやめなかった。
そのあたりがとてもミステリアスに描かれています。
そして、透かし絵のように現れるのが日本映画の巨匠黒澤明です。
野村は黒澤のような粘る演出を一度はしてみたいと念願していました。それが「張込み」の撮影につながっていきます。
脚本を書いた橋本忍は黒澤明の作品を何本も書いています。
橋本と野村をかつて引き合わせたのも、黒澤明でした。
つまり、映画の観客人口はもっとも大きい時代に今でも残る名作となった「張込み」には、黒澤明の影がちらちらしているのです。
このドキュメントが生き生きとし、しかも刺激的なのは、初めてのロケ隊に興奮した佐賀の普通の市民がいたからでしょう。
人の渦が、この作品を熱くし、面白くさせています。
実に熱い一冊です。
紙の本
張込み」にしても、あの名作「砂の器」にしても、断然、小説より映画の方が面白い
2021/10/09 22:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者・西村雄一郎氏の実家が「張込み」のロケに使われていたことは、昔、テレビのドキュメンタリーで見たことがあり知っていた。はっきり言うと、「張込み」にしても、あの名作「砂の器」にしても、断然、小説より映画の方が面白いのだ。加藤嘉さん演じるライ病患者のインパクトは映画でないと無理だと思う