紙の本
美しさは些事だと思う
2018/09/15 16:58
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投稿者:休暇旅行 - この投稿者のレビュー一覧を見る
星3つ「わりと良い」
宮木あや子さん、初めて読みました。文庫本の背表紙あらすじおよびそれにもとづいていた(と記憶している)新聞広告に刺激されて購入したのですが、ぶっちゃけその惹句とは作品実態がまるで異なった気がします。
じつは本作にとって、主人公の少女が美しいかどうかなんてどうでもいいのではないでしょうか。美しさに主眼を置きたいなら、直接関係のない美女をもう一人出す必要もないし(弐)、少女の美しさに左右されない人間をそう何人も出す必要はないし(参・伍)、生きる理由として仲間を与える必要もなかったし(四)、なによりちゃんと少女にセリフを与え一人称で語らせ、そして最後の最後に名前まで与えてしまう必要はないのですから。
「美しさ」を捨てて少女に語らせる覚悟、そして最後まで少女を肯定せずに前原に語らせ続ける覚悟。……って、解説の綾瀬まるさんがいってることそのままじゃん、と今気づきましたが。あまりこの手の(R-18文学賞的な? って雰囲気でいっていますが)小説を読んだことがなかったので、そのためにこちらの感受性が鈍かった面もあるし、一方で新鮮な衝撃を受けた面もあります。
文章も、桜で冒頭から西行→梶井と来るようなところに鼻白みましたが、それもまた覚悟なのでしょうね。結局そうした文章の喚起力を私は否定できない。
好きとはいえないし、再読も多分しないでしょうが、なんというか勝てる気がしない。
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ドロドロのどA面。
私は最近「B面はリアルでA面はファンタジー」と思ってたけど、解説の彩瀬まるが“箱庭”と表現していて、あーなるほどと思った。
初めから終わりまで、
「うへぇ、こいつ変態だ」
「美しすぎるのも大変だな……」
「うわぁ、うわぁ……(言葉にならない)」
という3つの感想の繰り返し。
本当は愛し合っていたのにすれ違っていた夫婦の話は悲しかったな。
夫の話を読んで、何度妻の話を読み返したことか。
唯一の救いは、まともだった教師の前原と、少女に体を貸した恋人のミツコが救われたこと。
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なんて救いのない物語なのだろう.美しすぎるがゆえに苦難を強いられる少女.来世ではあの少年と結ばれて欲しいと願わずにはいられない.しかし背表紙のあらすじはちょっと難ありだと思うな.あれじゃ低俗な官能小説と勘違いされてしまうだろうに.
以下あらすじ(背表紙より)
人を狂わすほどの美しさを内包した一人の少女。父親や男たちの欲望から逃れ女子校に入学するが、教師に襲われ学園を去る。しかし転校先でも同級生からのいじめと教師からの暴行は繰り返され―。やがて少女は安息を求め、教師の前でスカートを捲り言う。「私をあと二年、守ってください」。桜咲く園は、天国か地獄か。十代の絶望を描く美しき青春小説。
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前々から気になってはいたんだけど、なかなか読む機会がなく、装丁が素敵な文庫が出たのをきっかけにウキウキ購入。
美しい少女が生きていくために自分の体を差し出す官能描写あふれる小説かと思って読み始めたら全然そんなことなかった。今気分がどんよりと沈んでいる。
「官能と少女」と同じ系統ですかね……。
美しさに狂わされた人間が、少女自身をも狂わせていくというか、狂ってしまってもおかしくないのに正常なことが怖いっつうか異常に感じるのだよね。
最後にはきっと死を選ぶしかないだろうな、と思っていたけど、少女にとって死が安息にも救いにもならないことがこれまたエグい。
好きだった少年の一部を取り戻して、空かも海かもわからない水に戻る。それで少しは安らいだんだろうか。
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異質な美しさゆえに地獄のような環境にさらされ続けた少女の話。
現代、10代、学校、と共感しやすい要素ばかりのはずなのに、各章の主観人物の欲望や乾きが理解できない気味悪さを募らせる。
終盤で少女の名前を目にした時、やっと少しだけ感情移入ができた。
前原とミツコの存在があって本当に良かった。
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誰も幸せにはならない、そして少女は決して救われない。でもこの物語を嫌いだとは思いません。そんなお話です。
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個人的にはこういう描写が初めてで新鮮尚且つ斬新でした。
周りに周って最終的に結びつくって、頭を使いながら読むから何度か戻ったりもしたし、あーこういう事かってなった!
いやぁ、楽しかった!
最後は「ふぅ。」って感じで終わりました。
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美しすぎるがゆえに、人を狂わす。
ひとりの少女を取り巻く、
欲望と狂気が乱れ舞う 青春小説。
鳥肌立つような、上手い文章がいっぱいあった。
だけど...エグい。グロい。
こんな教師っている?こんな家族ってある?
絶望と残酷さ極限の状況に、
眉間のシワも、いっぱい寄った。
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2016年、13冊目は(個人的)名作『花宵道中』以来の宮木あや子。
その美しさゆえ、欲望と虐めの対象とされた一人の少女。そして、その周りの人々の物語。
全六章、連作短編のように視点や語り手を変え、時系列を前後させて進んでゆく。
欲望と暴力の連鎖は苦手な方々も多いだろう。また、背表紙のあらすじや帯で官能を期待すると肩透かしを喰らうコトとなります。
非常に狭い世界の話で、全体的には良かった。それだけにあの「落とし」は全く好みと違って、もったいない。なので、評価は★★★☆☆。
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「官能と少女」に続いて宮木作品二冊目。
どちらも同じエロとグロ。
流石に二冊目になるとインパクトは低下。
他の人の感想を見ても似た様なもの。続けて読む物じゃなさそう。
そもそもこの作品は読者を意識して書いたものなのか?
なんだか自分の中に浮かぶドロドロしたイメージをひたすら書き出して行ったという感じがする。
それが悪いわけではないのですが、当然ついて行けず、置いていかれる人も多いと思う。
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少女とは病みで
美しさとは呪いで
桜庭一樹の七竈が光としての絶望であるならば ここには何もない
春が狂っている
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どこかにいそうな気がする
主人公の少女、小さい頃から男は虜になり偏執的な暴行を受け続ける、女からは煙たがられる存在。
男は皆、少女に狂い狂人となっていく。
少女は暴行されてもなんとか身を保ち育っていく。
少女は自分と同じ境遇を歩んできた美しい少年と出会いお互いの心を通わせるが少年は家族によって戒められ自ら命を立ってしまう。
少年を戒めた家族(少年の兄)が少女の学校の教師になり少女は兄の殺害を企てる。
春狂い
内容もわからずに本屋で手にとってあまりにも表紙のイラストが美しかったため購入しました。
あらすじを読んでこれは重い内容だなぁと読み始めると想像よりはるかに重かった。
読み終わってぐったりしましたがこのような女性、男性というのはどこかにいるんじゃないかという思いにもかられました……自分も病んでいるのかな(^^;)
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表紙のイラストが素敵な一冊。
が、正直よく意味がわからない。
と言うか理解しがたい。そして気持ちが悪い。
まさしくタイトル通り『春狂い』だな、と。
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探し求めていた本、そのもの、、って感じでした。
美しすぎるゆえの現実、スカートを捲り上げていうフレーズの恐ろしさが堪りませんでした。
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死ぬ以外何とかならなかったのか・・・ここまでどうにかうまくわたってきたのに
という感じ
愛と憎しみは紙一重? 人は変われるのだろうか