恋愛派閥

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投稿者：やじやじ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ネタバレあり

これのスピンオフである「雪の褥に赤い椿」を
先に読んでしまい、どうしようかなって思いつつ
気になるので読んでみました。
どちらも単体で読んで問題ない作品です。

こちらは思っていたよりも
軽妙な語り口でまじめに政治の世界と
与野党の二人を描いておりました。
「雪の褥に赤い椿」とは全然系統が違う話です。

野党の新人議員・高遠は見栄えも良いし
（不倫なのに迫ってくる議員がいるほど）
男気はあるし、
陰謀に巻き込まれた親の真相解明（名誉回復）はしようとは思っている。
（でも政治家として続けていく気はなし）
高遠の話をメインで追ったら超重たい話になるのですが
そこを破壊するのが高遠の父の敵の息子である瑞木です。
瑞木はキャラたちすぎで・・・
全てを破壊する感じ。
端麗な顔立ちをしているのに、着ているもののセンスがオヤジ
しかも部屋までもが何かの呪いかと思うほどです。
（金屏風に錦鯉に・・・もう誰か止めてやってな感じ）
しかも酔っぱらうといきなりところかまわず脱ぎだす有様
高遠と関係を持っても酔っているので記憶になかったりと
すべてを踏みしだく破壊力です。
これの具合が絶妙で、
重い設定を軽妙に読ませてくれます。
ロミジュリ的なせつない展開になってもおかしくない二人の関係をも
そうはさせなかったのは瑞木の力でしょうね。
（雪の～は超メロドラマだったのでその点では系統はまったく違う作品）

若干、悪代官位置の瑞木父がちょっと情けなさぶりにん？？と
なったりしました。
（父と秘書の関係が思わせぶりすぎー）
ちなみに瑞木弟が怖い・・・
高遠陣営にスパイで入りこみ、陣営を手中に収める手腕といい
兄と高遠の関係を盗聴したり、高遠を脅したりと怖いことこの上ありません。
（パソコンのデータ破壊については・・・パスワードがあれでは・・・）
兄思いなブラックなのですけどね。

「雪の褥に赤い椿」でちらりとこの後10年後の二人が出てきて
相変わらずがんばって二人で政界にいるのがちらりと見られます。
（二人とも独身だし！）
この政治不信な状況の中、
本当にこんな二人がいてくれたら良いのになぁって思ったりしました。

☆3.5評価の4です。