紙の本
訓練生スパイ
2016/02/10 13:08
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投稿者:TERU☆MITSU - この投稿者のレビュー一覧を見る
「太陽は動かない」で登場したスパイ、鷹野一彦の高校生時代の物語です。手に汗握るスリリングな展開でとても楽しめました。相手との心理の読み合い、体を張った訓練だけに留まらず、男同士の友情、甘く切ない恋の場面もあります。「太陽は動かない」で登場した他の人物もチラホラと登場するので今作を読んでから「太陽は動かない」を読み返せば面白さ倍増です。2016年2月現在、今作に関連した「ウォーターゲーム」が連載中とのことなので単行本になるのを楽しみに待ちたいと思います。
紙の本
孤独に生きるということ
2015/09/23 22:23
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投稿者:かぎろひ - この投稿者のレビュー一覧を見る
気がつくと、吉田修一さんの本を、ほとんど全部、手に取って読んでいました。
どの本を最初に手に取ったのかは、正直、よく覚えていません。
何冊か読んだ後、気がつくと、同じ作家の作品だということに
気がついたのでした。
たぶん、どの作品からも、孤独に生きるということに、
作家が真摯に向き合っている、その姿勢のようなものが、
感じられるからなのではないかと、思っています。
まだ、きちんと、うまく言語化できません。
もしかすると、別の感情かもしれませんが。
「森は知っている」は、エンターテイメント小説として、十分楽しめる作品です。
ですが、主人公だけではなく、少ししか登場しないような人物からも、
彼ら彼女らの、孤独な人生が想像できてしまい、気持ちが揺さぶられます。
なぜか、すべての登場人物のハッピーエンドを期待してしまう…
なぜでしょうね。
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「太陽は動かない」の主人公が少年だった頃の話。太陽のほうはあんまし興味持てず途中で読むのやめちゃったけど(エンタメ寄りだったような記憶)これは心の揺れが感じられて面白かった。
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鷹野ってなんか聞いたことがあるような?と思いつつも、なんの疑いもなくせっせと読み、ちょっとひとこと言いたくなる部分もあるけどエンタテイメントと割り切ればまあいいとして、青春小説なのかスパイ小説なのかハードボイルドなのか、そのどれにもなりきれていないままで中途半端なのが物足りず、それなりに面白かったけどあと一歩だな、と本を閉じつつチラ見したエピローグの次のページには、『太陽は動かない』の広告が。ああ、あれね、と読むともなしに目を向けた謳い文句には、AN通信の鷹野一彦がなんちゃらかんちゃら…えええーっ!まじかー!そ、そーだっけ(汗)そーだったかな、鷹野って…そーいやそんな名前だったような気も…。あわわ。
自分のあまりの不甲斐なさに愕然とした。読んだのになあー、すっかり忘れてたし、シリーズだったとは!そんなの気にも留めてなかったし、本書もただ単に吉田修一だから読むぞ!と決めてただけで予備知識もゼロだったし…。
完璧に『太陽〜』を忘れている自分。嗚呼…。
そんなこんなで読んだ感想も吹っ飛びそうな衝撃がまず一番。次に、面白いけどせっかくだからもうちょっと突っ込んで書いて欲しかったというのが二番。
あーあ、もう一回『太陽〜』読むかなぁ…。
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「太陽は動かない」の主人公産業スパイ鷹野一彦のルーツ。なぜ彼は産業スパイとなったのか。
彼の生い立ちは実際のとある事件がモチーフなのだけど、これは辛い。4歳の子どもにとって過酷すぎる。けれど、その「産業スパイ」としての任務は置いておくとして、彼が人として間違った方へゆがまずに成長してこられたのは4歳からあとの彼を見守り育ててくれた人たちの「愛情」のおかげで。そこに吉田作品の根幹にある人間へのまなざしを感じる。
スパイ、なんてフィクションの中のモノだと思っているけれど、これを読むと意外と普通に(システムは別として)彼らがいそうな気がする。
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ボーイズ・ハードボイルドの傑作が誕生した。ドン・ウィンズロウ『ストリート・キッズ』や石田衣良『池袋ウエストゲートパーク』が好きな人に薦めたい。
民間諜報組織によって生活の全般を世話されながら諜報員として育てられる高校生が主人公。組織は、凄惨な虐待の被害児童を引き取って生きる場所を与えつつ、冷酷な掟で忠誠を求める。はじめはこの設定のリアリティや道徳的善悪に引っかかる。しかし読み進めると、その引っかかりを回収して超越していく著者の力に感嘆することになる。
もともと、ノンエリートの男性を魅力的に描くのが得意な作家である。身体の逞しさと対照的に強調される神経の繊細さ、瑞々しい生命力と愛すべき不器用。そこには著者の「憧れ」を感じる。
シリーズ前作『太陽は動かない』にピンとこなかった人にも読んでほしい。もしかしたら、本作から読んだほうが入りやすいかもしれない。
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「太陽は動かない」前日譚。
前作では足りないと思ったものが今作にはある。
設定の甘さはその力強さで押し切れる。これからますます著者のエンターテイメント活劇が楽しみでならない。
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吉田さんのスパイ小説は前にも読んだな・・と思ったら、同じ主人公でした。
これを踏まえて、前作を読み返したくなりました。
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孤児をスパイに養成する機関の話。
終盤の「裏切り」以降は良かった。
その前までは、GNN計画からAN通信ができた過程が話が簡単すぎて、スパイ組織の背景がよくわからなかったり、いくつかの疑問をそのまま読み進めざる得なかった。
また、スパイ組織の決まりとして、行動を聞いてはいけないと書いているのに、後半ではみんな聞いてるのは何故?
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とても面白かった前作を読んだから、よりよく楽しめた。この作品単品で見た場合、それほどでも、という気がする。前作の続編が読みたい。
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吉田修一「森は知っている」http://www.gentosha.co.jp/book/b8753.html 読んだ。産業スパイ物を謳っているけれどスパイ養成と暗躍の話はちゃちで浅い。主人公の生い立ちはたぶん誰もがすぐに判る実際の虐待事件を基にしている。アクションではなくこれは生きることを書いた話。吉田修一らしい
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センスを磨くには最初に一番良い物を知ることだ。1日だけなら生きられるだろう、それを毎日続ければ良い。キム来た。自分が騙している相手からは、必ず自分も騙されている。鷹野さんの少年時代。
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沖縄県石垣島近くの南蘭島で暮らす高校生の鷹野、柳、そして柳の弟・寛太。話は島のビーチハウスでのいかにも10代らしい“覗き”シーンから始まるのだが、実は彼らは・・・・。
力も性欲も持てあますやんちゃな高校生たちの青春ストーリーかと思いきや、
始まってすぐに彼らの過酷な背景が明らかにされる。
育児放棄された子どもたちを集め、戸籍を操作してから育成した後、優秀な産業スパイに育て上げるという大きな組織。
語学も武術もそして記憶力も英才教育された彼らは、高校生にして海外に派遣され、あれこれの“活躍”をしては組織に貢献する。組織との取り決めとして、18歳になったその日から一人前のスパイという扱い、そして35歳になるまで生きていたら、そこで自由の身になれる、という。
南のリゾート地での高校生活と、非情な産業スパイとのギャップが映画的に面白く、日本の話じゃないみたいだなぁ、と思いつつ、ぐいぐいと読ませられた。
幼い彼らを育てた保母さん的な役割の人、現在の身の回りの世話をするお婆さん、また、“先輩”として彼らを指導する男たちや、行く先々で出会う仕事仲間、そして敵・・・。それぞれ魅力ある人物たちで背景となるエピソードもほろりときたり、ドキドキしたり。
展開が早く状況が二転三転、巧な伏線、誰を信じればいいのかという疑心暗鬼、優しさが入り交じり、
段々残りページが少なくなってきても着地点が見えない!
最後はどうなるの?、ちゃんと話は終わるの? とそこに一番ハラハラしていたら・・・・
ネタバレです。
これって、既刊の「太陽は動かない」のスピンオフ作品だったんですね。
私、「太陽・・」は幸か不幸か未読だったのですけど、
そこで活躍する冷酷非道&優しい企業スパイ鷹野の若いころの話、という位置付けで
それを知っていれば少なくとも、この「森は・・・」では鷹野は死なないし、企業スパイへ道を選ぶ、ということがわかっていた、ということ。
うん、なるほどね。
私は知らなかったからたっぷりハラハラできて(汗)お得だったってことでしょうか?
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自分の「太陽は動かない」のレビューを見ると、物語に入って行けなかったようだ。ていうか、ほとんど覚えていない。これはサクサク読めた。
太陽~をも一度読んでみるか。
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前作太陽は動かないをだいぶ前に読んだけど、鷹野がどんな人間かイマイチわからなかった。今作で鷹野の生い立ちが分かって、引き込まれました。先にこっち読んで、太陽は動かない読んでもいいかもなあ。