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ビブリオバトルシリーズ第二作<怖い話>と<戦争>
2016/05/28 08:36
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投稿者:かんけつ - この投稿者のレビュー一覧を見る
うっかり二作目から読み終わってしまった。したがって、主人公の伏木空がもう一人の主人公埋火武人と出会って入部させるエピソードは後から読むことに。とはいえ、二作目から読んでも大きな問題はなかった。
架空の高校を舞台の部活動ものだが、空の女子高生らしからぬSF好きのおかげで古典SFまで含めたガイドブックにもなっているわけだ。非常に面白い。
ビブリオバトルなどという楽しげな交流があることは、この本で初めて知った。
ビブリオバトルの最初のお題が<怖い話>。
作中で紹介されていた小野不由美の「魔性の子」は既読。確かにホラーだったんだけれど、自分だったら「屍鬼」の方を選ぶかも。
「屍鬼」に影響を与えたキング「呪われた町」の上巻も相当怖かった。ただ下巻になると怖さは半減。謎が解かれないとストレス溜まるが、解かれてしまうとがっかりしてしまうミステリーのようなもの。
印象的な怖い話というと、子どもの頃読んだ五島勉「ノストラダムスの大予言」かな。当時はそれこそノンフィクションだと思っていたから、21世紀に自分がこうして生きていられないかのように思われたものである。何でも鵜呑みにするほどは素直じゃなくて自暴自棄にならずに忘れてしまって良かった。そういう意味では、別の意味でも怖い本だった。
<戦争>テーマで空が選んだのが筒井康隆「馬の首風雲録」。筒井康隆の本は読んでいる方だがこれは読んでなかった。今回紹介されているのを読んで読みたくなったな。
読んでないので、私が選ぶなら他の筒井康隆作品からなら「虚航船団」かな。「歌と饒舌の戦記」もありか。
戦争を描いたSFはそれこそ星の数ほどあるが、ほかに思いついたのはハインライン「宇宙の戦士」、ホールドマン「終わりなき闘い」あたり。
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夏休みに入った美心(びしん)国際学園(BIS)ビブリオバトル部は、造り酒屋を営む部員の家で合宿を開催する。お楽しみは夜、ロウソク一本の明かりだけで行われるビブリオバトル。テーマはもちろん〈怖い話〉。さらに、合宿明けの八月には、〈戦争〉をテーマに公共図書館でビブリオバトルを実演することに。部員たちは本を通して、体験したことのない〈戦争〉の問題と向き合う。
本格的ビブリオバトル青春小説シリーズ!
著者あとがき=山本弘
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このシリーズは主人公たちのキャラだとかストーリーだとかはおいておいて、と学会の作者が小説を紹介する小説仕立ての話となっているとして純粋な本の紹介本として読んだ方がよいだろう。ビブリオバトルそのものは本物を見たことがないが、それはそれで本人が思い入れたものを紹介するという意味では良いことだとは思うし、勝ち負けはあくまでも活字世界へのとっかかりとして付随するものでしょう。
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前作が面白かったから楽しみにしていた。
今回のテーマは「戦争」なのでちょっと重めかと思いきや、意外な本が紹介されていてやっぱり読みたくなってしまう。
ちょっと変わった校風の高校を舞台にした、色々なキャラの中高生の青春ものでもあるし、ブックガイド本としても面白い。
昨今のネット上なんかで見られる状況(ネトウヨとか、陰謀論とか)に対する作者の考えがすごく伝わる分、もしかしたら純粋な小説とは言えないのかもしれないとは思う。でも作者あとがきにもあるように、「大事なのは本を読むこと。歴史を知ること。この世界を知ること。」というメッセージは伝わるし、伝わって欲しいな。
ショーペンハウアーが、『読書について』という本で、書物の知識よりも自分の頭で考えろ、的な事を言っていたと思うけど、自分の頭で考える為にはやっぱり書物の知識って大事だと思う。
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このシリーズはいつも読みたくなる本を提供してくれる。
今回のテーマの一つは「戦争」ということで、それなりに既読本も有るが、多くははじめて見る本である。
「腰抜け愛国談義」宮崎駿・半藤一利
「書かれなかった戦争論」山中典子
「ぼくらの太平洋戦争」宗田理
を読んでみるつもりだ。
あとがきに書いてあるが、今戦争経験者は激減し記憶は急速に風化している。これを少しでも食い止めるのは本を読むしかない。
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」
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読まなくても良かった。このシリーズは読まないことにする。主人公は可愛らしいのだけど。副部長とノンフィクション野郎が好きになれない。わざとらしい脚色も観想してしまうし。
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ビブリオバトルシリーズ第2弾。今回のテーマは「恐怖」と「戦争」。
恐怖で印象的だったのは「時間の種」。SF的な恐怖が十分に伝わってきた。
戦争パートは「戦場における人殺しの心理学」。戦争時の加害者、つまり殺す側について研究された本。射撃訓練の丸い標的が人型になったのは引き金を引く事に慣れさせる目的であるとか敵との距離感が遠いほど抵抗が薄れるとか興味深かった。
ノンフィクションの本は前作で紹介されてた「小学4年生の世界平和」を読んだが苦手。本を読むという行為が疑似体験である以上、楽しい方が良いし登場人物に感情移入出来る方が面白い。
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BISビブリオバトル部シリーズ2作目。(1作目は未読)
「怖い話」と「戦争」。
嗜好の違う面々がストーリーで思想を、バトルで作品を語るのが、思い入れたっぷりでとても興味深い。
人間関係は、まあいいかな。
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今回は幽霊と戦争がテーマということで、私のすきな、というか興味のあるジャンルだったので早く読みたくてうずうずしていました。前作も思ったけど、キャラクターとかストーリーとか、読書についての考え方とか台詞はすごく説得力もあるし考えさせられて素敵だなあと。その反面、この話の文体というか語り口がどうも苦手でううーんとなりながら読み進めてました。でも話はすきなので読みたい!という矛盾と戦っていました。知らなかった本がたくさん知れたのでそれも読んでみたいなあ。
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いいかな~と思ってたけど読んでしまった2巻
相変わらずの面々
艦これで言い合いになる(笑)
わたしはこの作者さん知らないんだけど、
経歴によるとSF作家らしい
作中にもさらっと出てくる(笑)
掛け算とか、ラノベとか、アニメとか艦これとか
なんかオタクに理解がある人なのかな?
理解というかオタクなのかな・・?
ちょっと引くくらいふじょし目線描写がある(笑)
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読みたい本がまた増えた。作者あとがきにこめられた思いに共感する。頭も心も柔らかい若いうちに、たくさんの本を読んでほしい。もちろん、年齢なんて関係なく、学びたい、知りたい、考えたい、そんな思いを持つ人が増えてほしい。
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「大事なのは本を読むこと。歴史を知ること。この世界を知ること」後書きの著者の言葉に、この作品の魅力が詰まっている。本を読むことが偉いことなんかでは無いけれど、本を読むことで得られるものは大きく、その快感を知ってしまった人は、もうどうしようもなく本を読んでしまうんだ。
シリーズ2作目の本作では「恐怖」と「戦争」がテーマの本が多く取り上げられたが、例によって登場人物たちによって魅力的に語られる本の群れに、また読みたい本が増えてしまった。全体として1作目ほどの強烈な主張は無いが、その分色んな思考が入り乱れ面白い。
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いわゆるラノベ風の文体なのだが、SFの古典か最近に書籍まで紹介されているのでブックガイド的にも楽しみにしている。今度三作目がでるそうだ。
二巻目に渡る本巻のテーマは、ホラーと戦争。
20年来読み続けている宗田理の作品が、ビブリオバトルで使用されていたのが個人的には興奮ポイント。
キャラも安定しているので、あまり横道もそれず、かつ新キャラも出してきて次への布石も打たれている。そんな二巻でした。
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戦争を知らない私が、現実ではないフィクションで、何を知るのか。
ビブリオバトル青春小説、第二弾のテーマは戦争。大きく分けて二つ。読書という間接的な体験から何を学ぶのか。そして、フィクションの語れること。
実際の体験に、読書という疑似体験は勝てない。でも、疑似体験ですらないのとはまったく違う。この世界のすべてを体験するには物理的制限も時間的制限も大きすぎる。読書を通じて知ることができる世界は、決して無駄にはならない。読書による体験は距離も時間も超えられる。
ノンフィクションには力がある。けれど、フィクションだから描けることがある。それはifの切なさ、悲しさ。「だったらよかったのに」「だったらいいのに」への狂おしい気持ち。ディストピア小説なんてまさしくそういうものだと思う。比喩に語らせるのは権力による弾圧への抵抗手段のひとつ。
艦これに関する部長と武人の議論は、片がつかない問題である。戦争に悲惨な面や残酷な面がある一方、滑稽だったりカッコよかったりする面があることは否定できない。また、悲劇によるカタルシスが魅力的であることは否定できない。歴史は誰かの視点から見たhis story(=history)であって、事実とは距離がある。だからといって、否定を繰り返して避けるのではなく、もっとがっぷりと組んで考えて、常に問い続けるのがベター。忘れてはいけないのは、自分が正しいのではなく、間違っている可能性をいつも疑うこと。
ひとついうならば、公共図書館が初めてビブリオバトルを開催するのに、まさか戦後70年だからって、いきなり「戦争」を持ってくることはないと思います。まあ、このテーマについて語るうえで仕方ない舞台設定ですかね。第一巻とかぶってしまうけど、文化祭の公開ビブリオバトルとかで自分たちから提示したテーマだった方が自然かと。
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ビブリオバトル部の2巻。
部長さんが武人と語り合うシーンの一節に、「人の心を動かすには事実の羅列じゃダメなんだ。衝撃の大きさを感情として胸に刻み込まないといけない」といったようなセリフがあります。ふわっとした引用ですみません。ここのシーンは丸ごと、抜き出したいぐらいなんですよ。
戦争映画とかで、ドラマチックにするとすぐに戦争礼賛だ、悪影響だ、と宣う人々が多い昨今。そこを入口にして、物事を調べていくことが大事だと思うんですよね。もちろん多角的にね。フィクションとノンフィクションどちらだけでも知識は偏ってしまうと思うので。
空と武人の立ち位置がそれを表してるんだなぁ、と感じます。
個人的には、何かと悪影響だから規制しろ、っていうのは教育の放棄だと思うんだよね。なぜダメなのか?を教えることができない、機会を奪ってしまってると思うんだよね。
もちろん、ダメなものはダメだけど、それを自分たちはどうやって学んできたのか、って話ですよ。畏まった講演会よりも、身近な一言が響いたりするものだとは思うのだけど。
そういえば、八俣町図書館のビブリオバトルで「軍靴のバルツァー」を知って読み出しました。
なので、ミーナに一票です。