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子どもの成長戦略
2015/12/30 12:51
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投稿者:ぴー - この投稿者のレビュー一覧を見る
人間は、環境適応能力が非常に高い動物です。
幼児期にはその傾向が著しく、教育によって成功・失敗の道が大きく分かれてしまいます。
子どもの教育に適切な時間やお金をかけると、大人になってからよりもはるかに効率的に優秀な人材を育て上げることができるのです。
高齢者にばかりお金をかけるどこかの国は、間違いなく衰退すると思いまする
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『幼児教育の経済学』
2019/09/10 21:44
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投稿者:百書繚乱 - この投稿者のレビュー一覧を見る
《幼少期における非認知能力の獲得、向上が高校卒業率や平均所得、生活保護受給率、犯罪率などに影響する》
幼児教育や家庭教育の啓発書によく引用される「非認知能力」の重要性を説く研究を、原著者みずからコンパクトにまとめたもの
「非認知能力」やヘックマンの研究に言及するなら目を通しておくべき一冊
著者が2000年にノーベル経済学賞を受賞したことからもわかるとおり、もともとは労働経済学の分野における教育の投資効果に関する研究であったことに留意が必要
原著は2013年刊“Giving Kids a Fair Chance”
邦訳は2015年刊
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経済学の権威による幼児教育論です!
2019/01/14 11:38
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投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は経済学の第一人者による幼児教育論です。同書には、幼児の頃に積極的に教育すべき理由をはじめ、幼児期に適切な働きかけがないとどうなるのか?早期の教育でその子の人生はどう変わるのか?など、私たちにとって興味深いテーマについて深い議論が繰り広げられます。非常に読んでいて、納得させられますし、かつ目からウロコの事実も沢山あります。ぜひ、お子さんをお持ちの多くの親御さんに読んでいただきたい一冊です。
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幼児教育を巡る学者の議論と課題
2018/05/22 11:12
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投稿者:病身の孤独な読者 - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、ヘックマンの研究事例やその他のエビデンスを紹介しながら、幼児教育の必要性を説く文章から始まる。そして、その後の章では様々な学者がヘックマン氏の主張に意見をするという形になっている。一部賛成の者と反対意見とが混じっており、刺激的な議論を楽しむことができる。しかし、反対意見に関して、批判内容がヘックマン氏の論点とズレていることが多い。また、単なる感想程度の批判的意見などもあり、決して議論のお手本とはいえない。それでも、幼児教育につて考察するなら本書は読んでおいて損はないだろう。
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ノーベル経済学賞受賞者でもあるヘックマンの論文(Economic inquiry 46:289-324)とそれに対する識者の意見を掲載した議論集。厚ければよい、というものではないけれど、大きいフォントでページ数も少ない。米国の教育事情などの背景知識の解説などがもう少しあってもよいかも。
ヘックマン論文は、1960年代に行われたペリー就学前プロジェクトに論拠しているが、これは貧困層の3−4歳児を対象に、平日午前中の集団教育と週一度の家庭訪問を行ない、追跡調査したもの。10歳の時点でIQがには差がなかったが、40歳時点で学歴や年収、犯罪率などの点で良好な結果が得られた。この結果から、IQテストで測られるような認知的スキルよりもむしろ忍耐力や学習意欲、社交性などの非認知的スキルが改善が重要で、思春期以降などの教育も可能ではあるが、後になるとはるかに大きなエネルギーと時間が必要になるので早期介入こそが公平な分配を実現するためには重要だ、というのがヘックマンの解釈らしい
(ただし、生後四ヶ月からの介入を行ったアベセダリアンプロジェクトではIQを高める効果もあったということで、もっと早期に介入すると認知的スキルについても向上させることが可能なのかもしれない)
ただし、後半の議論で反論が続出しているように、IQ向上は2歳、3歳までは順調に効果があがっていたが、5歳になるまでに消える、という追試があったり、そもそもペリープロジェクトも費用がかかりすぎており、国レベルで実施するのは現実的でない、などの意見もある。最後の解説にあるように、米国の貧困層のリアリティがわからないとちょっとピンとこないところはある(日本のように95%が保育園や幼稚園に入っている国とは根本的に違う)
・ピーター・ロッシの法則。やる気に満ちた小規模な実験的努力は成果を示すが、これを大規模に再現しようとすると効果が弱まったりなくなったりする
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かなり楽しんだ。マシュマロテストのことや、幼児教育を家庭環境のよくない家庭に施した場合の経済効果など。やっぱり、早いうちに基本ができているのは大事かも。高校では、遅すぎの感もある。
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就学前教育の効用についての本。
・就学前教育はその後の人生に大きな影響を与える。
・就学前教育ではIQ等の認知能力だけでなく、忍耐力、協調性、計画力等の非認知能力も重要。
・成人の職業訓練は効果が小さい。
▼アメリカのペリー就学前プロジェクトの事例
経済的に恵まれない三歳から四歳のアフリカ系アメリカ人の子供たちを対象に、毎日平日の午前中は学校で教育を施し、週に一度午後に先生が家庭訪問をして指導にあたるもの。
二年間続けられ、対照グループと40年間にわたって追跡調査が行われた。
10歳の時点ではIQの差がなかったが、40歳になった時点では、高校卒業率や所得等で良い効果が出た。
所得や労働生産性の向上、生活保護費の低減など、就学前教育を行ったことによる社会全体の投資収益率は15〜17%という非常に高い結果が出た。
IQを高めるより、非認知能力を高めることに貢献。
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就学前の教育を受けた子と受けてない子では就学時点から学力に差があり、その差は忍耐力や協調性や自発性といった、学力やIQ以外の非認知能力の差によるもの。
非認知能力は生後すぐから就学前の時期(特に3〜4才)に適切な教育(刺激)を受けて発達するが、適切な教育を与えられない貧困家庭の子どもに公費で教育を行うと、成長してからの職業訓練よりも所得や社会的成功の率が上がる。
したがって、社会保障費や犯罪発生にかかるコストをあらかじめ抑えて納税率も上げることができる。
ということを研究によって導いたヘックマン教授の提言とそれへの反論、さらにその反論をまとめたもの。
前提として「就学前の幼児教育は大事」は基本的には誰もが同意していて、本書の外でも脳科学の研究結果などから現在は常識となっているが、「それを国の政策として大規模公平に行うべきか」「それで効果が他の政策よりも大きくあるのか」が論点。
(自分とこの)幼児にいついくらかけて何をするといいか、ではない。
幼児教育の有無が人生に重要だと知らない家庭で育つ子に幼児教育を誰がどうやって施すか、経済的な効率性の面から考えて、という話。
ヘックマン教授の書いてることには、親や家族が教育するのが大事という主張も含んでいるが、血の繋がった母親が、というよりは、義父母や親戚、里親なども含む家庭の養育者が、くらいのことなんだろうと思うのだけど未確認。
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ヘックマン氏の基調論文とそれに対するコメント,コメントに対するコメント,全体のやりとりについての解説(大竹氏)。
著者は経済学者(2000年ノーベル経済学賞受賞)。就学前における公共投資が成人後の租税負担可能性を上げ,社会的適応度(犯罪,健康,等)を上げ,その結果,社会の財政負担を下げる。
理想的には全ての発達段階で十分な教育投資があまねくおこなえればいいのだが,限られたリソースをどう配分するのか,時期なのか,プログラムの質なのか。日本でも貧困が問題になっている現在,この視座を熟考する価値がある。
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将来的に成功するかどうかには、3, 4歳での教育が大きく影響することが述べられています。一方で、大人になってからの職業訓練プログラムなどは費用対効果が低いことも指摘されていて興味深かったです。
ただ、幼児教育の具体的な方法については書かれていなかったので物足りない印象が残りました。
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探し求めていた答えはやはり見つからなかった。こうなると、何かこの研究は怪しいのではないかと思えてしまう。本書の中で、そういう反論をする人もいた。著者はそれに対してさらに反論している。それならば、具体的な幼児教育の内容を示していただきたい。「保育園義務教育化」「学力の経済学」とそれを探し求めて読んできたが、肩すかしをくらったような気分だ。幼児教育が大事なのはわかった。それが将来的に大きくなって返って来るのは確かなのだろう。で、その教育の具体的内容は何なのか。そこが知りたい。私が今関わっている幼児教育の教材などには素晴らしいものが含まれている。また、いわゆるしつけ面、態度教育が重要であるのも心得ている。しかし一方で、幼児に対する態度教育が、その子の知りたい、学びたいという意欲をそぐことになってはいないか、ということが懸念される。自分の子育てについて、お金はあまりかけず(絵本やパズルは買いましたが)良さそうなものは与えてきました。ある程度の学力もついたと思います。けれど、いま(高2、中3ですが)我が家の子どもたちの学びに対する意欲が強いかというと、決してそういうことはないのです。ハアとため息が出るレベル。まあ、「子育ては失敗するもの」というくらいにとらえておけばよいのでしょうね。(森毅の名言より)ということで、これはおもしろいと盛り上がっていたのですが、ちょっと不満の残る3冊でした。(それから、もう一言、「アメリカの貧しい」と「日本の貧しい」にはずいぶんと差があるのでしょうね。追跡調査で犯罪率がどうのこうのというのは日本ではちょっとイメージしづらい気がします。)
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内容もさることながら、前半がヘックマン氏の主張、後半がそれに対する専門家からのコメント(およそ8割以上が反論)という構成はすごい。前半でだいたい納得してしまったんだが、後半の批判部分を読んで「なるほど自分は甘かった…」と反省してしまった。
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就学前の幼児教育の必要性と効果について、経済性・効率性・公平性においていかに重要で社会にとってメリットが大きいものかというのを、費用対効果の側面、脳科学的な側面で説明した内容。
ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン教授が、実証的に研究した内容を、コンパクトにまとめていて大変わかりやすい。そしてその内容に対する教育に携わる各関係者の反論も様々な視点で紹介されており、それに対するヘックマン教授の再反論も掲載されており、就学前教育について多面的な視点で理解が深まる本だと思う。
就学前教育で重要なのは、「忍耐力、協調性、計画力」といった非認知力と言われる能力で、IQや学力といった認知能力開発が中心になりがちな教育とは違った能力にフォーカスしている。
主に本書はアメリカでの教育政策、家庭・経済事情がベースになっているため日本とは少し貧困の差や、教育の考え方の違いが多少あるが、文化や環境を超えた部分での共通項は見出しやすい。
日本に当てはめた場合についての理解は、本書後半の大阪大学副学長による「解説」を読むと分かりやすいが、それを内包したもっと広い視野での日本における活用としては別の書籍である古市憲寿氏の「保育園義務教育化」が大変読みやすく理解を進めると思う。
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社会的不平等・二極化の一端は生まれ合わせた環境に由来する。幼児期に非認知的なスキルに介入することで、その後の認知的スキルだけでなく社会的・情緒的スキルが向上する。社会にとっての費用対効果が大きい。
個人レベルではなく、社会的・政策的な観点からの議論でした。反論や再反論で、そんなに簡単なものではないとわかりましたが。
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幼児教育、特に貧困世帯の幼児教育に公的投資を行うことで、その幼児が成人になった際の所得向上、医療費削減などといった収益効果が見込まれる。それは、成人の職業訓練などに注ぎ込まれる公的投資とは比べ物にならないくらいだ、という。
本著でいう収益力は、いわゆる学力でいう認知能力(IQ)だけでなく、非認知能力(自制力など)が大きな役割を果たすといい、その非認知能力を幼児教育から公的投資で伸ばして行くべきだ、と論じてる。