紙の本
平易な文章の中に
2016/10/25 13:39
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投稿者:なりす - この投稿者のレビュー一覧を見る
中脇初枝さんの書籍は初めてでした。
中高生でも読めそうな平易な文章ですが、
ものごとの神髄からまったくずれない心意気が
十分に伝わってきました。
山崎豊子の「大地の子」ほどの密度の濃さはありませんが、
子供というフィルターを通した戦争の全体像が
きちんと描かれています。
どんなときも心優しい弱者が被害を受ける。
大人はそれに気づく責任がある。
子供は大人のアクセサリーやペットではありません。
紙の本
すごい!感動!号泣!
2016/08/23 20:01
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投稿者:飛行白秋男 - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者の調査に費やした時間は知りませんが、きっとものすごい時間を費やされてこの作品が完成したのだと思います。
戦争は悲惨なのだ。ということが前面に出ないけれど、ものすごい迫力で迫ってきました。
直接戦争を知らない著者の作品と知り更に感動致しました。
著者のお力で、とても読みやすい本です。
本当に、ひとりでも多くの方々に読んでいただきたい本です。
日本が将来に渡り戦争をしないためにも、これから日本を牽引する
若い方々は絶対に読んで欲しいと思います。
中脇さん、こんな素晴らしい作品をありがとうございました。
紙の本
自然に涙が溢れる。
2016/04/08 20:43
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投稿者:GORI - この投稿者のレビュー一覧を見る
読んで良かった。
希望を持って満州に移住した珠子、朝鮮人の美子、裕福な横浜育ちの茉莉の3人が洪水で一夜を一緒に明かす。
一つだけのおにぎりを、美子は大きな塊を茉莉へ、そして次に大きい塊を珠子へ。
この場面がなんとも良い。
珠子は美子が当たり前のように出来る事に心を打たれる。
茉莉は戦争で孤児になりその場面を思い出す。
そして、皆が飢えて人の物を当然のように奪っていく。
幸せになるために人のものを奪う事、自分たちが幸せになるために満州の土地を奪って暮らしていたこと。
そんな自分を忘れないために私は生き続ける。
伝えたい事、残したい事、忘れられない手の感触。
そんな手触りが私の手にも残される一冊。
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投稿者:テラちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争、反日、朝鮮戦争、文化大革命、中国残留孤児などなど。テーマが多過ぎ、しかも3人の女性が登場するため、時代が急に飛んだりして粗削り。あらすじの域を出ず、せっかくの良いテーマがもったいない。想像録を膨らませ、上・中・下の三巻くらいの濃い密度にすべき。方言が多用されているのも読みづらさの一因。
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息を詰めるように、恥じ入るようにして読んだ。戦時中の満州でほんのいっときを共に過ごした3人の少女のその後が描かれる。家族と生き別れ残留孤児として中国で育った後に帰国する珠子、在日朝鮮人として日本で生きる美子、そして裕福な家に育つも家族を失い戦災孤児となりその後も独り身を貫く茉莉。貧しく無知で非力な者が戦争の犠牲にされる。子供であろうがそれはもう容赦なく。先日読んだ『波止場にて』(野中柊)とオーバーラップする部分もあり、この時代に生きた人々に思いを馳せた。
著者にとっては新境地というのではないでしょうか?
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作者は命を削る思いでこれを描き切ったんじゃないかな。それくらい意欲的で、傑作といえる。
毎回毎回重たく難しいテーマで挑み、書き上げる作家さんというイメージが強いが、今作はその中でも群を抜いて難しかったのでは。二十年温めてたとあるし。
以下出版社からの引用。
戦時中、高知県から親に連れられて満洲にやってきた珠子。言葉も通じない場所での新しい生活に馴染んでいく中、彼女は朝鮮人の美子(ミジャ)と、恵まれた家庭で育った茉莉と出会う。お互いが何人なのかも知らなかった幼い三人は、あることをきっかけに友情で結ばれる。しかし終戦が訪れ、珠子は中国戦争孤児になってしまう。美子は日本で差別を受け、茉莉は横浜の空襲で家族を失い、三人は別々の人生を歩むことになった。
ここにはこの時代を知らない人も、そこにあった事実を忘れてはいけないということ、繰り返してはならないということ、大切なことたちがうんとつまっている。
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世界中のこどもたちがみんな笑顔で手をつなぎ一緒に歌を歌えるような、そんな日が来ることを祈らずにはいられない。
満州開拓団の人たちのいわゆる戦後の苦労については、ある程度知っているつもりだった。
けれど、それはあくまで「知っているつもり」というだけで、どこまでいってもそのときの苦しみも悲しみも、分かることはできない。分かることができない私たちは、そういう苦しみと悲しみのない世界を手放さないように必死に「平和」にしがみつかなきゃならないはず。
全く別の環境で育った三人の少女が満州の地で出会い、とある出来事を通してつかの間の友情で結ばれた。その一瞬の友情がこんなにも大きく深く長く三人の手をつなぎとめる絆となるなんて。
幼いながらも彼女たちの中にあった「思いやり」という気持ち。その小さな思いやりの大切さをしみじみと思う。
多くの命を奪い、たくさんの幸せを壊し、人々を地獄へと突き落とす戦争という愚かな行為を、なぜ私たちはやめる事が出来ないのだろう。
一つしかないおにぎりを分け合い、自分がその一番小さなかけらを食べる。そんな優しさが世界中に溢れれば、みんなが笑顔で幸せに生きていけるはずなのに。
「いくらみじめで不幸な目に遭ってもね、享けた優しさがあれば、それをおぼえていれば、その優しさを頼りに生きていけるのね。それでその優しさを人に贈ることもできる」
今も世界中のあちらこちらに三人の少女がいる。彼女たちが血の涙を流さないように、今、できることを考える。
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戦時中に満州で出会った三人の少女が様々な過酷な出来事を乗り越え生きていく姿は哀しくも逞しい。戦争の悲惨さ愚かさを痛感させられる。そんな中で描かれる友情や思いやりに救われる。何度も心を揺さぶられた。読むべき一冊、今年のマイベストか。
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戦時中の満洲で出会った、歴史に翻弄された3人の女性の人生を描いた物語です。戦争によって各々の国でまともな生活を送ることができずに苦労した3人の女性の苦しみが切々と伝わってきました。まともな食事をすることすら贅沢だった時代を生き抜いた人たちの苦労を知ることのできるので、若い人たちに読んでほしい一冊です。
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そこそこ分厚かったですが、面白すぎて一気に読みました。
途中、辛い部分もありましたが
最後は笑顔になれました。
たくさんの人に読んでほしい作品です。
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★★★★★
自分の幼い頃の思い出を辿るとき、自からぐり寄せる力では引き出すことのできない記憶や、それに覆いかぶさる感情が存在していることがある。
この小説に入り込んでいると、描かれている世界とはまた別に、自分の失ってしまっていた、たぐり寄せることのできなかった記憶が紡ぎだす世界をも旅していることに気がつく。
その記憶を引き出すフックになるのは、登場人物たちの心の動きが描かれる部分の数々。
「わたしの手をぎゅって開いて、キャラメルを取っていった人のこと。この手にね、まだ残っている」
「人生が壊れるような状況になっても、店のために、肉を仕込まなくてはいけない。それが、それでもここで生きていくということだった。」
自分のしっかりした記憶なのに、成長の過程で何処かに落としてきてしまい、そのこと自体も忘れてしまっているモノ。それに出会うには、誰かが届けてくれるか、偶然に委ねるかしない。
その誰かが、この『世界の果てのこどもたち』だった。
2015/07/28
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戦後70年、夏のこの時期に巡りあえてよかった。戦争の体験を伝えることは難しいかも知れないが、伝えていく必要があると思う。
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終戦記念日の今日、この本を読んだ偶然になにかを感じる気がしました。
もちろん気のせいですが…。
高知の貧しい村から満州に行った珠子、朝鮮人の美子、横浜のお嬢様の茉莉。
子供たちの上にも容赦なく戦火は降り注ぎ、その人生を翻弄する。
子供の視線で何が起きているかわからないまま、身の上に起こったことが描かれ、その後大人になってわかったことが描かれ、戦争によって失われたものが描かれています。
救いは、3人の子供たちが再び出会えたこと。
世界中にこういう子供たちが居ない時代がくればいい。
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反戦ものは、その裏に作為を感じ、反発を覚えるが、この本は、すとんと腑に落ちる。しみじみと暖かい気持ちになる。
悲惨な情景も多いが、主人公3人の、ひたむきな強さに引っ張られ、嫌な気持ちにならない。幼少期の周囲の善意が、その後の人生の支えになる主人公たち。困難な状況でぶれない姿勢に、育ちの良さの本意を思う。
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いやぁー考えさせられました。
戦争って戦地に行った人達だけではなく
いろんな人の人生を変えてしまうんだと。
大人より子供は戦争をはっきり理解してない分酷だ。
開拓団として満州に移住してきた珠子。
韓国人の両親をもち韓国から満州にきた美子
横浜から遊びにきた女の子。
この3人は子供の頃に
一緒に満州のお寺でおにぎりをわけあったことを生涯わすれることがなかった。この思い出が戦後3人を再会させた…
戦後の3人の子供の運命は壮絶でした…
今の若い方にも読んで欲しい作品です。