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物語がつむぐ心理臨床
著者 三宅朝子
「不妊治療を機に摂食障害になった母親」「ミヤケを訪ねてたった一人でクリニックにきた少年」「解離になるしかなかった中学生」「激しいボーダーラインの女性」「抑うつになって初め...
物語がつむぐ心理臨床
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物語がつむぐ心理臨床 こころの花に水をやる仕事
商品説明
「不妊治療を機に摂食障害になった母親」「ミヤケを訪ねてたった一人でクリニックにきた少年」「解離になるしかなかった中学生」「激しいボーダーラインの女性」「抑うつになって初めて向き合うことになった夫婦」「癌による死を前にセラピーを求めた家族」─クリニックにやってきた、10のケースをめぐる物語。美しい言葉と繊細な表現を通して、心理臨床のリアルが語られる。……彼は私をみると、急いでポケットに手をつっこんで何かを探した。何やら紙を取り出して広げて私に見せた。それは皺くちゃになった一万円札だった。「ミヤケを一つ頼むわ! 金、じいちゃんにもらったお年玉だけど。このくらいあれば足りるか?」彼の額に汗がにじんでいた。私は驚いて、「ミヤケを一つ?」と聞きなおした。彼は、話がすぐに通じない事に少しいらついた調子で続けた。「オレの友だちがミヤケをやってるって。そいつすごく良くなったんだ。おれもいろいろ困っていることがたくさんあるからさ。ミヤケをやりたいんだ」
目次
- 第一章 大寒(だいかん)──不妊治療を機に摂食障害に陥った女性
- 第二章 啓蟄(けいちつ)──身代わりの子どもと世代間伝達
- 第三章 立夏(りっか)──精神分析的プレイセラピーの中で築くもの
- 第四章 入梅(にゅうばい)──母親としての自己愛を支える親面接
- 第五章 半夏生(はんげしょう)──思春期事例とその治療的中断
- 第六章 大暑(たいしょ)──破滅の不安の中に生きる精神病の男性
- 第七章 二百十日(にひゃくとおか)──境界例の女性を抱えることと治療者の夢
- 第八章 秋分(しゅうぶん)──抑うつを訴える中年女性の喪失と再生
- 第九章 霜降(そうこう)──ある初老期夫婦の心理的共謀
- 第十章 大晦日(おおつごもり)──死に逝く者のかたわらに臨むこと
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こんな事例集はじめてだ!
2012/11/30 11:21
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:こころ - この投稿者のレビュー一覧を見る
10人のクライエントの心の物語、つまりは心理療法のプロセスの中に映るこころの世界が描かれている。いわゆる事例集といってよい。とはいえ、こんな事例集に、未だかってお目にかかったことはない。登場人物、それは時にクライエント自身だったり、セラピストであったりするわけだが、その人になった様な臨場感を味わい、ハラハラドキドキ、ある時は切なく涙し、また時には無性に腹を立てたり、しながら、読み進んでしまう。
成田善弘先生だって引きこまれたっていうわけだから、誰だってあっと仰天だ。それでいていつのまにか、精神分析なるものを少しばかり学べてしまうこともできている。驚嘆の本である。