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無学問のすすめ ――自分の頭で考える思想入門
著者 伊東祐吏
「学問」って、そんなに必要? やるとバカになるんじゃないの? 原発事故が起こって発言をし始めた知識人はみんな興奮しているだけじゃないの? 本書は、吉本隆明、福沢諭吉、小林...
無学問のすすめ ――自分の頭で考える思想入門
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無学問のすすめ 自分の頭で考える思想入門 (ちくま新書)
商品説明
「学問」って、そんなに必要? やるとバカになるんじゃないの? 原発事故が起こって発言をし始めた知識人はみんな興奮しているだけじゃないの? 本書は、吉本隆明、福沢諭吉、小林秀雄、江藤淳、池上彰、養老孟司、内田樹、三島由紀夫、アーレントなど、さまざまな知識人の著作を俎上に載せ、誰もが薄々気づきながら言えなかったことに切り込んでいく。学問は使っても、使わなくてもいい。自分の身体の声を聞き、自分の頭で考える「素人」たれ! 「学問」から「無学問」へ。いま読まれるべき、新しい思想がここにある。
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紙の本
アーレントはぬれぬれで、フーコーはビンビン
2015/12/06 02:59
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朝に道を聞かば夕に死すとも。かなり。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
福沢諭吉は、国民全員に山登りすることを薦めました。そして、山頂に立った者が山頂に立てないを見下す時代がなります。
私は3合目でキャンプしてるんですが、山頂から「こっち来いよ!」ってかなりカッコよさそうな人が「こっちから見える景色はすげぇぜ」って言います。
え?こっちはピクニック気分なんですが、マジなトレッキングスタイル、それなんすか?とか思いつつ、なんか「うるせぇ」とも言えない。
トレッキングスタイルに武装した人たちの「こっちの景色はいい」ってのは、食欲や性欲のように身体がストップをかけるのですが「いい景色」がもたらす満足感は底知らず。
でもなんとなくわかるんです。絶壁登るの?って。いや、しんどいです。
「ピクニックでもトレッキングでも人それぞれじゃね?」という妥当な考えなんですが、「だーかーらー、景色が違うんだって!」って山頂の人は言います。
よくよく考えたら「景色がいい」とかいうよりもそのトレッキング姿の筋骨隆々な姿が「カッコいい」んです。
それで「山頂にありがたい仏閣があるんだけど」って言われて、周りのキャンプしてる人が「そうなの?じゃ、行こうか」っていう雰囲気です。
「オレ、今日キャンプ目的で来たのになぁ」モードなんですが、まわりの人は興奮している。
たくましい人が「オレ、お手軽に登れる方法知ってるよ」って言います。そこで周囲の興奮、使命感が生まれます。
トレッキング目的の人にとっては、山頂制覇が自分の矜持です。「仏閣あるんだから、ありがたいよ」とかいう人に「こっちはキャンプ中、話しかけてくんな」って言うのが難しい。
「知能のかなりの部分が遺伝によって決定する」というかなり科学的妥当性の高い遺伝学(一卵性双生児の知能・性格等の類似性)・脳科学(脳活動変化の客観的指標)の知が支持されない、嫌悪される理由は、教育したら誰でも賢くなれるというフェアネスが崩れるからです。
ホントはそうした遺伝要因に配慮したシステムを作るのが本筋なのに。体力的に山頂制覇が無理っていう人もいるのに。
8合目まで登っても仏閣が見えないと不安になります。そんな時、彼らが山頂で待っていてくれるか?って保証はありません。たぶんこう言います。「もっと登れ!」
こうした本が単に「反知性的」なdisり本と捉えるのは、可能ですが、「山頂行こうぜ!」ってのが一時的な知的「勃起」じゃないんですか?と筆者は問います。
伊東さんは「いつまでも素人でいること」を勧めます。
あ、これ読んで思い出したんですけどね、私が若い頃、大学でPC9800ってパソコンがあって、そのプログラミングを学ぶのが王道とされてたんです。で、Windows95に駆逐された。扇動してた人は、とっとと下山してました。
とはいえ、私たちは思ったより環境に左右されやすく、素人でキャンプしていても、まわりが登り出したら、不安です。だから「キャンプしてていいんだ」って個人で強く思うのは、かなり困難です。
知能が高いってのがサラリーに結びついている職が多く、なんとなく「意識高い系うざいね」って思っているけど、「いつまでも素人でいること」は8合目まで登った人にとって戸惑いになるわけです。みんな登ってきたのに。登っている自分カッコよかったのに。
トレッキング姿の人のカッコよさに憧れる人は、反発を覚えて「この本、単なるdisり本なんすけど」「バカの言い訳」って反応になるかと思います。
評価が分かれる本です。私は好きですよ。もしがけ崩れがあっても、キャンプがあるから、降りてきた人にちょっとした食事くらいは提供できますから。