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日本を弑する人々
「戦後レジームからの脱却」を掲げ、保守層ならびに多くの日本国民の期待を担って登場した安倍内閣は、教育基本法の改正や教育三法の成立、防衛庁の省昇格、憲法改正の国民投票法の制...
日本を弑する人々
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日本を弑する人々 国を危うくする偽善者を名指しで糺す
商品説明
「戦後レジームからの脱却」を掲げ、保守層ならびに多くの日本国民の期待を担って登場した安倍内閣は、教育基本法の改正や教育三法の成立、防衛庁の省昇格、憲法改正の国民投票法の制定など、政策では歴代内閣と比べてもはるかに大きな功績を残した。では、なぜその政権が昨年7月の参院選挙で歴史的大敗を喫したのか。また、そうした「保守退潮」の機をうかがっていたかのように台頭しつつある勢力の「狙い」とは何か。「グローバル資本主義、構造改革が日本を救う」「慰安婦非難決議に対する日本の弁明は無用」「差別に泣いている人たちのために人権擁護法を」「皇室のご負担軽減のために宮中祭祀の簡素化・廃止を」「映画『靖国』の上映中止事件は、表現の自由に対する制限だ」……彼らの言説を信じていいのか? われらが祖国「日本」を殺し、息の根を止めようと狙う内外の確信犯、無自覚にも“善意”で日本を弑する結果を招こうとする人々を名指しで糺す。
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紙の本
伝統の上に創造を
2008/05/31 16:50
13人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:CAM - この投稿者のレビュー一覧を見る
渡部昇一氏、八木秀次氏の固定メンバーにゲストを加えた鼎談シリーズの5作目で、今回のゲストは衆議院議員の稲田朋美氏である。 対象は、戦後レジーム、従軍慰安婦、日米関係、歴史解釈、靖国神社、東京裁判、人権擁護法、女系天皇、永住外国人の地方参政権、夫婦別姓その他多岐のテーマに及ぶ。 編集がうまくなされているためか、全体的に無駄な部分が少なく、各論点について簡潔に問題が摘出されている。 精読することによって、上記した多くのテーマについて要領よく問題点を把握することができる。
一例を挙げれば、「女系天皇問題」である。 秋篠宮家に親王殿下が誕生したことによって、一時的には下火になった問題点であるが、当時の小泉首相にしても十分に理解できていたとは思えず、ましてや一般国民でこの問題の本質的論点を正確に把握していた者は少ないのではなかろうか。 本書では、八木秀次氏が女系天皇に反対する理由を四点に簡潔にまとめておられる(p.201)。 説得的な理由付けであって、私は素直に同意できる内容だと考える。 また、“科学的”な理由付けとしては、Y染色体について述べられている。これは、いわゆる“理系”的思考者に対しては極めて合理的な理由となろう。さらに、八木氏が、見落としてはならない視点として挙げておられる“天皇は祭祀王か、象徴か”という論点(p.203)も重要なものであると考える。 また、稲田氏が、現行皇室典範改正は必ずしも必要ではなく、1条の「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」という原則さえ守られれば、かりに数十年後に皇室典範上の“皇族”の中に皇位継承者がいないという事態が生じた場合でも、2条の“皇族”を“皇族”以外の“皇統”に属する方に当てはめることにすればよい、と述べられているのも重要な解釈論だと思う。
本書では、上記のような多岐の論点について議論されているのだが、あらためて評価したいのは稲田代議士の主張の確かさである。いわゆる郵政選挙で当選した新人議員には、その見識についてかなり疑わしいと言わざるを得ない方が多い。例えば、男女共同参画基本計画について、当時その担当大臣であった猪口邦子氏は「私が官僚の文章を一から書き直した。これは政治主導です」と開き直ったそうであるが(p.199)、なんとも危なっかしい“政治主導”であると考えざるを得ない。そうした新人議員の中にあって、理に基づきながらも日本の伝統と文化を十分に踏まえた上での信念ある主張を行う稲田氏の存在は出色のものであると思う。
元衆議院議長・前尾繁三郎氏はその著書『政の心』(1974)において、「保守主義の特性の第一は文字どおり、伝統と秩序を尊重し、これを維持しようとする歴史主義にある」「伝統の上に創造を、秩序の中に進歩を求めることこそ、保守主義の本領なのである」と説かれている。 真の保守とは、歴史から教訓を学びながら、それを新たな創造や進歩に変えていくことだ、という主張であろう。 稲田氏は、自民党若手保守政策集団「伝統と創造の会」会長を務めておられるそうであるが、今後ともに、「伝統の上に創造を、秩序の中に進歩を求め」ることを機軸としながら、真の保守主義政治家として、一層の活躍をされることを期待したいと思う。