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アインシュタインからの墓碑銘
著者 比企寿美子
1922(大正11)年秋、アインシュタインは、日本への講演旅行の途中、日本郵船「北野丸」の船中で体調不良を訴えた。(癌を疑ったという)。彼を診察し、回復に導いたのは、たま...
アインシュタインからの墓碑銘
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アインシュタインからの墓碑銘
商品説明
1922(大正11)年秋、アインシュタインは、日本への講演旅行の途中、日本郵船「北野丸」の船中で体調不良を訴えた。(癌を疑ったという)。彼を診察し、回復に導いたのは、たまたま欧州から日本へ帰国するため同じ船に乗り合わせていた外科医・三宅速(はやり)である。以後、二人は、お互いの家を訪問しあい、書簡を通じて友情を深めていった。しかし、海を越えた二人の友情も、第二次世界大戦の勃発によって途絶え、三宅速は妻と共に岡山空襲の犠牲となった。力及ばず両親を亡くした失意の息子・博は、戦後、アインシュタインへ父の死を知らせる。やがて送られてきたアインシュタインの手紙には、英語とドイツ語の墓碑銘が同封されていた。 「ここに 三宅速と その妻 三宅三保が眠る。彼らは共に人類の幸せのために尽くし そして共にその人類の過ちの犠牲になって逝った。 米国プリンストンにて 一九四七年三月三日 アルベルト アインシュタイン」日本を愛し日本人を慈しんだ天才アインシュタインと医学を通して日欧の橋渡しに貢献した日本人外科医にとって、戦争とは何だったのだろう。ナチス・ドイツのホロコースト、米軍の一般市民への無差別爆撃、原爆投下、そして九大生体解剖事件……。近代史の暗部に踏み入り、戦争と平和の意味を現代に問い直す渾身の著。
目次
- 第1章 アインシュタイン来日
- 第2章 それぞれの流れ
- 第3章 濁流
- 第4章 戦争、そして平和
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紙の本
歴史に深くきざまれるべき名著!
2009/08/17 01:04
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:NON - この投稿者のレビュー一覧を見る
終戦記念日を前に知人に勧められて読んでみたが、まさに日本の近代史に深く刻まれるべき、知られざる感動の実話が、美しく端正な筆致でみごとに描かれ、まるで映画を観ているかのような臨場感に引き込まれて一気に読んでしまった。
「戦争の悲惨さを語り伝える」というだけには留まらない、もっと大きな世界的視野に立った、人間の本質を問いただすような素晴らしい内容。読みながら驚きと発見の連続だった。
終盤のクライマックス、空襲の中を逃げ惑う幼女(著者)と主人公・三宅速博士の壮絶な最期の描写は、戦争の悲劇を語るに充分で、涙なしにはとても読めない……
重いテーマではあるが、文字の大きさやルビにも配慮されていて読みやすい。余韻に浸りながら、すぐにもう一度読み返したくなった。
戦争の記憶が薄れつつある現代日本のあらゆる世代、そして海外の人々にもぜひ知らしめたい貴重な一冊だと思う。
紙の本
今の日本のあり方を考えさせられる秀逸なノンフィクション作品
2009/09/13 01:43
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:つゆり - この投稿者のレビュー一覧を見る
原作者の比企寿美子さん、ご自身の戦争体験を元に、祖父である三宅速先生と アインシュタイン博士の偶然の必然とも言うべき、出会いを織り交ぜながら 決して、飾ることなく、ありのままのご自身の体験を綴られた良著です。 計算された文書構成と、流れるようなストーリがうまく読み手を引き込み 私自身も一気に読んでしまった秀逸な、ノンフィクション作品です。
この作品で語られるアインシュタイン博士が何故「原子爆弾推進」に署名
したか、そして原子爆弾を落とされた日本への想い、三宅家の苦労・苦悩
そして、今の日本人が忘れかかっている「良き家族のあり方」等、現代の
「戦争を知らない」人達にとって、学ぶべき点と、平和という概念がいかに 今の日本にとって、「良い状態」であるかを考えさせてくれる良著である と思います。読まれていない方は是非一度お手にとって、拝読すべき本だと 感じました。
紙の本
戦争をしらない子供たちへ
2009/07/20 00:12
6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:平和を祈る - この投稿者のレビュー一覧を見る
戦争を知らない世代の方が多くなった今・・・
戦争を知る意義は大きい。
戦争を知りたい。
その悲しさ、惨さ、心を裂くような思い。
それを知りたい戦争を知らない世代が多いのではないか?
平和、友情、家族 そして 心・・・・。
これらを教えてくれる書があるだろうか?
私は、本書は日本の歴史に織り込まれたアインシュタインと三宅速博士の友情のみならず、我々 戦争を知らない子供たちが知らなければならない 教科書的な書物であると思った。
心絞られる、涙溢るる 教科書が本書である。
必読というか、心から お勧めしたい。