紙の本
語りの妙
2017/02/22 20:47
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
探偵役・片桐大三郎のキャラクターがいい感じです。経験からくる前置きが異様に長く、そして見事な洞察力。トリック崩しの楽しみがいっぱい。ただ、3話目は読後感が悪い。
紙の本
「悲劇」4部作へのオマージュ
2016/12/20 17:06
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:katu - この投稿者のレビュー一覧を見る
タイトルからも分かる通り、エラリー・クイーンがバーナビー・ロス名義で発表したドルリー・レーンを探偵役とする「悲劇」4部作へのオマージュである。
本作は中編が4作入っていて、それぞれX, Y, Z, レーン最後の事件に対応している。原典を読んでいなくても面白いが、原典を読んでいるとより楽しめる。
主人公片桐大三郎の出自や人となりの説明がくどいのが難点だが、最後に収録されている「片桐大三郎最後の季節」のどんでん返しには見事にやられました。
投稿元:
レビューを見る
大三郎さんの濃厚キャラがナイスすぎる(笑)
このキャラで成立していると言ってもいいと思う。
基本、ミステリとしては謎解きに目を見張るところが
あるわけではないのだけど、最終話はうまい!
投稿元:
レビューを見る
ここ最近の倉知淳作品の中でも出色の出来!ロジックはしっかりしていて心地よいし、連作短編としての完成度も高い。満足。
投稿元:
レビューを見る
著者久しぶりの新刊は二段組400ページ超という大作です。
クイーンの悲劇4部作を下敷きにしているらしいのですが恥ずかしながら未読です…
「ぎゅうぎゅう詰めの殺意」は満員電車の中で起きた毒殺事件の話。ロジックが綱渡りすぎて若干の不安は覚えるものの、名探偵の推理なんて詭弁!とわりきって楽しむのが良いでしょう。
「極めて陽気で呑気な凶器」はなぜウクレレが凶器になったのかというお話。ひとつの気付きで事件の構図がガラリと変わる瞬間は快感でした。本書の中でベスト。
「途切れ途切れの誘拐」
発想の転換により導き出される意外な誘拐の目的はとても面白い!のですが…犯人の決め手となるポイントが弱かったり、推理の手順に違和感があったりと、消化不良な一編。
「片桐大三郎最後の季節」
原稿紛失のトリック、連作としての仕掛け、すべてに於いて見え見えなのですが、綺麗に纏まっているので良しとしましょう。
これからも著者がコンスタントに刊行してくれることを祈ります。
投稿元:
レビューを見る
映像化狙ってそうだな~!と思ったらラストでまんまとやられた。やっぱり本はいいな。
推理は最終的に勘を含めるものの、答えに至る道筋は論理的。ミステリに関係のない人物描写や片桐大三郎の伝説は多少しつこいがそれも含めて面白い。突飛な探偵ペアだと某お嬢様とドS執事なんかが一世を風靡したが、こっちの方が断然好み。口調がさっぱりしていて気持ちいいのが原因かもしれない。ギャグのような感じなのかと思っていたけど起こる事件はなかなかダークで、ただラストに収録されている秋の章で笑わされるので重い印象は受けないし読後感がいい。
・冬の章 ぎゅうぎゅう詰めの悪意
こういう殺し方したい!と思ってしまった。作中で難しさを言われているけれどやりやすさは大きな魅力。対象を都会の満員電車で通勤するサラリーマンに限定するのがネックだろうか。探偵役の片桐大三郎のキャラの濃さを見せつけられつつも論理的な推理に舌を巻いた。1章が長いがここでぐっと心を掴まれた。
・春の章 極めて陽気で呑気な凶器
章の名前がいい!ヨーキでノンキなキョーキ、声に出して読みたい~!冬の章でだいたい雰囲気をつかんだのですんなり犯人や殺害方法もわかる。手がかりが堂々と提示されるのは好印象。
・夏の章 途切れ途切れの誘拐
もう最高。ここまでぐっときた誘拐は初めて。推理にはいちばん無理があったような気もするけどとにかく好き。
・秋の章 片桐大三郎最後の季節
探偵役が移った!最後に作者にしてやられる。唯一誰も死なないし事件自体は脱力ものなのに驚かせるのはさすが。
季節は巡るんだなあ。
投稿元:
レビューを見る
約2年ぶりの新刊なので、この方にしてはインターバルが短いと言えるだろう。本作の探偵役は、元国民的大俳優の片桐大三郎。実在の人物では、故勝新太郎のイメージに近いだろうか。僕が知る限り、ここまで超大物の探偵役は初めて。
なぜ「元」なのかというと、聴覚を完全に失ったからである。役者業を引退した現在は、芸能プロダクションの社長に専念しているが、社員は社長ではなく「座長」と呼ぶ。そんな座長の耳代わりになるのが、入社2年目の若手・乃枝。常に座長のそばに控え、相手の話を素早くキーボードで打ち込み、タブレット端末で見せるのだ。
聴覚以外は至って元気な大三郎は、困ったことに探偵趣味があり、現職刑事からも頼られる。この趣味に乃枝は振り回され…という趣向である。
冬の章「ぎゅうぎゅう詰めの殺意」。通勤途中、混雑した山手線内での殺人事件に遭遇した乃枝。その手口から、捜査陣は無差別殺人を懸念するが…。いやはやびっくり、大三郎の推理は実にロジカルで、非の打ちどころがない。何なんだこの人は。てっきり、謎を解くのは別の人と思っていたので、見事な千両役者ぶりに戸惑ったほどである。
春の章「極めて陽気で呑気な凶器」。古今東西、ミステリ作家は様々な凶器を編み出したが、ウクレレというのは初めてでは…。現場には、他にも凶器に相応しいものがたくさんあったのに。なぜウクレレ? という謎だけで、ここまで引っ張るのはすごい。一流の役者だからこそ、一流の画家の心理が理解できたのだろうか。
なかなか面白いというのがここまでの評価だったが…夏の章「途切れ途切れの誘拐」。誘拐事件の最前線に乗り込むのは、さすがにやりすぎだが、それ以上に犯人確保後の真相の方が酷い。先の2編だって殺人事件でしたよ、ええ。でもね、いくら作り話でも、これは許容できない。乃枝でなくでも、聞きたくなかったよ…。
やや短い、秋の章「片桐大三郎最後の季節」。最後らしく、ちょっとした企みもある。またこんな手にやられたよと思いつつ、何だかほっこりして終わ…れればよかったのだが、前の章の後遺症で、ちっとも楽しめなかったのが正直なところである。一読者の勝手な言い分だが、倉知さんらしくない。キャラクターの魅力が吹っ飛んでしまった。
投稿元:
レビューを見る
倉知版ドルリー・レーン。
なんぞ仕掛けがあるに違いない、と最終章を読み始めたがまんまと騙された。うひー。
投稿元:
レビューを見る
エラリー・クイーンの「悲劇四部作」に倣った連作中編集。片桐大三郎のキャラが魅力的ですし、某大御所俳優や映画監督と思えるエピソードが散りばめられており、楽しく読めるところが良いです。
ミステリーとして見ると、謳い文句通りクイーンを彷彿とさせるロジックを中心とした展開と、著者らしい意表を突くオチで非常に面白いのですが、【冬の章 ぎゅうぎゅう詰めの殺意】はやや説得力に乏しい気がしますし、【春の章 極めて陽気で呑気な凶器】は事件関係者が嘘の証言をしている可能性もあると思うので、ロジックがやや不完全かなと感じてしまいます。
ベストは四作の中で最も地味なストーリーですが、ロジックと仕掛けが良く出来ている【秋の章 片桐大三郎最後の季節】。元ネタのお約束を逆手に取った仕掛けなので、「悲劇四部作」を読んでおくとより楽しめるのではないかと思います。
投稿元:
レビューを見る
+++
この一冊で、エラリー・クイーンの〝X・Y・Zの悲劇〟に挑戦!
歌舞伎俳優の家に生まれたものの、若くして映画俳優に転身、
世界的な人気を博す名監督の映画や、時代劇テレビシリーズなどに主演し、
日本に知らぬものはないほどの大スターとなった片桐大三郎。
しかし古希を過ぎたころ、突然その聴力を失ってしまった――。
役者業は引退したものの、体力、気力ともに未だ充実している大三郎は、
その特殊な才能と抜群の知名度を活かし、探偵趣味に邁進する。
あとに続くのは彼の「耳」を務める新卒芸能プロ社員・野々瀬乃枝(通称、のの子)。
スターオーラをまき散らしながら捜査する大三郎の後を追う!
「ドルリー・レーン四部作」を向こうに回した、本格ミステリー四部作をこの一冊で。
殺人、誘拐、盗難、そして……。最高に楽しくてボリューム満点のシリーズ連作。
+++
冬の章 ぎゅうぎゅう詰めの殺意
春の章 極めて陽気で呑気な凶器
夏の章 途切れ途切れの誘拐
秋の章 片桐大三郎最後の季節
+++
時代劇界の大御所、片桐大三郎が探偵役の物語である。聴力を失って役者は引退しているとは言え、存在感は少しも衰えず、社内でも、厳然と威容を誇っている。のの子(野々瀬乃枝)は、彼の耳代わりとして雇われたので、どこへ行くにもついていくことになるのだが、この二人のやり取りもなかなか味があって面白い。片桐は、庶民のことを知らないので、空気を読めないことは時にあるが、決して押しつけがましいわけではなく、観察眼は鋭く、推理力も見事なのである。警察が頼りたくなるのもうなずける。最後の章では、まさかそんな!?とどきどきさせられるが、まんまとしてやられてしまった。嬉しい限りである。もっと続きが読みたくなる一冊である。
投稿元:
レビューを見る
『レーン四部作』へのオマージュ満載の中編集、最初のXとYは凶器やら殺害状況まで揃えたりと、かなり本歌取り頑張ってるなぁと思いつつ、逆にそれが制約事項になっちゃってるな、という印象が拭いきれず。
映画好きには、主人公の片桐大三郎が語るどこかで聞いたことがありそうな銀幕スターの映画逸話が面白いですね。
レーン四部作読んでる人には、4作目のアレは判った上で読むことになると思いますが、その上でさらにアレを仕込んでくるとは。
やっぱり倉知先生はおっさんを楽しそうに描きますよね-。そこが良い。
投稿元:
レビューを見る
【収録作品】冬の章 ぎゅうぎゅう詰めの殺意/春の章 極めて陽気で呑気な凶器/夏の章 途切れ途切れの誘拐/秋の章 片桐大三郎最後の季節
*「夏の章」の真相が痛ましい。
投稿元:
レビューを見る
倉知と言えば、『星降り~』
あの時はすぐにフラグを追ってしまって特に感想は持てなかったのですけど
同じ感じで読んでいたらとんだ目に遭ったのです
特に最後。
あの章の為の前3章かもしれないというくらいにしてやられたああああぁぁぁあああ
短編……とゆー程でもなくて、中編集で程よく電車で読めたし、最後の章は全然考えてなかった結末がとても面白かったのでした
投稿元:
レビューを見る
もうタイトルからしてあれですね。個人的には「Xの悲劇」だけ既読、「Yの悲劇」と「最後の悲劇」は読んでいないのになぜかネタだけ知っている状態なのですが。それでも十分に楽しめました。元ネタを知ってる人も知らない人も楽しめるつくりになっていると思います。
片桐大三郎の破天荒なキャラが魅力的で、軽くぐいぐい読めました。彼の昔語りも面白くて素敵。事件はけっこうやりきれないものが多いし決して明るい話じゃないのだけれど。作風はきっぱり明るく爽やかです。
お気に入りは「夏の章 途切れ途切れの誘拐」。これ、酷すぎます。いくらなんでもあんなものを○○にだなんてっ! でもインパクトは抜群だし、読んでいる最中の「???」感が一番強かったのでした。片桐さん、いきなりあんな行動に出ちゃうし(笑)。
「秋の章 片桐大三郎最後の季節」も、あのネタをもとにこういう仕掛けにしちゃうか、というのが。ひたすらやられたなあ、という心境です。
投稿元:
レビューを見る
倉知淳久々の新刊は、何とドルリー・レーンのオマージュですよ!
聴力を失った時代劇の大スターが事件を解決するという思い切った設定。満員電車の中で起こった毒物注射による殺人事件。何故犯人はウクレレを凶器にしたのか? 誘拐犯による電話は何故何度も途中で切られたのか? 大監督の幻の遺稿が不可思議な状況で消失してしまう。そんな4中編が収められています。X、Yについては殺害法まで原典に則っていて、そうするとアレはどうなるのか…と思いきや、それを裏手に取り見事に騙してくれました。なるほど、これが故のドルリー・レーンなのかと拍手。
聴力を失っているため、秘書が会話の全てをタイピングして送るという形なのですが、だからその秘書も同じものを見聞きしているのに真相にたどり着けない。何故その真相に至ったのかを老俳優は昔の思い出になぞらえながら語る。そのことにより推理の筋道が見えるのが楽しいです。またこの作者の手として、かなりえげつないことをサラリと入れ込んでくるのですね。油断していました。
シリーズ化は難しいかも知れませんが、このコンビの話はもっと読みたいですね。