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社会が変わるマーケティング ― 民間企業の知恵を公共サービスに活かす
著者 フィリップ・コトラー(著) , ナンシー・リー(著) , スカイライトコンサルティング(訳)
大家フィリップ・コトラーが満を持して贈る、社会を変える方法=ソーシャル・マーケティング!「本書は、半世紀以上にもわたって民間企業で顧客満足を高め、売上と利益を上げるために...
社会が変わるマーケティング ― 民間企業の知恵を公共サービスに活かす
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社会が変わるマーケティング 民間企業の知恵を公共サービスに活かす
商品説明
大家フィリップ・コトラーが満を持して贈る、社会を変える方法=ソーシャル・マーケティング!
「本書は、半世紀以上にもわたって民間企業で顧客満足を高め、売上と利益を上げるために使われてきた「マーケティング」を、社会に変革をもたらすために活用することを提案している。マーケティングの基礎から具体的な実践手法まで、そして世界中の豊富な事例を紹介する。中には日本では考えられないような事例もあり、公共分野に関心のない方も、興味深く読むことができるだろう」(訳者まえがきより)
イギリスの学校給食を劇的に改善した有名シェフ。サービス精神が豊富なアメリカの郵政公社。フィンランドを世界で最も健康的な国に変えた「ファット(肥満)からフィット(スリム)へ」運動。官民あげて取り組まれたヨルダンの水資源節約キャンペーン。ネパールの画期的なHIV対策。……世界各国で実践されている、優れた公共サービスとそのマーケティング活動。コトラー教授が豊富な事例で「社会を変える方法」を解説する。
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紙の本
しなやかな維新の起こし方
2008/03/22 20:23
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kc1027 - この投稿者のレビュー一覧を見る
マーケティングの勢いは留まるところを知らない。
民間企業での長年に渡る実践を経て、マーケティングはいよいよ社会の側を
変え始めた。本書は豊富な事例でもって公益を実現するマーケティングと
その手法を解説している。
民間企業におけるマーケティング対象は市場という名のお客様の塊だ。
公的部門におけるマーケティング対象は市民という名の生活者の集まりだ。
ここで奇妙な感覚に襲われる。お客様と市民は別々に引き裂かれた存在
ではない。お客様としての人間は自分の意思でモノやサービスの対価を
企業に払う。市民としての人間は、税金を払う。払う前提は、サービス
以前に、国や地方といった土地にいることだ。当然、状況によっては
選べない場合だってある。払い方も国に対して払う場合もあれば、
地方に対して払う場合もあり、購買に付随して払う場合もあれば、
いつの間にやら徴収されている場合もある。
いずれにしろ、公的部門におけるマーケティング対象者は、そこに住んで
土地に根ざしていることによって、サービスを受けたり税金を払ったり
している。
本書で最も新鮮だったのは、終章で紹介されるニューヨーク市にCMO
(チーフ・マーケティング・オフィサー)がいるという記述だった。
その使命たるや1.市の新しい収入源を育て上げ、2.市の重要な施策と
各関係機関を支援し、3.市を世界中に売り込むことによって観光を
盛んにし、雇用機会を増やすこと、だというから驚きだ。
あのニューヨークでさえ、ここまでマーケティングに重点を置いて行政を
行っているということは、裏を返せば、世界最先端で在り続けるには
不断の努力が欠かせないという身も蓋もない現実の証左なのだろう。
こうして世界中の公的機関で土地の魅力を上げるためのマーケティングが
今も行われていて、そのサービスの優劣によって、移動できる市民は
移動している。当然法人というヒトも同様に。
「社会が変わるマーケティング」を考えること、それは税金の対価は
何なのかという、古くて新しい問題を顕在化させるものであるのだろう。
それは詰まるところ、税金の使い方を通じて、どんな風に生まれ、
どんな風に生きて、どんな風に死んでいきたいのかを考える行為に
他ならない。
では日本では誰がそれを形にしていくのか?それはサバイバルに
必死な地方を背負う人間、地方公務員ではないだろうか?本書にはそんな
世界の事例が随所にある。日本でも、ここ数年虐げられ続けた地方が、
公共サービスのマーケティングに真に目覚めたとき、しなやかな維新は
起きるのかもしれないし、もしかしたらそれはすでに、始まっている
のかもしれない。