読割 50
電子書籍
手を伸ばせばはるかな海
著者 著者:崎谷 はるひ , イラスト:おおや 和美
『完璧な』弟・和輝に対する劣等感の末、湘南の人気レストラン「ブルー・サウンド」に居場所を見つけた大学生・宮上瀬里。だが快活なスタッフのなかで唯一苦手なのが、大柄で野性的な...
手を伸ばせばはるかな海
手を伸ばせばはるかな海 (角川ルビー文庫)
商品説明
『完璧な』弟・和輝に対する劣等感の末、湘南の人気レストラン「ブルー・サウンド」に居場所を見つけた大学生・宮上瀬里。だが快活なスタッフのなかで唯一苦手なのが、大柄で野性的な厨房担当・中河原大智だった。どこか弟を思い起こさせる自信に満ちたその態度は、気弱な瀬里を萎縮させるが、やがてそれは彼なりの気遣いであることに気付く。そんな折、大智は突然現れた和輝から瀬里をかばったうえ、キスまでしてきて──!?
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紙の本
最低な母親こそがボーイズラブの生みの母?
2006/10/15 09:34
8人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hamushi - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「目を閉じればいつかの海」で、儚さすら感じさせるほど影の薄い脇役だった宮上瀬里が、その儚さをそのままに主役を演じているお話。
社交性のない陰気な性格のためにロクな友達もできず、もうすぐ大学を卒業するという歳なのに、何をするにも自信の持てない瀬里の卑屈さは、最初のうちは読んでいてかなりイラつくのだけれど、彼にはそうならざるを得ないような。それなりに過酷な生育歴があり、物語中でそのことが丁寧に語られていくにつれて、いかにもつつましく控えめな瀬里の魅力がじわじわと伝わってくる。どんな子供だって、たかが小学校のお受験に失敗したぐらいで母親に人格を全否定され、年中無視されるか無能呼ばわりされた上、非常識なレベルで出来のいい弟と常に比較されて暮らしていたら、心が歪むか壊れるかしても無理のない話だろう。
けれども瀬里は、萎縮はしたものの、歪みも壊れもせず、誰にも顧みられなくても地道に努力を続けることのできる強い心の持ち主だった。
そんな、あたかもハリー・ポッターのような(?)瀬里が、渾身の力を振り絞って地獄のような家庭から独立し、ハリーにとってのホグワーツ校の如く(?)、自分らしく成長できる場所としてのレストラン「ブルーサウンド」に出会い、そこでかけがえのない人々や恋愛と出会うのは、すべて、彼をネグレクトし精神的虐待を加え、家庭の中でひたすら追いつめ続けた母親のおかげである、と言えるのではなかろうか。
崎谷氏の作品では、「ミルククラウン」シリーズの主人公、希の母親が、まさに瀬里の母親と瓜二つの姉妹であるかのような人物である。情緒的に未熟で、子供を自分と分離した一個の人格の持ち主と認めることができず、所有物のように扱ってボロボロにしてしまう、最低な母親である彼女たちから、命からがら逃れた子供たちは、育った家庭とは遠く離れた場所で、魂の分身ともいうべき同性の恋人に出会ってしまうのである。私も子供のいる母親なので、なんとも皮肉な気持ちになるのではあるけれど、崎谷氏の物語のなかの母親たちに限って言えば、まあ自業自得といっていいのではあるまいか。とくに瀬里の母親は、出来損ないと思いこんでいた長男だけでなく、東大に入れたことが自慢でならない次男坊まで、シリーズの別の巻で同性のパートナーを伴侶に選んでしまうことになるわけで、まあ多少気の毒ではあるものの、こんな母親のことだから、自分が手塩にかけた次男が普通に結婚などした日には、自己実現の成果を奪われた腹いせに、嫁いびりに命をかけそうな気もするから、それでいいんじゃないかという気もする。
紙の本
ネガティヴさを払拭して
2015/12/18 19:42
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ゆう - この投稿者のレビュー一覧を見る
瀬里のネガティヴさに光を当ててくれたブルーサウンドの面々の存在が良かった。店長の店長、まゆきち、そして大智。はじめくらい様子だったのがどんどんと明るくなり自信をつけていくのに安堵しました。
電子書籍
素晴らしい職場環境
2020/12/26 20:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kochimi - この投稿者のレビュー一覧を見る
何事においても(特に恋愛関係の)
経験値の低いせりちゃんを、
みんながフォローし育ててくれる。
ブルーサウンドは素晴らしい職場環境ですね。
電子書籍
ブルーサウンドシリーズ 2作目
2020/09/14 16:10
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なつゆき - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作『目を閉じればいつかの海』に登場した大智と瀬里の話
この一冊だけでも楽しめるが『目を閉じれば~』を先に読むと、前作の裏で「ブルーサウンド」のメンバーが、どんな風に過ごしていたのかが分かり一層面白いと思う
そして前作では悪い子ではないが要領が悪い、どちらかと言うと暗いイメージの瀬里が意外に頑固で意地っ張りな天然さんだった事が分かる
話の終盤には「その天然さは無敵かも知れない」と大智も真雪も思い知ったはず
おおや和美センセイのイラストに惹かれシリーズ一気に大人買いしてしまった、ゆっくり楽しみたい