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公事宿事件書留帳六 ひとでなし
著者 澤田ふじ子
実直と評判の男・新兵衛が奉公先の息子を人質に御堂に立て籠った。同心組頭の弟・銕蔵に頼まれ下手人の説得にあたることになった菊太郎は新兵衛が犯罪に及んだ意外な目的を知り、一計...
公事宿事件書留帳六 ひとでなし
ひとでなし (幻冬舎文庫 公事宿事件書留帳)
商品説明
実直と評判の男・新兵衛が奉公先の息子を人質に御堂に立て籠った。同心組頭の弟・銕蔵に頼まれ下手人の説得にあたることになった菊太郎は新兵衛が犯罪に及んだ意外な目的を知り、一計を案じる。江戸時代のリストラ問題を描く表題作ほか、公事宿(訴訟人専用旅籠)で起きる事件の数々を居候・田村菊太郎が解決していく時代小説シリーズ第六作。
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紙の本
他人の子供を叱れた時代
2006/05/25 08:11
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「廓の仏」にこんなシーンがある。
紙風船を持っている男の子、弥吉がいた。
「貸して欲しい」と皆が言うが、
「前壊されたから嫌だ」と弥吉。すると、もう一人の男の子新之助が
「貸さないと、自分の父が雇っているお母さんを首にする」と言う。
そこで割って入るのは、彼等と何のゆかりもない、ただその場で遊廓の
風呂焚きをしていた市兵衛。
感心したのは、見せびらかした弥吉に対しても、親の威を借りた子供新之助にも、
さとして聞かせる所。つまり、喧嘩両成敗。
見知らぬ大人でも、その言い分を正しいとわかれば、ちゃんと子供は
逆恨みしないでその人を好きになる。子供なりに、命を張る事すら
辞さないのだから、あっぱれ。
「他人の子供を叱れない」って投書を見る昨今では、
こんな光景は見られないのか、とため息をつく。
確かに、インターネットで会った事もない人と
会話する事があるのに、マンションの別階に住む子供の事は知らないという人は多い。
本書では、見知らぬ老人を連れて来て世話する「悪い錆」四年前に訪ねた店の主人に諭された事を覚えていて訪ねる男が事件に巻き込まれる「四年目の客」など、
情に厚い京の人々がそこかしこに息づいている。
江戸時代のリストラ問題を描く表題作他、公事宿(訴訟人専用旅籠)で起きる事件の
数々を居候・田村菊太郎が解決していく時代小説シリーズ第六作。