読割 50
電子書籍
カシオペアの丘で(上)
著者 重松清
肺の腫瘍は、やはり悪性だった――。40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、俊介はテレビ画面に、いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。封印していた記...
カシオペアの丘で(上)
カシオペアの丘で 上 (講談社文庫)
商品説明
肺の腫瘍は、やはり悪性だった――。40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、俊介はテレビ画面に、いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。封印していた記憶が突然甦る。僕は何かに導かれているのだろうか……。
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紙の本
何でもない今の幸せが、ものすごく大切に思えて、怖くなる。
2010/08/20 10:24
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ひろし - この投稿者のレビュー一覧を見る
重松作品には、昭和40年代生まれを主人公にした作品がいくつかある。そのどの作品を読んでも、昭和43年生まれの私の胸には痛いほど響いてくるのだが。比較的それらの作品では「何でも無いような当たり前の人生」が実実は結構大変なんだよと、それでもドラマチックで、やっぱり素晴らしいのだと表現される事が多いように思う。ただ本作品は、それらの作品とは少し違うように思う。主人公の4人には、とても「普通」とは言えない人生が待っていたのだ。
3人の少年と1人の少女が、昭和初期に炭鉱の町として賑わった北海道のとある町の丘で、夜空を見上げた。美しい夜空を見上げ、ここを「カシオペアの丘」と呼ぼうと決める。そして再開発が決まったこの丘が、いつか遊園地になればいいのにと願いあった。少年の1人はその土地再開発を担った有力者の孫であったから、その夢はきっと叶うだろうと少年達は思っていた。しかしそこで起こった炭鉱事故の真実を知るに連れ、少年達は仲の良い友達同士では、いられなくなった。そして少年達は、大人になった。
離れ離れになった少年達を、辛い現実が襲った。一人の少年は事故で一生足の自由を奪われ、一旦東京に出た少女は辛い堕胎を経験し、地元に戻って少年を支える事を決めた。職を点々とした少年はテレビプロデューサーとなり、あまりに辛い事件の担当となり被害者と共に苦悩する。炭鉱事故を起こした会社の総帥を祖父に持つ少年は逃げるようにして東京へと出て結婚し、子供を設け幸せな日々を送っていた。しかしある日突然、胸に癌が発見されるのだ。あと、たった半年の命。そこで考えること。家族のいとおしさと、過去への憧憬。そして清算しなければならない、他の少年たちへの思い。その思いを抱えて、少年は故郷へと帰って行く。
良く言われることだが、何にもない平凡な毎日こそが幸せだと。家族みんなが健康で、笑顔でいられる事。それ以上の幸せ等無いという事。その幸せを、暗く覆うように突然襲う病魔の影。そんな晴天の霹靂がいつ自分の身に降りかからないとも分からない。今日この日を、大事に生きねばならないなと考えさせられる。そして万一そんな事が起きてしまった時に、一体何が出来るか残してやれるのか。考えておかねばならないなと、痛切に思わされた。
電子書籍
再会の丘
2020/05/24 09:41
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Todoslo - この投稿者のレビュー一覧を見る
幼年期をともに過ごした4人に待ち受ける、過酷な運命に胸が痛みます。再会を果たした時のそれぞれの葛藤と、忘れかけていた大切な思い出が感動的です。
紙の本
「カシオペアの丘で(上・下」いつも4人だった。
2010/12/16 20:23
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:soramove - この投稿者のレビュー一覧を見る
「幼なじみの4人は、いつも一緒だった。
親に隠れて見晴らしの良い丘に寝ころび
北海道の満天の夜空に広がる星々を眺めた、
それが4人の最高の瞬間だったのかもしれない、
それは後になって分かることなのだけれど」
この場所に遊園地が出来たらいいね、
そんな夢を叶えた幼なじみ、
でも現実は閉園の危機に直面している、
夢が実現できたことを喜べばいいのか、
それとも現実を嘆くべきなのか。
故郷から脱げるように東京で暮らす幼なじみは、
末期がんと分かり
家族に故郷を見せたいと
良い思い出ばかりではない場所に帰って来た。
重松 清 の本は敬遠していた、
なんというか、泣くに決まっているから、
かつては新刊は初日に手に入れ、
以前の作品もむさぼるように読んでいたが
いつからか、その「泣き」から遠ざかっていた。
今回書店に並んだ文庫版を手にして
久々に読もうと思ったのは
「カシオペアの丘で」という優しいタイトルに
何故か惹かれたからだ、
もちろん「これも泣くだろうな」とは
とっさに思ったが、
そんな気分だったのかもしれない。
同じ時間を共有し
楽しい時間を過ごしても
永遠に一緒にいられるわけではない、
そんな誰もが通過してきた懐かしい時間、
そして40歳となった4人は、
自分達のそれぞれの場所で生きている。
「逢おうよ」と言えば
こんなに長く逢わないでいることも無かっただろう、
逢えば一気に逢わなかった時間を飛び越えることも
経験で分かってる、
でも逢えない理由があった、
この本は「死」という現実に向き合い、
そして「許し」というテーマで読ませてくれた。
所々胸に迫るシーンはあり、
その都度グッときたけれど
泣きはしなかったな、
もしかしたらもっと厳しい現実を
暫くの間に自分自身でも経験してきたからか。
この重松 清 を読まなかった時間ってのは、
自分にとって必要な時間だったのだ、
そんなことを感じた大切な時間、
もちろん内容は読んで損の無い、
充実な読書の時間を与えてくれた。
でもなんだか抒情的すぎるかな、
現実はもっと厳しいからね。
★100点満点で65点★
http://yaplog.jp/sora2001/
電子書籍
幼馴染
2015/10/29 20:58
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:なおこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
幼馴染の男女三人がつらい別れをし、大人になって再会するおはなし。
三者三様の人生の苦悩がえがかれてて、考えさせられました。