紙の本
読む人より書く人が多いと言われる時代。物書き志望は目を通しておいて損はない。
2009/08/07 13:31
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:森 黄菜 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ずいぶん年をとってから(!)この本にめぐり合った。
真剣にものを書こうとしている人、ものを書くことを仕事にしたいと真摯に願っている人にぜひ読んでもらいたいと思う。
おそらく創作の過程でだれもが突き当たる悩みに(若い詩人からの手紙に)リルケが真摯に愛情を込めて答えている。
どんなに時がながれてもやはり普遍的なことは変わらないのだ。
宗教的な内容や、それに繋がるのだけれど排他的な姿勢もうかがえるが
そのあたりをさらっと受け止められれば、巷にあふれるハウツーものよりも
かなり心に栄養を与えてくれるだろう。
ブログはもはや生活の一部。読む人よりも書く人が多くなってきたと言われる時代。本が売れないと言われる時代。
もしも、本書に影響されて、悩んでいる書き手が表に現れるとしたら、すばらしい。
その人はきっと、積み重ねたものをていねいに開花していく人だと思う。
そんな力が、きっとこの本の中にあるはずだから。
紙の本
文章の素晴らしさを楽しむ
2024/04/16 12:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:K.ザムザ - この投稿者のレビュー一覧を見る
内容を要約してしまうとありきたりなメッセージに感じる人もいるだろうが、リルケの清澄な文章を読んでこそ意義のある内容だと思う。難解な部分もあるが130ページに満たない短さなので時間をかけて味わってほしい。
投稿元:
レビューを見る
この本のことを忘れないかぎりは未熟な若者でいることができるのではないだろうか。
それ以上に困難で、甘美なことはないだろう。
投稿元:
レビューを見る
薄い本だが、内容は濃い。タイトルのままにリルケの手紙が記されている。芸術家にとって学ぶ事、癒される事は多い。
投稿元:
レビューを見る
リルケの詩を愛する人だけでなく、認識力の深い人間になりたいと望む人は読んでおいて損はないと思う。
時間を越えてリルケの魂にふれよう。
投稿元:
レビューを見る
調べもののために図書館で借りた。リルケの言葉の引用(英語版)「You must give birth to your images. They are the future waiting to be born.」がこの『若き詩人への手紙』にあるというウェブ上の情報があったため、目を通したが見つからなかった。角川文庫版(佐藤晃一 訳・1952年初版・第二部は「愛する人たちへ」)にも目を通してみたが、徒労に終わった。引用元はこの本ではないのだろうか。それとも原語から英語、日本語への翻訳の過程でそれぞれ解釈が違って、英語に訳された文を日本語版で探すことがまちがっているのだろうか。
これがどの作品からの引用なのか、おわかりの方がいらっしゃったら、ぜひお教えください。またその日本語訳があるのかどうかもおわかりの方は、教えてください。よろしくお願いします。
本書は目を通しただけでは何にもならず、じっくり考え、理解しながら味わって読む必要があると思った。でもせっかく手にする機会があったので印象的な部分を書き抜いてみる。
孤独について、リルケは「あなたはあなたの孤独を愛してください。そして孤独が美しい嘆きの声を響かせながらあなたに味わわせた苦痛をになってください。というのは、あなたに近い人々が遠く思われる、とあなたは言われますが、それこそあなたの周囲が広くなり始めたことを示すものにほかなりません。そして、もしあなたの近くが遠くあるのならば、あなたの遠くはもう星々のあいだに没し、実に大きいものです。あなたは誰一人伴うことのできないまでになったあなたの成長をお喜びなさい」と肯定的にとらえているのが、印象的だ。
「仮にあなたの身に起る何物かが病的であるとしても、病気こそ一つの有機体が異物を排除するための一つの手段であるという事実をお考えになってください。そういう時、人はそれが病気であることに助力し、それが完全に病気の経過をたどり、そこから抜け出すことに助力するよりほかありません」の箇所は、百年以上も前にこう考えていたことに感嘆する。
投稿元:
レビューを見る
フランス文学の授業でたまたま名前を耳にして、なんとなく手に取った一冊。
わたしにとって手放せない一冊になりました。
辛いときに読み返してはしおりをはさみ、また途中から読んでいます。
思い悩んでいる友人がいたら、この本を薦めたいと思っています。
こんなに真摯な手紙は見たことがありません。
投稿元:
レビューを見る
お手紙ありがとうございました―リルケさんから届く手紙にはポエジーが含まれていて、きっと紙の重さよりももっと重いはずだろう。
詩人リルケが、若き詩人(志望)へ書いた手紙を公開した一冊。
創作への思い、創作と生活、創作と思想、ハウツーなんてないのはわかっている。だからこそ実作者から何か得たい。
きっと何かが手元にのこるだろう。創作者をめざさない者にも、めざしている者にも。
投稿元:
レビューを見る
「『若き詩人への手紙』は、一人の青年が直面した生死、孤独、恋愛などの精神的な苦痛に対して、孤独の詩人リルケが深い共感にみちた助言を書き送ったもの。『若き女性への手紙』は、教養に富む若き女性が長い過酷な生活に臆することなく大地を踏みしめて立つ日まで書き送った手紙の数々。その交響楽にも似た美しい人間性への共同作業は、我々にひそかな励ましと力を与えてくれる。」(あとがきより)
どの手紙も静かに落ち着いていて穏やか。相手を思いやる気持ちが随所に現れていて、静かに温かい気持ちになりました。
投稿元:
レビューを見る
一つの芸術作品に接するのに、批評的言辞をもってするほど不当なことはありません。それは必ずや、多かれ少なかれえっこうな誤解に終るだけのことです。物事はすべてそんなに容易に摑めるものでも言えるものでもありません、ともすれば世人はそのように思い込ませたがるものですけれど。たいていの出来事は口に出して言えないものです、全然言葉などの踏み込んだことのない領域で行われるものです。それにまた芸術作品ほど言語に絶したものはありません、それは秘密に満ちた存在で、その生命は、過ぎ去る我々の生命のそばにあって、永続するものなのです。
p15
自らの内へおはいりなさい。あなたが書かずにいられない根拠を深くさぐって下さい。それがあなたの心の最も深い所に根を張っているかどうかをしらべてごらんなさい。もしもあなたが書くことを止められたら、死ななければならないかどうか、自分自身に告白して下さい。何よりもまず、あなたの夜の最もしずかな時刻に、自分自身に尋ねてごらんなさい。私は書かなければならないかと。深い答えを求めて自己の内へ内へと掘り下げてごらんなさい。
それから今度は自然に近づいてください。それから人類の最初の人間であるかのように、あなたが見、体験し、愛し、また失う物を言うように努めてごらんなさい。
p16
もしあなたの日常が貧しく思われるならば、その日常を非難してはなりません、あなた自身をこそ非難なさい。あなたがまだ本当の詩人でないために、日常の富を呼び寄せることができないのだと 自らに言いきかせることです。というのは、創作するものにとっては貧困というものはなく貧しい取るに足らぬ場所というものもないからです。
p25
月満ちるまで持ちこたえ、それから生む、これがすべてです。すべての印象、すべての感情の萌芽は、全く自己自身の内部で、幽暗の境で、名状しがたいところで、無意識のうちに、自己の悟性の到達し得ないところで、安全に発育させるようにし、深い謙虚さと忍耐とをもってあらたな明澄さの生れ出るのを待ち受ける、これのみが芸術家の生活と呼ばれるものです、理解においても創作においても。
p31
性は苦しいものです。そうなのです。しかし私たちに課せられたものは苦しいものなのです。ほとんどすべての真面目なものは苦しいものなのです。そしてすべては真面目なのです。もしあなたがこのことを認められて、自分から、あなた御自身の素質や本性から、あなたご自身の経験や、幼年時代や、力から、全く独自な、性に対する関係をかちとられるようになれば、あなたはもう自分を失うことを恐れる必要はなく、あなたの最上の所有に自分がふさわしくなくなるなどと恐れることはありません。
p36
あなたが差当たり一つの職業に就かれることはいいことです、それはあなたをひとりだちにし、あなたをあらゆる意味において完全に自己に頼らせることになりますから。あなたの内部生命がこの職業の形式によって制約を感じるかどうかを、辛抱強く持って見て下さい。私は職業というものは大へん苦しく、大へんうるさく人に要求してくるものだと思います。それは巨大な因襲を背負���ていて、その課題に対する個人の見解などをほとんど容れる余地を持っていないからです。しかしあなたの孤独が、非常になじめない境遇においてもあなたの拠り所となり、故郷となるでしょう。そこからこそあなたはあなたのすべての道を見いだされることでしょう。私のすべての祈願は喜んであなたに付き添うつもりでいますし、私の信頼はあなたと共にあります。
p41
偉大さを持たない孤独とは何ものであろうか、と。孤独はただ一つあるきりで、それは偉大で、容易にない得られないものです。そしてほとんどすべての人にとって、その孤独をできるものならなんらかの、どんなに月並みな安価な付合いとでもいいから交換したい、行きあたりばったりの、どんなにくだらない人とでもいい、どんなに無価値な見かけだけの一致でもいいから、それと交換したい望むような時期がくるものです・・・・・・しかしそれこそおそらく孤独が成長するときなのです。なぜなら、その成長は少年の成長のように苦痛を伴い、春の初めのようにものがなしいものです。しかしそれであなたがまどわされてはなりません。必要なことはしかし結局これだけです、孤独、偉大な内面的孤独。自己自身の中へはいり、何時間も誰にも会わないこと、--これは誰にも成し遂げえるはずのものです。
p49
自分の作品を他人の筆跡で読み直して見ることは大切であり、非常に新しい経験を味わうものであることを承知しているからです。どうか御自身の詩を、他人の死のつもりでお読みください、するとどんなにそれがあなたのものであるかを、心の底からしみじみ感じられることでしょう。
p50
孤独であることはいいことです。というのは、孤独は困難だからです。ある事が困難だということは、一層それをなす理由であらねばなりません。
愛することもまたいいことです。なぜなら愛は困難だからです。人間から人間への愛、これこそ、私たちに課せられた最も困難なものであり、究極のものであり、最後の試練、他のすべての仕事はただそれのための準備にすぎないところの仕事であります。
p52
もちろん、誤った愛し方をし、無造作に自らを与え、孤独な愛し方を知らない多くの若い人々も、過誤の重圧を感じてはいるのです。そして彼らの陥っている状態を、彼らなりにそれぞれ自分一人の方法で、生きる力となるものに、実り多いものに変えようと思ってはいるのです――。なぜなら、愛の問題は他の重要なすべてのことに比べて、あれやこれやの協調などで公然とは解決しにくいということは、彼らの中の自然が彼らに告げるからです。愛の問題はそれぞれの場合に応じて、新しい、特殊な、ひとりびとり異ならざるを得ない解答を必要とする問題、人間から人間への切実な問題であることも告げているからです。
p53
女性の中には生が一層直接に、一層生産的に、一層親密に宿り住むものですから、肉体の果実の重みによって生の水面下に引き込まれた経験を持たぬ軽薄な男性、うぬぼれが強く性急で、彼が愛していると考えているものを実は軽蔑している男性よりは、女性のほうが根本においては遥かに成熟した人間、一層人間的な人間になっているはずです。
いつかもはや女性の名が、ただ男性の反対を意味する��けではなく、それ自身独立したある物、その際、補足や限界ではなく、ただ生や存在だけが重い浮ぶところのある物を意味するような、そういう少女や、婦人が存在するようになるでしょう。――つまり女性的人間です。
p60
悲しい時には、孤独でいること、注意深くあることが、非常に大切なのです。
p62
私たちは孤独なのです。それをごまかして、あたかもそうでないかのように振舞うこともできます。しかしそれだけです。それに引きかえ、私たちが孤独であることを明察し、いや、むしろそこから出発する方がどれだけよいことか知れません。
p64
しかし何物に対しても覚悟のある者、何物をも、たとえどんなに不可解なものをも拒まない物だけが、他の人間に対する関係を生き生きとしたものとして生きることができ、自らも独自の存在を残りなく汲み味わうことができるでしょう。
p68
一体に名前というものには気をつけなければなりません。一つの生命を破壊させるのも、しばしば一つの犯罪の名前であって、本当に名付けようのない個人的な行動そのものではないことがあります。
p74
芸術もまた一種生きることであります。それでなんらかの仕方で生活しているあいだに、それと知らないうちに芸術へと自らを準備していることがあります。
投稿元:
レビューを見る
リルケが手紙に込めた情熱とか、優しさとか、痛みとか、そういう色んな暖かさが、驚きと一緒に心に入ってくる。P41〜の「神」のくだりが好き。飲み込みきれなくて何回も読んでるけど;
投稿元:
レビューを見る
若い詩を書く男性と、若い女性にリルケが送った手紙をまとめたもの。
文通なのに、リルケから出した手紙しか載っていないので文脈が分かりにくい。
男性へ送った手紙には詩論がほぼ冒頭にだけ載っていた。
「必然から生れる時に、芸術作品はよい」とし、自らの内に入ることで
素直に出てくるものだから、芸術家は孤独なのだとリルケは考える。
だからこそ、芸術作品に批評やジャーナリズムを求めることは無駄だともする。
この「孤独」にリルケはとてもこだわるのだが、それを自分の部屋から
高い山頂に突然移されるような不安と、すべてのものから無限に遠くなる
感覚のようなものというたとえはとても分かりやすかった。
他にも、イロニーは創造力があるときにだけ使える生をとらえるひとつの道具とか
自分の詩をちがう筆跡で、つまり他人のもののように読むのも大切だという
考え方も書かれていて、そこは面白かったのだが
それ以外は精神的な悩みにリルケが答える形になっていて、その悩みを持っていない
わたしからすると、すべてがピンとこなくて、ただ目が滑るばかりの一冊だった。
投稿元:
レビューを見る
詩人リルケが文通相手に宛てた書簡まとめ*2。
内容は芸術について、孤独について、人生について、あれこれです。
要約するとだいたい「悩み相談の答え」なので、共通する悩みを持ってる人なら何かを掴むきっかけになるかな、って感じ。
リルケ側の手紙しか収録されていないのでこれ一冊で対話の流れを追うのはちょっと無理があるかな。
文学作品としての評価はできないけど、ところどころ興味深い思想・信念が見て取れたのでその分の星ふたつ。
投稿元:
レビューを見る
http://www.haizara.net/~shimirin/blog/akiko/blosxom.cgi/book/20090906234110.htm
投稿元:
レビューを見る
天使にラブソングを2のDVD(LD)で、
リルケの若き詩人への手紙の一節の引用がでてきました。
若い人が、芸術への道を進むかどうか悩んだときに、
読むのと役に立つことがわかりました。
芸術家になる人への、一つの教訓を示しています。
「自分が作家だと思うこと」が大事とのこと。
この本を読んで、ピンと来なければ、
DVDの天使にラブソングを2を見てみてください。