紙の本
まるでそばで聞いているように。
2008/10/19 08:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オクヤマメグミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
誰かとの対話の中で、もうひとつの物語が浮かび上がる。
そんな印象を受けた。
それは聞き手にしてみたら自分には直接関わりのない出来事かもしれない。
話し手も特に何も求めず、言葉の吐出し口として相手を選んだだけかもしれない。
でも残る深い余韻。
別れた後で何度も振り返るような、何かの拍子に思い浮かべるような、不思議な空気が満ちている。
初対面の初老の男と2人で遠方にドライブに出る、ロードムービーのような『花』は印象がとても強くて読み返してしまったほど。
あの時はこんな風に今につながっている。
今のこの瞬間も、いつかどこかへたどりつくのかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
「死」をテーマにしたこの小説は、「死」を安易に美化し、商売の道具にしている大衆小説の揶揄を含みながら、見事に「文学」へと昇華した希有な作品である。
投稿元:
レビューを見る
この本が法学部をえらんだきっかけです!!(>∀<)
というのは嘘だけど(笑)、0,03%くらいは影響されてたかもしれない。
投稿元:
レビューを見る
「恋愛小説」、「永遠の円環」、「花」の三つの短編小説。
「恋愛小説」は関わった人間が次々死んでしまうという青年と主人公の話。
「永遠の円環」は死期の迫った主人公が企てる復讐計画を聞いた大学の同級生の話。
「花」は脳動脈瘤が見つかりすべてを投げやりになった主人公が鳥越弁護士のバイトとして、二人で車の旅をする話。
前2編はあまり好みではなかった。
「花」はひどく優しくいい話だった。
短編なのに描写が細かくて、情景がひとつひとつ思いうかべられた。
ミニシアター系の映画にしたら素敵な作品だと思う。
投稿元:
レビューを見る
タイトルどおり対話で成り立つ3つの中編小説が収められています。共通するのは、今はもういない人に対する想い・・・それは、愛。サスペンス的な味付けの作品もあって飽きることなく読み終わることができました。本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離してはいけない。なぜなら、離したとたんに誰よりも遠くへと行ってしまうから・・・このフレーズ、身にしみて分かるだけにグッときました。
投稿元:
レビューを見る
本当に愛する人ができたら、絶対にその人の手を離してはいけない。
いつか、僕は大切な人に出会うだろう。
そして、その人を生かし続けるために、その手を決して離しはしない。
そう、たとえ、ライオンが襲いかかってきたとしても。
シンプルな装丁とタイトルに惹かれて購入した一冊。
読み終わるまで、目的地に電車が着いてほしくなかったです。
強すぎる思いは正面からしか受け止められない。
何もかも必死だった頃をふと思い出してしまいました。
恋や愛や生や死について真剣に描かれていて。
直視できないくらいに真っ直ぐでした。
愛や生にしがみつくことは決して格好悪いことなんかじゃない。
後で悔やんだりしないように、人生を一生懸命過ごそう。
キレイ事かもしれないけど、全力で頑張ることはそんなに悪くない。
そう思わせてくれるような一冊でした。
投稿元:
レビューを見る
いつの間にか文庫落ちしてた。
ハードカバーと丸々同じ装丁なのがイイ。
だいぶ内容忘れてたけど、やっぱりオッサンが好きです。
金城氏の書くオッサンはなんであんなカッコいいんだろう!だいすきだ!
投稿元:
レビューを見る
ありがちなネタを、プロの文章で読ませる……みたいな感じ?
「我思うゆえに我あり」とは言うけれど、思ってるだけでは存在しないのと一緒なのかもしれない。「対話」することで、人は存在するのかもしれない。小説の中の登場人物たちに、話し相手がいて良かった。切ないけれど、彼らは生きてゆくのだろうな。小説の中で。
投稿元:
レビューを見る
最近ではドラマSPの脚本としての方が有名かもしれない作者の新刊
タイトルの通り主に、対話形式で進む話で構成された中編集、帯によると恋愛小説となっているが、実際には死がテーマ鴨しれない
久々の当たり、涙腺弱ってるかもしれないが三編目では完全に涙が(;´Д`)
一篇目「恋愛小説」
周りの人間が死んでいく死神とあだ名された男の恋の話を主人公が聞き取る形で進む。
ものすごく切ないが、この一作だけではそこまで揺さぶられることはない
二編目「永遠の円環」
癌で余命幾ばくもない主人公が、一つの望みを叶えたいと思う。
それはある人間を殺すことなのだが…
そこにその望みをかなえる男が現れる。
これはどちらかというと後から現れた男が主人公の作品のスピンオフみたいな味わい
先が読めない、一篇目とは味付けが異なる感じ
三編目「花」
いつ爆発するかわからない脳の病気を抱えたまま生きるか、記憶がなくなるかもしれない手術を受けるかを迫られ、仕事をやめリタイアしてしまった男が、奇妙なアルバイトをうけ、依頼者と車で九州まで旅行することになる。男は元妻の遺品をとりに行くと言うことなのだが
その元妻のことが思い出せないという
その二人が旅の車中で話を紡いでいく…
「永遠の円環」でフェイント掛けられた分、「花」の旅のゴールにおきる感動のラストで普通に涙が( ´-`)
ベタといえばベタなんだろうけど、やられました
代表作「GO」も読んでみようと思った。
投稿元:
レビューを見る
GOやSPの原作者として知られる金城一紀の本を読んでみた。
3編綴りの中編集。お気に入りは、人生の末期を迎える弁護士と
体内に病という爆弾を抱える主人公が旅をする「花」。
弁護士と20年前に離婚し他界した妻、そして主人公の人生が
「記憶」のまわりで交叉する。弁護士のかつての妻との「記憶」、
主人公の失われてしまうかもしれない「記憶」。
弁護士の妻の死を実感し、主人公は、最後に気がつく。
「記憶」は必ずしも自らが持っているものだけじゃない。
後世に何かのこしたいなぁ、なんて思う今日この頃だけど、
誰かの中の記憶に残るって人生は素敵なことだと思った。
投稿元:
レビューを見る
高校時代、図書室司書の先生に「あたしがすきそうな作家」を選んでもらって、進められたのが『対話篇』。
『GO』より先にこっちを読んで、それですごくファンになりました。
すごくすごくやわらかくて、それでいてソリッドなイメージの作家さん。
映画化もされている作品ですが、あたまのなかにきれいに映像化できます。
文庫なのに装丁もていねい。『映画篇』も読みたい。
投稿元:
レビューを見る
愛と死は切り離せないものかと
死に際の台詞は何とも
会話のやり取りと法律が随所に登場した所で一瞬、
伊坂幸太郎と間違った
投稿元:
レビューを見る
「死をとりまく3つの短編」正直、期待していたほどではなかったかなぁ、、、、、、というのが感想。どの話もどこかで聞いたことあるような、春樹ほどではない喪失感をおいて行くだけで、ほとほと飽き飽きしてきてしまった。ストーリー展開は、面白いんだけど、もっと違う方向最後が行ったら良いのになぁ、とかそういうことを思ってしまったのでした。まぁ、夏の100冊ということで、ご愛嬌。
投稿元:
レビューを見る
よかったです。
「GO」や「ゾンビーズ・シリーズ」が大好きで、文庫がやっと出たので読みました。
久しぶりに金城さんの作品読んだけど、やっぱり好きです。最初は、雰囲気が以前の作品とは違って、静かというか、淡々としているというか、あのスカッとする疾走感がなくてとまどったんだけど、読み終わったらすっかり浸ってました。
なかでも、「花」が一番良かったです。ラストに感動しました。3つの話が全然別のストーリーなのに、なんか、つながってて。だから、最後の話を読んでからもう一回最初の話を読見直すと、また新たな発見というか、より話を味わえるというか、とりあえずとてもよかったです。
投稿元:
レビューを見る
全部で3つのお話がありますが、全てに共通するテーマは「純愛」と、この本のタイトルである「対話」です。
純愛がどれほど素敵なものかを教えてくれる小説でした。
最後の話である「花」は、感涙する作品です。
金城先生の本は初めて読みましたが、これを読み終わってファンになりました。
こんな真っ直ぐな恋愛の作品を書けるなんて、とても素晴らしいです。
元来恋愛小説というものを読まなかった私には、記憶に残る素敵な作品でした。