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眼鏡
著者 著者:織田作之助
底本名:定本織田作之助全集 第六巻底本出版社名:文泉堂出版底本初版発行年:1976(昭和51)年4月25日入力に使用した版:1995(平成7)年3月20日第3版校正に使用...
眼鏡
商品説明
底本名:定本織田作之助全集 第六巻
底本出版社名:文泉堂出版
底本初版発行年:1976(昭和51)年4月25日
入力に使用した版:1995(平成7)年3月20日第3版
校正に使用した版:1976(昭和51)年4月25日
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特殊基準にて★5
2020/07/21 19:09
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:もこちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
※評価は作者の思考と実在の人物について知れるという、基準で付けてます
織田作之助作品のよくある3分程度で読める短編です。オチも「あれ?」っていう相変わらずの感じですが、この方の作品に出てくる実在の人物描写は本当に参考になります(理由後述)。
女の子が学校の視力検査結果を受けて、翌日の登校から眼鏡を掛けることになるのですが、 ストーリーは前の晩の話のみ。
女の子は眼鏡デビュー前日の晩に、鏡の前で眼鏡を掛けては外しを繰り返す……初めて眼鏡を掛けることになった年頃の女の子の複雑な心境がよく伝わってくる描写ですね。その様子を見ていた女の子のお兄さんが「女の眼鏡は容貌3割減」と的を得たことを言うのですが、その一方で「生理学的に頭のいいやつは眼鏡を掛けない。小説家の横光、川端も……」と、私は生理学は存じ上げませんが、眼が悪い人程勉強熱心(東大生に眼鏡が多い)イメージの私としては納得できませんでした。まあ、ここでのお兄さんの台詞は「眼鏡を掛けていない、視力の健全な小説家の自分も生理学的に頭がいい」と、作者自身の有能性を主張したかったのでしょう。織田作之助作品を読んでいると、作者がナルシストなところが透けに透けているので、この推測は間違いないでしょう。
さて、この作品から私が学んだのは、先述した「実際の人物の描写」についてで、「横光と川端は頭がよくて眼鏡を掛けていない」ということです。これは織田作之助視点の話だと思うのですが、調べたところ、前者は「小説の神様」と言われる程の方で早大に入学はできていて、後者は言わずもがなノーベル文学賞受賞者にして、当時の東大を卒業している程の方です。頭脳と眼鏡との相関関係はもしかしたらある点ではあるかもしれませんが、重要なのは彼らのような天才に作者が自分との共通点を見出していた、と取れる描写があったことですね。織田作之助は元来視力健全、大阪出身の方で、例にあげたお二方とも視力の良く、関西にゆかりのあるところもしかり、本当にこの作者はナルシストですね。だからこそ、「夜の構図」などの名作を生み出せたのでしょう。この「眼鏡」も良かったですが、「夜の構図」は織田作之助作品の中でも一番良い作品だと思ってます。おすすめです。
このレビュー内容は作者の悪口みたいになっておりますが、そのつもりはありません。私は作者のファンです。反感を持った方は同作者の「僕の読書法」を読みましょう。作者本人が私のレビューに対する言い訳みたいなことを冒頭で書いてます。