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電子書籍
暗殺者の森(上)
著者 逢坂剛
命がけでピレネー山脈を越えマドリードへ脱出したのもつかのま、イギリス秘密情報部員・ヴァジニアは陸軍参謀本部情報将校・北都昭平への置き手紙を残してロンドンに戻る。一方敗戦目...
暗殺者の森(上)
暗殺者の森 上 (講談社文庫)
商品説明
命がけでピレネー山脈を越えマドリードへ脱出したのもつかのま、イギリス秘密情報部員・ヴァジニアは陸軍参謀本部情報将校・北都昭平への置き手紙を残してロンドンに戻る。一方敗戦目前のドイツでは、ナチス体制崩壊を目指しヒトラー暗殺計画が密かに進行していた。著者渾身のイベリア・シリーズ第6弾!
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紙の本
二重スパイ、三重スパイ捜しの開始です。
2017/04/25 23:49
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ナミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ドイツからスペイン経由で命からがら脱出したヴァジニア・クレイトン少尉(MI6第5課員)は、ロンドンに帰着して誰が自分を嵌めたのかを探り始める。様々な状況証拠から、キム・フィルスビー((MI6第5課イベリア班責任者)が怪しい人間として浮き出てくる。キム・フィルビーはソ連のスパイであり、英米がドイツと講和してソ連戦線に襲いかかるのを防ぐため、ドイツ国内の反ナチス勢力を牽制してヒトラー独裁による戦争継続を維持させる必要があるとの理由もしっくりとくる。ただ、これでは余りにも話は簡単すぎるし、仮にこれが正しいとしても、スパイ戦というのは様々な国の思惑が交差することで複数の戦略の合成物となってしまうものであり、これからも様々な不可思議な陰謀、危機が待ち構えているのでしょうね。(~P-165)
P-166からは、1944年7月:マドリードに舞台を移して北都昭平(宝石商を装う日本陸軍情報将校)が登場してくるが、一般的情勢説明程度。
P-194から、1944年7月20日に実際に起きた“ヒトラー爆殺未遂事件”→政権掌握の為の“ヴァルキューレ作戦”の顛末である。実行犯のクラウス・フォン・シュタウフェンベルク大佐や副官のヴェルナー・フォン・ヘフテン中尉などは実名であり、その他の登場人物や事実経過なども史実に即した記述は臨場感充分である。史実通り、暗殺も“ヴァルキューレ作戦”も失敗、クーデター支持者であったフロム中将は一転して口封じのために主謀者たちを簡易裁判で処刑し始めるが、ヒトラーの素早い対応でフロム中将は解任され、後任となったヒムラーは全貌解明の為に本格的な逮捕・尋問を開始する。これまである意味では世界情勢を的確に把握し、北都や尾形(聯盟通信ベルリン支局長)の強力な協力者であった、元国防軍情報部長官で“スパイマスター”の異名をとるヴィルヘルム・フランツ・カナリス大将・提督も逮捕されてしまう。また一人、ドイツの良識が失われてしまう。なお、ヴィルヘルム・フランツ・カナリス大将・提督(1887年1月1日~1945年4月9日)も実在の人物で、作品中ではこの事件には関与していないことになっているが、後日関与を証明する文書が見つかったということで処刑されている。
紙の本
<イベリア・シリーズ>もついに、第6弾。
2016/12/28 05:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
<イベリア・シリーズ>もついに第6弾。 残すはこれとラスト一作になりました。
となると読むのがペースダウン。 上巻は比較的早かったんだけど、下巻になかなか手をつけない、心の中で「読み終わりたくない願望」が抵抗をはじめたようです。
とはいえ、作中でも時間は過ぎていき、ドイツの敗戦はもうすぐそこまでとなっているので、これまでの緊迫感が若干薄れてきた、ということなのかもしれません。
しかし、これまたタイトルと内容がリンクするようなしないような・・・。
上巻はほぼ、ドイツ軍内部による最大のヒトラー暗殺作戦の顛末(トム・クルーズ主演の『ワルキューレ』で描かれていた内容と結構かぶる)で、レギュラーメンバーほとんど出てこないにもかかわらず、それが気にならないのは、もうこのシリーズが<歴史の流れとそれに翻弄される個人>を描いているものだという認識がこちら側にあるからでしょう。
ヒトラー暗殺に文字通り命をかけた人々を上巻分かけてじっくり描いたにもかかわらず、その後の顛末となるヒトラーの自殺に関しては伝聞の数行で終わり、というあっさりさ加減もまたこのシリーズらしい。
6作目『暗殺者の森』がシリーズ中いちばんページ数少なかったような気がする(5作目『鎖された海峡』同様、一冊にしてよかったと思う)、こんなんで次、最終巻で大丈夫なのかしらと思ったら『さらば、スペインの日日』はこれの倍くらいの厚さでした(持ったときの印象)。