読割 50
電子書籍
椿の海の記
著者 石牟礼道子
『苦海浄土』の著者の最高傑作。精神を病んだ盲目の祖母に寄り添い、ふるさと水俣の美しい自然と心よき人々に囲まれた幼時の記憶。「水銀漬」となり「生き埋め」にされた壮大な魂の世...
椿の海の記
ワンステップ購入とは ワンステップ購入とは
椿の海の記 (河出文庫)
商品説明
『苦海浄土』の著者の最高傑作。精神を病んだ盲目の祖母に寄り添い、ふるさと水俣の美しい自然と心よき人々に囲まれた幼時の記憶。「水銀漬」となり「生き埋め」にされた壮大な魂の世界がいま蘇る。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
小分け商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この商品の他ラインナップ
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
石牟礼氏の静かに綴られた傑作です!
2020/05/22 09:38
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ちこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、水俣病を告発した文学作品を発表したことで知られる石牟礼道子氏の傑作です。同書は、筆者の幼いころの記憶をもとに、一地方の農漁村の習俗が描かれてはいますが、郷愁や過去への哀惜、あるいは美化をもっては決して描かれてはいません。祖父の破産、祖母の狂気、隣の遊女たちの悲惨といった人間の業を確実な筆致で描いていくのです。筆者は人間の存在における意味ということについて、深く問いかけているかのようです。狂気にふれた祖母は周囲から「おもかさま」と呼ばれますが、厄介ではあっても決して蔑まされることはありません。「おもかさま」には荒神さんがついたのだと、周囲の方々は納得しているのです。人間と、人間でない何ものかが、かつては人々の生活あるいは意識の中に同居していたのだということを改めて思い起こさせてくれます。石牟礼道子氏の静かに綴られる作品を、ぜひ、ゆっくりと味わっていただきたいものです。