紙の本
出世したいのなら悪いヤツになれ!
2016/08/31 23:22
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:kapa - この投稿者のレビュー一覧を見る
黄色の地に、「悪」「ヤツ」「出世」の文字が黒いゴシックで目立つようにデザインされた表紙。ビジネス・コーナーですぐに目に入る。
刺激的なタイトルであるが、原題は『Leadership BS』、「リーダーシップのバランスシート」というところか。本書でも引用されている別の著作の日本語訳タイトルが『なぜイヤなやつほど出世するのか』なので、それを意識したタイトルにしたのだろう。「なぜイヤなやつ…」では、「先駆的なイノベーションをもたらす人間は、制約や既成概念に対する軽蔑、逆境や拒絶反応に立ち向かう意志の強さ、自己中心的なナルシストに特徴的な資質」があるとしているが、「悪いヤツほど…」でも、世間の「リーダー神話」で賞賛されるリーダーも同じだ、とし、世の中で(というより米国で)人気のリーダーシップ教育をこき下ろす。このような講演・セミナーの類は、職場の改善、個人のキャリア形成には全く役立たず、単に人事担当者を感動させるだけのものだ、と。実際には存在しない「神話」のリーダーと「現実」のリーダーを比較する、ということで「バランスシート」ということにしたのだろう。
著者は「リーダー神話」に使われるキーワード、「謙虚」「自分らしさ」「誠実」「信頼」「思いやり」のそれぞれについて、巷間名リーダーといわれる人物の例を引き合いに出し、心理学の分析手法を使いつつ実態を暴いていく。結論は、そのような態度・資質は全くなく、現実は真逆だという。では、そのような「悪いヤツ」がいる組織でどうすればいいのかというと、自分の身は自分で守れ、と「悪いヤツ」と同じ思考形態・行動原理をとりなさい、という極めて現実的なアドバイスになるのだが、実例・データを示されると、納得してしまう。それでは、身もふたもないので、社会学・経営学らしく、リーダーに依存しない権力分散型組織論も紹介されるが、結論にもきちんとバランスシートの発想が活かされているようだ。
本書では、心理学を参考に、リーダー神話を分析する概念・理論が多く出てくる。私が面白いと感じたのは、「平均以上効果」「潜在的自尊心」「確証バイアス」「現実歪曲空間」「楽観主義バイアス」など。人事評価をされる側・する側の両方の立場を経験した者にとっては、なるほど、と思わせる内容であった。今年「左遷論」(中公新書)あった。日本のサラリーマしか感じない「左遷」のメカニズムを扱っているのだが、むしろ「左遷」と感じる人間のメンタリティ、感じさせる人事評価システムの問題としても読め、「人事評価」の手引書といってもいい内容であった。本書もそのような「人事評価」方法についてのアドバイスとして読むこともできるのではないか、と思う。
投稿元:
レビューを見る
数多あるリーダー教育で教えられるリーダー論は、現実と乖離しており、現実の世界では逆効果を生んでいるという話。納得する部分もあるが、気付き、学びは少なかった。
しいて言うと、リーダーシップ教育無用ということか。
投稿元:
レビューを見る
現実の世界に立派なリーダーが少ない理由が良く分かった気がする。自分がそうなるのも難しそうだ。現実と対峙して生き延びるためのヒントを与えてくれました。
投稿元:
レビューを見る
平社員なので、前半は見出し中心にすっとばしたが
読了とする。
リーダー教育で教えられるリーダー論は、現実と乖離していて…教育は不要ってことなんだろうか? 結局のところどうなんだろう。
第5章あたりから、ちょっとだけ真面目に読む。
リーダーに依存しきってはいけない。
投稿元:
レビューを見る
7章:自分の身は自分で守れ
自分の身は自分で守り、自分の利益を自分で確保するほうがよい。リーダーシップ神話に頼るのをやめたら、ずっとうまくやれるはず。信頼に値しない人間を信頼して裏切られたり、失望したり、キャリアを台無しにしたりする危険性も大幅に減るはずである。
投稿元:
レビューを見る
長くも短くもない個人的な社会人経験から正にこのタイトルの事は真理を突いているなと感じた本でした。世間が描くリーダー像と実際のリーダーとの乖離を、個人が持つ感情や想像では無く、学問として研究し説明された良書です。無論、例外がある事もしっかりと認められているがその数は極めて少ないと言ってくれている事もスカッとします!
投稿元:
レビューを見る
「巷で喧伝されるリーダーシップ研修のような理想的なリーダーはそういない」と説く。自分自身も世間で謳われる理想的なリーダーとかけ離れているため、その乖離を嘆くことが多くあったが、結局、世の中の偉大なリーダーもひとりの人間であり、長所だけでなく、短所もあると気づかされると、少し気が楽になる。リーダーシップの一要素として、「自分らしさ」ではなく、「リーダーが演じるそのキャラクター」であることは、非常に同意。
投稿元:
レビューを見る
速読した。見出しの裏付け、事例の列挙的な本だと思ったから、見出しを見ながら、読んだ。
また振り返って見て見たら新しい発見もあると思う。
まぁだから、結果が全て、と、働いてる人の感情
のジレンマかな?
確実を求めてリーダー出現。
リーダーは確実を示す存在で、善悪とは確実でないから?
そんな感じ?
投稿元:
レビューを見る
http://n3104.hatenablog.com/entry/2017/02/19/212214
投稿元:
レビューを見る
レビューはブログにて
http://ameblo.jp/w92-3/entry-12251038432.html
投稿元:
レビューを見る
タイトル通り、今の世の中には謙虚で部下思いないわゆる好ましいリーダーは少なく、自分の利益を追求する悪いリーダーが多く権力を握っている、と説く。
出世したかったら悪い奴になれ、というわけではないが、リーダーシップ教育で語られがちな理想的なリーダーを目指したり求めたりするよりも、自身も自己利益を追求しなければ、むしろ他の利己的な人々の餌食になってしまう。
現実的に組織の力関係を理解しなかった人たちはキャリア形成に失敗する、というのはもっともだろう。
ただ、自部署の系列の役員がオススメの本としてあげていたのはいかがなものか。と個人的な意見。
投稿元:
レビューを見る
「リーダーシップ」と名前がついた研修、授業、講座はありふれていて、叱られる時も、人材がいないと嘆かれる時も、足りないのは「リーダーシップを持った人材」ということになっているようです。
リーダーになったこともない人が語るリーダーシップはうさんくさく、名リーダーが語るリーダーシップは、単なる自慢話のことが多いように感じます。
「リーダーシップ」は再現可能な資質ではなくて、環境と人格がたまたまうまく合った時にだけ現れる状態のことではないのかなぁ、と感じていたところ、なるほど、と頷ける本に出会えた気がしました。
卓越したリーダーであるはずの人が、実はどうにも食えない人で、社内の評価は全然違ったりすることにも、この本を読めば納得できるでしょう。
変なセミナーや、不勉強な上司のとんでもない「指導」に心の中で反論して自分を守るためにとてもよい本です。
投稿元:
レビューを見る
海外の人が著者なだけにちょっと合わないところもあるけど、その通り。リーダーシップで習ったことなんてくそにも役に立たないのです。波風立てずに自分をアピールして、いかに上に引っ張ってもらうか。そして当たり障りのないことが大事。
投稿元:
レビューを見る
リーダーシップの定説に対するアンチテーゼを紹介している本。サーバントリーダーシップ、謙虚なリーダーシップなど巷で持て囃されている理想のリーダーなどは、現実には存在しないと、筆者は断言する。
むしろ、ナルシスト、社員への冷徹な姿勢、部下への約束を守らない、といった行動が合理的になっているのである。
特に面白かったのは、ナルシストなリーダーが多いことだ。出世の階段をだれよりも早く駆け上がる為には、自分の成果を周囲にアピールするプレゼン力が必須になる。ナルシストであれば、自分のアピールはお手もので、出世へと繋がる。一方で、謙虚な人は自分の成果を卑下する傾向があるため、周囲からの評価が低くなりがちである。このため、リーダーは往々にしてナルシストで自己中心的な人物になってしまう。
この本を読めば、リーダーはナルシストで
めっちゃ仕事できる人という認識に変わるはず。
投稿元:
レビューを見る
これはアメリカ人がアメリカ人に向けて書いた物である。日本人の感覚からすると少し違和感があるが、普遍的な真実を言い当てていると思うところもある。
曰く、アメリカのリーダーシップ論では以下の5箇条が良いリーダーの条件とされているらしい。
①謙虚さ、②自分らしさ、③誠実、④信頼、⑤思いやり。
この内①謙虚、③誠実な人はリーダーになる前の競争でふるい落とされるので、そもそもリーダーには備わっていない資質であり、またリーダーも一人の利己的な人間に過ぎず、闇雲に④信頼したり、⑤思いやりを期待したりするのは間違っていると言う。もっともである。ただ②自分らしさについて言えば、日本ではそれほど重視されない資質であり、個人の感情や都合を優先させない冷静で犠牲的な行動が評価される日本ではピンとこない。
でも、出来ないからと言ってそれを良しとするのはいかがなものか?自分が入社した25年以上前には、会社にも心から尊敬できるリーダーがいたのだ。いつの頃からか、狡猾かつ利己的で、自己主張が上手なだけのつまらないナルシストばかりが上に昇っていき、この本で書かれている通りの展開になっている。正直で部下思いで奥ゆかしい人は決して出世しないどころか、ある時期が来るとお払い箱となる有り様である。
著者も日本におけるリーダー像の変遷を研究すれば面白い成果が得られるのではないか? なんならウチの会社でも調べてみては?