紙の本
問題を先送りにする日本
2018/06/15 18:36
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投稿者:melon - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本の漁業は将来の水産資源について考えることをせず、今あるものを獲ってしまえという発想である。ノルウェーではサバについて個別漁獲枠方式による漁獲制限という規制によって資源管理を徹底し、サバの資源量を維持し続けているそうだ。一方の日本は、楽観的な資源量予測に基づく意味のない漁獲制限によって乱獲を助長し、水産資源は減る一方だ。ついに太平洋のクロマグロなど絶滅危惧種となってしまったようだ。
これは何も漁業に限らないと思う。最も顕著にこのような現象が起こっているのが財政だ。日本国債を発行して今がよければという状況を続け、今や先進国では経験したことのないほど財政が悪化している。それでもまだすぐにデフォルトになる状況ではないことをいいことに、問題を先送りにして、国債を発行し続けている。
水産資源も財産も破綻するような末期の状況に陥らなければ抜本的な対策をすることは日本ではないだろう(ドイツはこういったことにならないのが素晴らしい)。ポイント・オブ・ノーリターンがどこにあるのかはわからないが(もう既に引き返せないところまできているのかもしれない)、解決できるところでは放置して、もうどうしょうもなくなって、実際に危機が起こってから騒ぎ始めるのだ。そのときにはもう遅い。
電子書籍
日本の漁業の問題に関する本
2020/04/21 21:18
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投稿者:絶望詩人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この本には、日本の漁業の問題に関することが書かれてある。
この本を読めば、日本の漁業の厳しい状況が明らかとなろう。
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11/1読了。十分に伝わっていない日本の水産資源の枯渇問題を整理し、資源回復に成功した諸外国に倣い漁獲枠を設定して規制するなどの施策を提言しています。多段階の流通や川下の小売がプライスを決めてしまって、誰も儲からない状態から脱する為に、乱獲による「数」ではなくより高く売れる「質」の向上により漁業に活力を取り戻すという主張は説得力がありました。まずは、価格だけではなく持続可能性のために賢い消費者になることが必要ですね。
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2013年に世界銀行が、世界の2030年までの漁業生産の予測をしている。世界全体で24%の増加で、どこの国も増加しているのに日本のみが10%のマイナスとなっている。日本漁業の衰退は世界の中でも特異的となっている。他方、ノルウェーで最も成長している産業は水産業。この10年間でのGDPの増加分の42%が水産業によるものとなっている。彼我の差を鋭く分析し、今後の日本の進むべき道を示す。
漁業問題に限らず、今、日本は至る所で同じ課題に直面している。昭和の時代は、人口増加と経済成長によって、社会のほぼすべてのセクションが成長し続けた。問題を先送りしていれば、いつの間にか時間が解決してくれた。しかし、今後は、人口も経済も縮小していく中で、問題を先送りにしていれば、問題解決に使える資源が、そもそもなくなっていってしまう。変化の痛みは一瞬だが、変化をしないことの痛みは、じわりじわりと効いてくる。大切なことは構造的な問題に迅速に取り組む勇気を持つこと。戦後の日本社会には、変化に反対していれば既得権が守られてきたという歴史があり、それが甘えの構造を生んでいる。人口縮小、高齢化社会という厳しい現実から逃避するのではなく、状況変化に迅速に対応していくことが求められている。目を背けたくなるような現実ほど、放置しておけば致命傷となる。迅速かつ適切、大胆に舵を切る勇気を持たなくてはならない。日本が生き残る道は、成長を前提としたこれまでの枠組みから、縮小を前提としたより効率的で生産性の高い枠組みに社会を変革していくこと。肝に銘じたい。
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マグロ、ウナギだけではなく、ホッケやニシンも、日本人が無計画に獲りすぎて、水産資源を損なってしまっている実態が書かれている。水産政策の無策がこの状態をつくった。クジラなども含め、水産政策でお役所の言うことは信じることが出来ない。思い切った禁漁など、抜本的な対策をしないと、ほんとうに「魚が食べられなくなる日」が来てしまう……いや、もうその日がそこまで来ていると思った。
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日本近海での漁獲量が少なくなっているのは、温暖化などではなく、国が無策だからだと。世界的に漁業は伸びてきていると。ノルウェーでは、日本のニシン漁を引き合いに出して、継続して漁業を続けるために、量から質の漁業に変換したと。日本政府などに対する著者の怒りが良くわかった。行政、漁協が協力的でないのなら、国民の声を大きくすることだと。もっともだと思う。
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ゲンロンカフェでのトークイベントがよかったので、確認のため一読。トークのほうが分かりやすかったので、動画が販売されたらオススメしたい。
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魚は好きだが、このところ本当に高くて、肉の方が安いのでそっち食ってるのが実感ではあった。
漁獲量が劇的に落ちているのは勿論知っていて、その原因もなんとなく感じてはいたが、実のところ、日本の無計画な早獲りがその大きなものの一つだとは知らず、正直結構ショックを受けた。
そこだけ強調してもいけないのかもしれな。データとその解釈なんか恣意的にどうにでもなるようなもんなんで。
だが、実際に他国が資源を回復させた政策があったとして、この先どう対応していくのかが大切なんだなとは思う。
安くて美味い魚が食いてえ。
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各種メディアで漁業問題について積極的な発信を行っている勝川俊雄の著書。僕もそうなのだが、彼の活動のおかげで近年この問題に関心を持つ人が増えているように思う。問題があるとすれば彼ばかりが頑張っているということであろうか。同業者ないし漁業関係者には勝川に賛同しない者も多いはずだが(賛同者ばかりなら状況もいくらかは動いているだろう)、彼らがどういう主張をもっているのかがよくわからない。つまり、勝川と同じ土俵で戦っている者がいない。その結果が、ネットを中心とした言論空間での勝川一人勝ちの状況であるが、これは読者にとって望ましいものではない。勝川の言っていることの妥当性を検証しづらいからだ。とはいえ、以上はまったくもって勝川自身に属する問題ではなく、彼の論敵となるべき人々の問題である。
で、本書の内容である。主張はシンプルだ。日本漁業は長年有効な規制を設けないまま乱獲を続けてきた。その結果、今日漁業資源の持続可能性は危機に瀕し、漁獲量は下がりきったまま回復してこない。当然ながらそのことは漁業の経済性の問題とも直結し、産業としての漁業の衰退を招いている。ところが、世界に目を転じてみると、日本以外の国々では漁業は成長産業となっている。そのことを可能にするのが、科学的なアセスメントにもとづいた適切な漁獲規制の設定である。日本でもこれを実施しない手はないのではないか。漁獲規制(ないし一時的な操業の停止)は資源をてきめんに回復させるし、そもそも日本周辺の漁場は世界的に見てもきわめて優良なのである……。
以上がだいたいのあらすじで、これを補強する各種データも紹介されている。また、上記以外にも今日の窮状に至る日本漁業の歴史的経緯であったり、あるいは漁業問題を報じるマスメディアの問題であったりと、さまざまな論点に言及している。そして、勝川の主張する打開策もかなり具体的なものである。
論旨の明確さに加え、文章も平易。誰でも読める。広く読まれてほしい一冊だ。
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危機的状況にある日本の漁業の実態、他国との関係、各国の漁業の成功例などが詳細に書かれている。
「何故衰退している漁業で魚が減るのか?」
「衰退したら何がいけないのか?」
「中国は乱獲しているのか?」
「何故国は動かないのか?」
「結局国民にできることは?」
などなど、もやもやしていた事もよく読むと書かれている。
「結局国民にできることは?」の答えは、
・皆が漁業の現状についての正しい知識を持つこと
・エコラベルの付いた(乱獲ではない)魚を買うこと
だそうだ。
なんだか気が遠くなる話なような・・・。
でもこれが一番重要な事のよう。
正しい知識を広めるのは大事ですね、確かに。
この本を読んだ人間として、周りにそれとなく広めていきたいところ。
でもこの本、一般人に知識を持ってほしいはずなのに、何故一般向けっぽくないのだろう。
まずタイトルがとっつきにくい。
「なんでホッケが小さくなったか」とか、「なんで輸入魚ばかりになったのか」とかでいいじゃん。
内容も、今まで漁業に興味なかった人がサクサク読めるような書き方じゃない。
この本はよくまとまってるし、これはこれでいいけど、もっと誰でも読みやすいキャッチーな本も並行して出すべきでは。
エコラベルもなー、、イオンでしか見たことない。
しかもやたら高いし、ほとんど種類無いし。
エコラベルの魚しか買わないのは、将来的にはそうなりたいけど、今は現実的じゃないよね・・・。
皆がやるなんて無理でしょう。
怖いのは、取り合えず魚は絶滅しちゃうから食べない方がいいんだ!ってなって、魚不買だけが浸透しちゃって、ただ日本の漁業が潰れるだけになっちゃう事。。
知識の浸透より先に、漁業は潰れてしまうんじゃないか?という気がしてくる。
この先生は、もっと積極的に国に訴える活動をした方がいいんじゃないの。署名運動とかさ。
東京オリンピックを契機にしたいとの事だけど、五輪はごたごたしてて、いろいろ良くしようってムードが薄まってるような。。
なんかこの本を読むと、漁業だけでなく日本の構造的な問題がいろいろ見えてくる。
ところでこの先生、Twitterとかもやってらっしゃるけど、論調が強すぎる嫌いがある。
自分と合わない意見は徹底的に潰そうとするような。
いやむしろ、自分以外の人は皆批判の対象であるような。
そして批判はするけど、じゃあ誰がどうしたらいいんだよという事はあまり言わない。あんたが専門家だろー。
ほとんどの人は漁業になんて全く興味持ってない。
持ってる私ですら状況が難しくて全部理解するのは大変。
なのに、優しく説明してあげないで冷たく切り捨ててばかり。
日本の漁業の現状打破を牽引してほしいけど、そこが心配。
反対意見はよく話し合って納得してもらわないと、後に抵抗勢力になる可能性があるでしょう。
…って、この本に載ってる成功事例にもそういう話有ったんだけど。
よくわかんない人だなぁと、思う時がある。
ちょっとでも自分が否定されるのが怖いのかな。
だから絶対どこも折れないんだよね・・・。
そういう態度だと、逆に胡散臭い印象を持たれてしまってなかなか納得してもらえない。
そしてこの先生が漁業の危機を訴え始めてから何年も経ってるのだけれど、現状は悪化の一途を辿ってた。
最近極一部には浸透してきたみたいだけど。
先生、何やってたのさ。専門家なんだから発言力もあるし、SNSも使ってるし、主張を裏付ける知識やデータも持ってる。
なのに何で社会に影響与えられてないの?
悪いけどそこは自身を省みた方がいいんでは。
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この先生のTwitterを定期的にチェックしてたんだけど、コロナ関連があまりにうるさいので止めてしまった。。
小池百合子憎し!→菅頑張れ!→菅の推してるワクチン政策頑張れ!
という流れで、ワクチン打て、ワクチン打たないやつゴミ、という口汚いツイートまみれになってしまいました。
いや、自分では言わないのよ。卑怯な事に。人の口汚いツイートをひたすらリツイートしてる。
大丈夫かこの人。。
私は真面目に日本の漁場の改善を進めてほしいんだがなぁ。
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どう見ても長期的に良いことを、目先の利益に目が眩んでやろうとしない。自分も出羽守も含め、日本てバカ(グランドデザインとリーダーシップが無い)なんじゃないかと思う。外国は日本の失敗に学び、持続可能な漁業を始めている。日本だけがいつまでも早い者勝ちで獲りつくす知能指数の低い原始的な狩りをしている。僕はたぶんその前に死ぬけど、文明崩壊のいろんな条件揃ってるなぁ。
メディアが全く現状を知らせず、水産庁の大本営発表や、わずかな成功例や豊漁シーンばかり流していることも問題視。
そう思うと、イッテQで、ウッチャンがマグロを全然獲れなかったのをそのまま放送したのは英断だった。
MSCラベル、覚えよう。
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提示されるデータも、そのデータをもとに展開される持論も、実に分かりやすく説得的。で、それだけに日本の漁業というか、漁業に限らない日本の「体質」に暗澹たる気持ちになる。スーパーではまだウナギセールしてるしねえ。
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かつて世界一の生産量を誇った日本漁業は、資源管理を適切に行わなかったこともあり、水産資源が枯渇する状況になってしまった。対策方法は既に諸外国で確立しているが、改革が進まない。筆者なりの処方箋も提案されている。
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日本の水産業が衰退していった原因と国外との比較、解決策、よりよくする方法として、消費者がとれる行動まで記述されている。とても分かりやすく、読みやすい。
さんろく
所蔵情報:
品川図書館 661.1/Ka87
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日本の漁業がこんなに危機的状況とは知らなかったし、もっと報道してほしいと思った。
他の人にもぜひ知ってほしいと思った。