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【期間限定価格】安閑園の食卓 私の台南物語
著者 辛永清
台湾の古い街、台南の郊外にたたずむ広大な屋敷「安閑園」。緑豊かな庭園と季節の実りをもたらす果樹園や野菜畑。そして母たちが腕をふるう彩りあふれる日々の食卓の風景。1930年...
【期間限定価格】安閑園の食卓 私の台南物語
安閑園の食卓 私の台南物語
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安閑園の食卓 私の台南物語 (集英社文庫)
商品説明
台湾の古い街、台南の郊外にたたずむ広大な屋敷「安閑園」。緑豊かな庭園と季節の実りをもたらす果樹園や野菜畑。そして母たちが腕をふるう彩りあふれる日々の食卓の風景。1930年代の台湾で生まれ、この安閑園に育った著者が、子供時代の食の記憶を丹念に書き綴る。大家族のにぎわいと料理の音や匂いが鮮やかに立ちのぼり、人生の細部を愛することの歓びが心に響く幻の名エッセイ。
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紙の本
ほんとうの豊かさと、郷愁
2010/11/09 23:41
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:mikimaru - この投稿者のレビュー一覧を見る
台湾の上流階級で大家族の一員として生まれ育った著者は、二十歳のころ日本にやってきた。ピアノの才に恵まれ音楽を学びながら、台湾人の夫とのあいだに生まれた長男とともに暮らした日本。だがわずかな年数での離婚ののち、台湾の実家に帰ることなく、日本で息子を育てる決意をした。そのとき彼女の力となったのは、幼いころから大家族のなかで身に叩きこまれていた、料理と味覚だった。
1986年に文藝春秋から出版された、実に見事なエッセイである。最近になって作家の林真理子氏が思い出話として絶賛し、古本として入手した編集者が感銘を受けて24年ぶりに文庫化されたのだそうだ。
著者の家は料理屋でも宿屋でもないのだが、郊外に何十人もの家族がゆったりと住める大きな邸宅を構えており、中国の風習にしたがって、訪れた客にはかならず「食事が済んでいるか」という挨拶をして、いつ何時でももてなしてきたという。そして母親は(体力のいる豚はともかくとして)鶏くらいは首をはねて血を抜くところから料理ができなければ恥ずかしくて娘を嫁に出せないと、著者の上の姉たちまではとくに厳しく家事を叩きこんだ。その家では、料理を作る人間を雇いながらも主婦であった母が料理に目を光らせ、配膳や皿の交換など家族の食卓に関しては自分たちでおこなうよう娘らをしつけていたという。
すばらしい両親であり、周囲の人々である。何よりも、古きよき時代のぬくもりにあふれている。
大家族の長でありながら家族を平等に愛した父親は、全員が同じもので食卓を囲めないなら、贅沢なものを自分だけ食べるわけにはいかないという考えの持ち主であり、いくら家が裕福であっても人数分をそろえることが困難なこともある「燕の巣」料理を、母親が「お父様の誕生日にぜひ召し上がっていただきたいから」と家族一同にいいふくめ、遠いテーブルについた子供たちは、ほんとうは皿にないものを、食べるふりだけをしたこともあったという。
料理のレシピもところどころに出てくるが、この本の主役はあくまで著者の台湾時代の思い出である。
日本ではNHKの番組で料理講師をされたり、講演活動もおこなっていたという著者だが、2002年に残念ながらお亡くなりになった。もっと以前に、この本の存在を知っていたかった。
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心が温かくなります
2016/02/29 23:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:くまのぷー - この投稿者のレビュー一覧を見る
食を通して、台湾のノスタルジックな情景が描かれていて、懐かしいような気持ちになりました。とても心が温かくなり、読んで優しい気持ちになれます。