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【期間限定価格】がんばらない
著者 鎌田 實
リンパ肉腫の青年が言った。「自分の入る墓を見てきた。八ヶ岳の見える景色のいい所だったよ」青年にぼくはささやいた。「よくがんばってきたね」最後まで青年は誠実に生きて、死んだ...
【期間限定価格】がんばらない
がんばらない
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がんばらない 改訂 (集英社文庫)
商品説明
リンパ肉腫の青年が言った。「自分の入る墓を見てきた。八ヶ岳の見える景色のいい所だったよ」青年にぼくはささやいた。「よくがんばってきたね」最後まで青年は誠実に生きて、死んだ。そこには、忘れ去られた「魂への心くばり」があった。テレビドラマ化されるなど、マスコミの話題をさらった感動の書をあなたに。
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紙の本
病と正直に付き合うには「がんばらない」こと。
2003/12/14 23:20
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐々木 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
父の法事で帰省する飛行機の中で読み始めたが、あまりにも心に迫り来る言葉が並んでいて、飲み物をたずねに来た乗務員に潤んだ目を見られてしまい、照れくさかった。
諏訪にこんな医療機関があったとは、患者に決断させる医師がいたとは、看護の原点を示してくれる病院職員がいたとは、驚きと羨望が湧き上がった。13年前に亡くなった父も入退院を数え切れないほど繰り返し、危篤状態も数度であった。どんな入院生活を送っていたのかその心の奥は窺い知れないが、亡くなった直後に若い看護婦さんが泣きながら父のヒゲを剃っているのを見たとき、「よかったね」と心の中で父に声をかけた。そんな思い出が次々と思い返され、感動的な医療の現場に何度もページをめくる手を止めた。
会社で行なわれる健康診断においても検査は流れ作業で行なわれ、バリュウムを飲み下せずに苦しんでいるのが分っていながらもイラつきながら「早く飲んで」と急がす検査技師には殴り倒してやろうかと思えるほどの怒りを覚える。実験動物のように扱われ、何か疑いがあれば大学病院を紹介しますという対応には、人としての扱いはない。
末期症状でなくても、何か病気になればこの著者が院長を務める病院に入院したいと思う。どうにも致し方の無い「死」というものを迎えるにあたっても、この病院では静かに「死」を受け入れて消化できるのではと思った。一人一人の個性が尊重され、この病院では人が人として扱われている。
本書の中で「いい話だなあ」と思ったのは59ページの「友情スターマイン」である。
画家の原田泰治さんと原田さんの幼なじみの「次さん」との話である。小さい頃から足が不自由であった原田さんに代わって「次さん」が原田さんの家の雪かきをするのであるが、「次さん」が息を引き取る間際でも原田さんの家の雪かきをしたのは自分であると名乗らなかった。原田さんと「次さん」との男の友情を見せていただいた。よかった。
本書の題名になっている「がんばらない」という言葉の意味が154ページに出ているが、ありのままに生きることが困難な現代、ありのままに生きた人たちの話が詰まった本書は医療に関する話であっても、じわりと生き方を示してくれる一冊でした。