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とろめき商店街
著者 葉月奏太(著)
三十の独身男である轟大輔は、下町の商店街でお好み焼き屋兼駄菓子屋の「とどろき屋」を営んでいる。短気だけど人情家の大輔は商店街の有名人だが、惚れっぽくて振られてばかりいる。...
とろめき商店街
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とろめき商店街 長編小説 (竹書房文庫)
商品説明
三十の独身男である轟大輔は、下町の商店街でお好み焼き屋兼駄菓子屋の「とどろき屋」を営んでいる。短気だけど人情家の大輔は商店街の有名人だが、惚れっぽくて振られてばかりいる。ある日、高校時代にマドンナだった遥香が、離婚して実家に帰ってきていることを聞き、大輔の胸は高鳴る。そんな彼の気持ちを知ってか知らずか、遥香はたびたび「とどろき屋」を訪れ、遂には「大輔と一緒になれば良かったかな」と言って、艶めく身体を預けてくるのだった!? レトロな商店街にわけありの美女が集う…ほっこり癒しの下町官能ロマン!
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紙の本
お馴染みの下町人情路線で描いた「寅さん」な主人公
2016/07/07 21:07
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投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
一人旅があればホテルを舞台にしたり、あるいは村の淫習があるかと思えば夜這いの寝取られが出てきたりと幅広い題材から様々なテイストを挑戦的に上梓してきた竹書房文庫の葉月作品において6作目となる本作は『下町とろみつ通り』(2015年)以来の人情路線である。
今ではお馴染みと言える下町のハートウォーミングな喧騒が描かれる中、今回は30歳の主人公をべらんめぇながら意気地がなくて惚れっぽいのにフラれてばかりという、まるで「寅さん」のような男にしているのが特徴。となれば隣の団子屋の看板娘で幼馴染み(27歳)はさしずめ「さくら」といったところか。では「マドンナ」は?となるが、高校時代は憧れの的で今は人妻の同級生が『帰ってきたマドンナ』(第一章の章題)として登場するのである。あと、ついでに言えば主人公と仲良しの同級生で焼き鳥屋の後継ぎは立場的に「タコ社長」かもしれない。
ただ、このマドンナも含めて基本的には1人1章のスタイル。次々と現れては主人公との情交を経て心と体を癒してもらい、新たな希望を得て去っていくヒロイン達である。これを恋の始まりと期待しては肩透かしを続ける主人公というお約束的な展開なのだが、子供の頃からずっと隣で見てきた幼馴染みが(他の作品では不憫な役回りも多いキャラだが)本作では最後にこっ恥ずかしくも素敵な結末へと導いている。
他にも家庭を顧みない夫に嫌気が差して家を飛び出してきた人妻(家事を完璧にこなす理想の主婦)や商店街の活性化のために派遣されてきたコンサルタントの女史(クールな美貌にギャップのある性癖)といったヒロイン達がアラサーの妙齢さで揃っているのだが、官能描写は総じて優しい。作風からすれば致し方ない面もあるとはいえ、せめて途中で体位を変化させるくらいの描写とボリュームは欲しかったように感じた。