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洋食セーヌ軒
著者 神吉拓郎
うまい牡蠣フライが食べたくなって、10年ぶりに訪れた洋食屋「セーヌ軒」。店構えも味も当時のままだが、時の移ろいはたしかにそこにあった。(「洋食セーヌ軒」) 虹鱒のムニエル...
洋食セーヌ軒
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洋食セーヌ軒 (光文社文庫)
商品説明
うまい牡蠣フライが食べたくなって、10年ぶりに訪れた洋食屋「セーヌ軒」。店構えも味も当時のままだが、時の移ろいはたしかにそこにあった。(「洋食セーヌ軒」) 虹鱒のムニエルや車海老の天ぷらなど、極上の料理に滲む淡い人間模様。忘れがたい味わいは、いつかの記憶も妙味に変える……。直木賞作家の洗練された軽妙な筆が、人生の機微を洒脱に描き出す17の掌編集。
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紙の本
絶品の食べ物と飲食店にまつわる短編集
2016/04/10 21:14
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ドン・キホーテ - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は短編16編を集めた小説で、一編ずつ食べ物に絡んだ話である。食べ物といっても家庭で食べる料理ではなく、レストランや料理屋で出されるメニューが中心となっている。また、集めたというのは不適当で、それを意図して神吉拓郎が描いたものである。
第一編に登場するメニューは虹鱒のムニエルである。第二編は中華街の朝食で豆乳と油条。どちらもカップルではあるが、前者は明るく、後者は暗い。出てくるメニューの食べ物はストーリーとは直接関係しないのだが、何か関係を持たせているのかもしれない。
以降、鰻、洋菓子、小学校時代の弁当、食材としての鮎などなど上げているときりがない。ただし、これらの食べ物とストーリーは直接関係していない。しかし、ストーリーのほとんどは男女の間の微妙なやりとりになっている。そこに添えられた背景がレストランや出された食べ物になっている。
もちろん、そこにはてんぷら、寿司なども登場するが、レストラン自体もストーリーに絡んでくる。それがまた食通には興味深いのではないか。同窓会的な年輩者の集まりも出てくる。昔話に花を咲かせるが、そこで語られる話はやや古い話が多い。小学校ではなくて、国民学校まで登場する。
ストーリーは、最近では珍しいほど含みを持たせたもので、その先は読者自身が考えるように作られていると思う。神吉作品を掘り返して読んでみたいという思いを起こさせる絶品の短編集であった。