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電子書籍
知られざる「吉田松陰伝」
著者 よしだみどり
世界で最初に書かれた「松陰伝」の謎! なにが英国の文豪を感動させたのか? スティーヴンスン研究家である著者は、ある時、文豪の書いた1行に目が釘付けになった。そこには、彼が...
知られざる「吉田松陰伝」
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知られざる「吉田松陰伝」 『宝島』のスティーヴンスンがなぜ? (祥伝社新書)
商品説明
世界で最初に書かれた「松陰伝」の謎! なにが英国の文豪を感動させたのか? スティーヴンスン研究家である著者は、ある時、文豪の書いた1行に目が釘付けになった。そこには、彼がヨシダトラジロウの伝記を書いたと記されてあったからである。それはまだ日本国内には松陰の伝記が存在しなかった頃、すなわち世界で初めて書かれた「松陰伝」ということになる。スティーヴンスンはいつ、どこの誰から松陰のことを知ったのだろうか。イギリス人の彼は日本人・松陰のどこに心を揺さぶられて執筆したのか。そしてその内容とは……。アメリカ、スコットランド、日本――著者の謎解きの旅が始まった。
目次
- 序章 なぜ、世界最初の吉田松陰伝が英国で 1章 スティーヴンスン作『ヨシダ・トラジロウ』全訳 2章 誰が文豪に松陰のことを教えたのか 3章 どうして伝記は封印されていたのか 4章 松陰伝がサンフランシスコで執筆された理由 終章 スティーヴンスンが日本に残したもの
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紙の本
作家スティーヴンスンの人生を変えた吉田松陰
2010/07/29 20:27
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MtVictory - この投稿者のレビュー一覧を見る
「宝島」や「ジキルとハイド」の作者スティーヴンスンが松陰について書いていた!本書はそれを発見した著者の謎解きの書である。
松陰より20歳下のスティーヴンスンは会ったこともない彼に心服していたようだ。 スティーヴンスンの人生も波乱万丈であったが、自分の人生に彼を重ねて見ているようでもあった。
松陰の通称は吉田寅次郎。スティーヴンスンが「人物と書物に親しむ」という本の中で「吉田寅次郎」という短い伝記のような文を書いている。第1章にはその文章の全訳が掲載されている。スコットランド人のスティーヴンスンはエディンバラ大学にいたとき、日本から来ていた正木退蔵から松陰の話を聞き、のちにその感動を文章にしたのだ。正木から聞いた話とは「愛国と冒険・苦闘の連続と、希望と挫折の物語」だったという。正木は松陰の門下生でもあり、明治12年に出張で渡英していたときに、スティーヴンスンと会ったらしい。
松陰は幕府老中・間部詮勝襲撃計画に失敗し、投獄され、処刑される。辞世の詩を残しているが、そこには「日本を救う大事はこれからという時に、死なねばならぬ我が身の運命」の嘆きが込められ、彼は「想像を絶するほどの悔恨と無念さを噛み締めていた」ようだ。
スティーヴンスンの文には、投獄された松陰に同囚のクサカベなる人物が、刑場に向かう前に残した言葉「瓦となって残るより玉となりつつ砕けよや」が書かれている。その言葉はスティーヴンスンの人生のモットーとなった。実は、その言葉は松陰が処刑される直前に同じ牢獄にいた高松藩士・長谷川宗右衛門のものだったが、正木が勘違いして語ったもののようだ。そしてスティーヴンスンは「生きる力を与えてくれる日本の英雄の話」として、「吉田寅次郎」を書いた。
終章では著者はスティーヴンスンと松陰の共通点をこう書いている。「誰にも分けへだてなく、彼らの深い教養をまるで太陽の光のように惜しみなく人々に与えた。存在するだけで人々の心を明るくし、眠っているような魂を目覚めさせることができた」。
松陰を描いた本はこれまでにいくつか読んだが、本書は意外な視点から書かれたもので、非常に興味深かった。松陰の人物像をスティーヴンスンは正確に伝えているし、私の松陰に対するイメージはいささかも揺らぐことはなかった。幕末の日本という、遠い異国の一人の人間の生き様が、外国人を感動させ、その人生にも大きく影響を与えた、というのは面白い。