紙の本
ヨーロッパと日本。比較によって真実が見えてくる。
2002/06/09 21:07
5人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:凛珠 - この投稿者のレビュー一覧を見る
イエズス会の宣教師ルイス・フロイス(1532〜97)が、35年間に及ぶ日本での布教活動の間に、ヨーロッパ文化と日本文化を比較して記した書である。内容は男性、女性、子供、僧侶、衣食住、馬、武器……等々、多岐に及ぶ。当時の日本だけでなくヨーロッパのことも分かり、まさに一石二鳥のとても貴重な書である。
作者が宣教師というせいもあろうが、やはり僧侶に関しての記述は厳しく、厳しく言われるのも当たり前なのが事実である。女性については、前近代的な性の奔放さ(自主的な貞操観念は女性の知性である。性に奔放なのは「現代的」ではない)と、封建的な女性蔑視が合わさっているようだ。性の放埓さに関しては、一見、現代人に近いが、当時の女性は男の性暴力から守られていないので、安易に「近代よりも良い時代」などと思うのは大間違いである。ヨーロッパでは、未婚の女性が事情があって男の家へ駆け入れば大切にされるが、日本では捕らわれの身にされると書かれている点が、それを証明している。女性がどうであれ、男に貞操が無かったのが日本の場合の諸悪の根源である。
また、貧しいゆえに、堕胎や子殺しも盛んだ。物質的豊かさ無しに精神的豊かさは生まれない。物質的豊かさを批判するのは、安全な立場にいる者の奇麗事である。貧しい国では人命も軽い。日本が発展途上国だったことを頭に入れ、上記のような奇麗事に騙されずに歴史を勉強する必要があるだろう。
紙の本
さかさまな面白さ
2016/04/28 12:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hontonodeai - この投稿者のレビュー一覧を見る
西洋と東洋の違いが衣服や所作という具体的なことを通して語られており、500年以上経った現在でも同じような違いがあることに氣がつかされ、その面白さにこころから笑えるところがあった。また、当時の差異は現在では見られない事柄も多くあり、世界は一つになりつつある氣配を感じる1冊にもなった。
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学生時代に、講義で受けていた日本文化史のテキスト。 江戸時代に日本人が、いったいどんな生活をしていたかを、ヨーロッパから訪れていたルイス・フロイスが書き記したもの。 普段の食生活から、身の回りのことなど、「はぁ〜 こんな生活してたのね…」と感じてしまいます。
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16世紀の日本とヨーロッパの文化的相違を記述している。比較形式で簡潔に書かれているので気軽に楽しむことができた。
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秀吉のキリスト教に対する態度が少しばかり窺える。この辺は高校の日本史にはもちろん書いてない。それと、当然のことながら仏教に対するというか当時の坊さんに対する過剰?な批判もあり。個人的に印象に残っているのが、武士の子ども(年少者)に対しての感想で、その立ち居振る舞いにいたく感動している様が新鮮。
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イエズス会宣教師ルイス・フロイスは、35年間日本での布教に努め、長崎で生涯を終えた。その間、当時の日本の社会を細かく観察し、ヨーロッパ文化と比較・対照して記録した。筆は、衣食住、宗教生活、武器から演劇、歌謡等々多方面に及ぶ。
面白い。日本を知るためには、私達が何者かを知るためには、外から見るのも重要だと感じた。
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中世…だから安土桃山とかあの頃か。日本へやってきた宣教師がつづった日本とヨーロッパ文化の対比。
一問一答の箇条書き形式なので大変読みやすかったです。
でも注釈によると面白く書くため…もとい、違いを際立たせるために、わざと極端な例をあげている部分もわりとあるみたい。可愛いなルイス。
なぜか私はこの本のことを幕末に書かれたものだと思い込んでて、そうじゃないとわかってからも読みながらうっかり首をひねることがありました。(あ、そーかそーか幕末じゃないんだっけ)
どうしてそんな勘違いをしてしまうんだろう?
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網野善彦が本書をねたにすばらしくおもしろい講義を行っている。「日本の女性は処女の純潔を少しも重んじない」「[嬰児を]育てていくことができないと思うと、みんな喉の上に足をのせて殺してしまう」。
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●構成
第一章 男性の風貌と衣服に関すること
第二章 女性とその風貌、風習について
第三章 児童およびその風俗について
第四章 坊主ならびにその風習に関すること
第五章 寺院、聖像およびその宗教の信仰に関すること
第六章 日本人の食事と飲酒のしかた
第七章 日本人の攻撃用および防禦用武器について 付戦争
第八章 馬に関すること
第九章 病気、医者および薬について
第十章 日本人の書法、その書物、紙、インクおよび手紙について
第十一章 家屋、建築、庭園および果実について
第十二章 船とその慣習、道具について
第十三章 日本の劇、喜劇、舞踊、歌および楽器について
第十四章 前記の章でよくまとめられなかった異風で、特殊な事どもについて
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日本の戦国時代から安土桃山時代にかけて、日本には東アジアにまで進出してきた欧州の国々からキリスト教の宣教師が派遣された。彼らの主たる目的はキリスト教の布教であるが、それだけでなく日本の政治経済から風俗に至るまで様々な情報を自国へ伝え、後に日本へ進出するための情報を収集していた。
ポルトガル人ルイス・フロイスは、1562年に日本を訪れ、途中織田信長や豊臣秀吉と謁見を重ね、1597年に死去するまで日本国内で布教活動を行い、また来日したポルトガル人が日本や日本人と接するための案内役を務めた。
フロイスは様々な記録を残しており、中でも『日本史』が有名である。本書は、西洋の人々がTopsy-Turvydom(「さかさま」「あべこべ」の意)と称していた比較記述によって、西洋からみた当時の日本の姿を描き出している(「我々(=西洋)では●●だが、日本では■■である」という記述)。その中には、当時の日本と現在の日本では異なる、逆になる(つまり本書で言う西洋の立場)ような事柄も含まれている。また、強引な比較によって日本の事柄が誇張されている事や、著者が宣教師の立場であるための偏見なども見られ、そうした西洋人の日本観も本書から読み取ることができる。
原文はひたすら比較の記述のみであり、翻訳の際に訳者が詳細な注をつけている。気軽に読める本であり、またトリビアの辞典としても利用できるだろう。
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安土桃山時代に来日したイエズス会ポルトガル人宣教師ルイス・フロイスによるヨーロッパと日本の文化比較を記した小冊子の解説書。底本はルイス・フロイスが来日23年目で九州・加津佐で記した『日欧文化比較』で、本書では訳者がわかりやすいように行ごとに解釈を付け、挿図している。
構成としては、日欧の比較を習俗・文化・宗教・道具などの分類として章立てし、項目毎に「われわれは(ヨーロッパでは)○○○。彼らは(日本では)×××。」といった簡略な比較文になっている。
それぞれの比較はとても面白く現代でもわかるものもあり、とても興味深い。その一方で解釈を読むと日本側の記載は貶める方の誇張も多い気がする。フロイスの趣旨を考えると、ヨーロッパ文化との違いを奇異に、そしてさかさまなものとして伝える側面が多く見受けられ、90%くらいは「何考えているんだ日本人は・・・」的な記載が多いように感じられる。(笑)外見的な比較が多く、内面まで理解した記述ではないのが残念なところで、このままではどこまでいっても「異邦人の視点」を抜け出していない感じだ。
少し前まではフロイスの大著『日本史』をはじめあまり史料として研究に使用されることは少なかったとのことですが(誇張や勘違いがあるためか?)、近年、見直されてきているとのことで、こうした同時代の一次史料は大いに研究の一助になってほしいと思います。
以下は特に興味深い記述です。
「ヨーロッパ人は大きな目を美しいとしている。日本人はそれをおそろしいものと考え、涙の出る部分の閉じているのを美しいとしている。」
「われわれは喪に黒色を用いる。日本人は白色を用いる。」
「われわれはいつでも唾を吐きだす。日本人は概して痰を呑み込む。」
「ヨーロッパの女性は美しい整った眉を重んずる。日本の女性は一本の毛も残さないように、全部毛抜で抜いてしまう。」
「われわれの間では女性が素足で歩いたならば、狂人か恥知らずと考えられるであろう。日本の女性は貴賤を問わず、一年の大半、いつも素足で歩く。」
「ヨーロッパでは夫が前、妻が後になって歩く。日本では夫が後、妻が前を歩く。」
「ヨーロッパの女性は分娩の後、横になって、休息する。日本の女性は分娩の後二十日の間、昼も夜も坐っていなければならない。」
「われわれの間では、人は罪の償いをして、救霊を得るために修道会に入る。坊主らは、逸楽と休養の中で暮らし、労苦から逃れるために教団に入る。」
「われわれの間では修道士が結婚すれば背教者になる。坊主らは信仰に飽きると、結婚をするか、または兵士になる。」
「ヨーロッパでは主人だ死ぬと従僕らは泣きながら墓まで送って行く。日本ではある者は腹を裂き、多数の者が指先を切りとって屍を焼く火の中に投げ込む。」
「われわれはスープが無くとも結構食事をすることができる。日本人は汁が無いと食事ができない。」
「ヨーロッパ人は牝鶏や鶉、パイ、ブラモンジュを好む。日本人は野犬や鶴、大猿、猫、生の海藻などをよろこぶ。」(食事について)
「われわれの馬はきわめて美しい。日本のものはそれに比べてはるかに劣ってい���。」
「われわれは坐り、彼らはしゃがむ。」(トイレについて)
「われわれの劇は詩である。彼らのは散文である。」
「われわれの間では人に面と向かって嘘付きだということは最大の侮辱である。日本人はそれを笑い、愛嬌としている。」
「われわれの間では礼節はおちついた、厳粛な顔でおこなわれる。日本人はいつも間違いなく偽りの微笑でおこなう。」
「われわれは拇指または食指で鼻孔を綺麗にする。彼らは鼻孔が小さいために小指を用いておこなう。」
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再読したが、面白かった。日本の文化を16世紀に日本に宣教しにきたルイス・フロイスが観察している。とにかく箇条書き。訳注が丁寧で、ぱらぱら読んでいっても面白いかも。
ヴィオラは6本の弦で二重にはってある・・・というくだりは、これは「ビウエラ」のこと?・・・と想像。高貴な身分の人が弾く楽器・・・という点でもビウエラかもしれないなあ。時代的にも。
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戦国時代の日本を訪れた宣教師・フロイスによる日欧文化比較論。「われわれの間では~~、一方日本では、・・・」という手法で手記を書いている。当時の日本の習慣がよく分かって面白い。
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大学の講義で使用。
ルイスフロイスが日本人のことを記録している。
最も印象的だったのは、下記の一文。
「日本人は小指で鼻の穴をほじる」
ルイスフロイスに、小指で鼻の穴をほじる日本人がそんなに印象的だったのか。
ちょっと面白い。
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更に現代の日本文化と比べると面白い。
ヨーロッパ文化を取り入れてきた部分がたくさんありますね。
偽りの笑いか…。
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安土桃山時代にわが国で布教を行ったポルトガル人宣教師ルイス・フロイスの『日欧文化比較』の改題。
雑学をたくわえるには資する。比較文化という観点からも,無論おもしろい。