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重要なのはアメリカの民主主義がアメリカの社会、風土、国民の慣習や意識に合致しているがために発展してきたということである。言い換えれば、どの国家においても民主主義はその国や国民の特性に合致したあり方で導入されなければならないのではないかと思う。
http://d.hatena.ne.jp/hachiro86/20070829#p1
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フランス革命を経験した著者が生まれたてのアメリカを紀行し民主主義の本質面やアメリカという国の未来を予見し綴った一書。
内容もさることながら著者の深い洞察力が物凄い。
民主主義の構造分析から始まり行政や司法の在り方まで先見的な洞察の上に成り立っている。
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アメリカという国が如何にして成り立っているかをまとめた好著。国と州の関係について深く考えさせられる。アメリカに短期間滞在しただけで、ここまでアメリカの民主主義の本質を見抜いたトクヴィルは出色。
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結構期待して挑んだものの、やはり古典的な印象が否めない。しかし、これは当時とても革新的だったのだろう。言葉遣いは結構すき。民主主義に潜む多数派専制の危険性の指摘など。
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19世紀、アメリカ合衆国を悉に見て回ったフランスの思想家トクヴィルによる当時の「最新のアメリカレポート」。当時のヨーロッパ諸国の状況を知らないと今ひとつわかりづらいかもしれないが、欧州の軛から自由になったアメリカという国家が、その風土、人民の気風、世界の中での地理的・政治的な位置などの特異さから、「民主主義」という大きな特長を涵養する事になった、ということだろうか。アメリカという国の成り立ちから、今の巨大国家アメリカの行動原理が見えてくることを期待する。
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アメリカという国を、もう一度作ろうと思っても、もう作れない。アメリカはこの世界が一度だけ作ることのできた宝石だと思う。人間というのがいかにすごいのか、歴史書を読んでいるとなぜか自分が人間より上の種族になったような気がするが、それにしても人間という生き物はすごいなあ、と上から目線で、いやあすごい本当にすごい、と飛び切りお気に入りの本でも見つけたみたいに何度も色々な場面から見て見たくなってしまう。アメリカというシステム、アメリカという人間たち。アメリカという蒸気、ただ機関車を動かしている、そのしくみ。
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1830年代にフランスの政治思想家トクヴィルが、アメリカ社会を観察するとともにその民主政治の成り立ちや統治機構の特徴を考察したもの。
著者は、当時民主政治について最も進んだアメリカを研究することで、革命の時にあったフランス(ヨーロッパ)にも訪れつつある民主政治をより有益なものする方法を知ろうとしたが、その観察眼や洞察力から導かれた鋭い考察により、現代の民主主義を考えるにあたっても読み直すべき古典的名著とされている。
この1上巻では、アメリカ建国時にまで遡ってイギリス系アメリカ人の性格、宗教観やそれが政治に与えた影響、連邦や州といった統治機構の性格や特徴などが論じられている。
興味深かったのは、著者は社会の繁栄と人間の自由に好都合で最も強力な統治制度を連邦制としつつ、一方で連邦政府の相対的な弱さ(細分化された主権)を弊害として挙げている所。
連邦制が成功するには良い法律だけでは不十分で、各州がほとんど同じ利害、起源、言語、同程度の文明段階であることと、なんといっても地理的条件の重要性を挙げ、著者の言葉によれば“連邦制の諸国が政治集権の集中した国家と長期間対等に戦いうると信じることは拒否する”としている。
この点、例えば日本で明治政府が中央集権化を図ったことは、日本の地政学や当時の時代背景から考えてもトクヴィルの主張と符合するように思える(統治制度として幕藩体制は連邦制に近いかと)。
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トクヴィルは、民主制は(ヨーロッパでも)不可避的という見通しの下に、アメリカの民主制の制度的あり方やその成立条件を検討している。
彼は第1章で北アメリカの地形を概観した後、第2章では国民の起源ないし形成期にすでに国民間の優劣がなく、かつ、「民主的共和制」と不可分のピューリタニズムがあったことを指摘している。その「社会状態」は、第3章によれば、市民の平等と知識の平等が著しい状態であった。第4章では、アメリカのイギリス系植民地に人民主権が原理として根づいており、革命後はそれが自治体から政府へと波及したと論じられている。第5章では、個々の州の事情が検討されている。その特徴は、例えば、ニューイングランドに見られるように、地域共同体(タウン)の自治にある。第6章によれば、アメリカの司法権は、法律よりも憲法に基づいて審判できる。第7章は、ヨーロッパでは政治裁判で公務員に重罪を課すが、アメリカでは公的資格を剥奪するにすぎないことが指摘されている。連邦憲法を扱った第8章によれば、アメリカでは、連邦の主権と州の主権が分割され、連邦政府の権限は、戦争・通貨・交通・課税などに限定されている。①州の原理を上院に国民主権の原理を下院に代表させた立法、②大統領が長であり立法議会との対立の生じない行政、③他国にないほど大きな権力を有し、立法府への権力集中を防止する司法が論じられている。
アメリカの特徴は、連邦制度にあり、それは、地域の多様性を生かしつつ、防衛のような社会全体に関わる行動を規制している。とはいえ、すべての国家が連邦制度を採りうるわけではない。それを可能にした条件とは、市民の政治的知識の普及、「文明」の同質性、とりわけ地理的な環境である。
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1800年代にフランスの政治家トクヴィルが米国に渡り、米国社会の仕組み、米国人行動をつぶさに分析した結果を「米国論」として纏めたもの。
米国を表わす最も適当なコンセプトが民主的(デモクラシー)ということになる。
当時、欧州からみると米国は壮大な実験の場であり、また将来の自らを占う国として大きな関心が持たれていたのだと思う。本著は古典の部類に入るのかもしれないが、現在の米国社会を考える上でも参考になる考察が数多く見出すことができ、大いに参考になった。
国は人間の成長と同じだという。子供の頃からの成長の過程を見ることで、今の自分を判断できるように、”米国は、一大国民の出発点を明瞭に認識することのできた唯一の国である”。
例えば、米国を創ったのは母国英国を捨てた清教徒であり、そのニューイングランドの気風が全国に拡がり、国の精神を作ったとしている。
確かに、今も米国人は宗教心に厚く、正義・公正を重んじる傾向があり、それはこの生い立ちに繋がってくるものだと納得した。
また、自由、平等はまさに母国での差別から逃れてきたこと人々にとって最も重んじられているものであり、それが法制度等、社会の仕組みに埋め込まれていることにも必然性を感じる。
その他、地方自治、連邦制度、大統領制、司法制等、米国の社会の特徴を米国の生い立ちから紐解き、その趣旨を理解することができ、大変興味深い内容になっている。
以下引用~
・アメリカでは逆に、郡より前に自治体が、州より前に郡が、そして連邦より前に週が組織されたと言うことができる。
・アメリカでは両者をいわば混ぜ合わせ、見事に結びつけることに成功したのである。すなわち、私が言うのは宗教の精神と自由の精神のことである。
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自分と年齢の変わらないような若者(貴族であるところが違うけど…)が新興国アメリカに視察に行ったあと書いた考察である。内容は、フランス(革命国)、イギリス(旧体制)、との比較の視点があり、わかりやすい。アメリカは○○であるが、なぜ○○かというと…という政治をしているからである。一方フランスでは…のような形。なぜ訴訟社会なのか、など、現代のアメリカを考察するにもアイデアの源泉になる素晴らしい著書。
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近代の民主主義がどのように生まれたのか。
民主主義、これが人間の手によって実現されたものであるということがなんだか奇跡のようにも感じるし、当時の人びとの偉大さに感銘を受ける。
民主主義が、いかに今私の生きる社会を保証しているのか、その機能や原理を考えることを忘れて自然に生えてきたように存在するものだと思ってしまう現代、初心に帰らせてくれる語り。
そして異国の制度、その諸々の背景や具体例をここまで書き綴るトクヴィル、感謝します。
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フランス革命後、仏では政治体制が不安定化、帝政が生まれてしまった。アメリカ(ジャクソン大統領時代)で民主政の可能性を探りたい。▼平等と自由は両立しない。平等の実現(平準化)はしばしば自由を犠牲にする。たとえば、階層秩序が崩壊し、貴族(中間的な権力)に支配されていた人が解放されると、無数の群衆が解き放たれる。彼らは魂を充たしてくれる卑俗な喜びを求めて動き回る。富と財産を増やすことが最大の関心事。自分の内に引き籠もり、個人がバラバラに欲望を追求する。彼らの享楽を保障し、監視しているのが国家。無力で不安定な個人は強力な国家に依存・隷属するようになる。政治に無関心になり個性を喪失し多数派に隷従・同調する。だから平等は自由ではなく隷属をもたらす。多数派の専制。※c.f. ハーバマスの福祉国家。▼それを防いでくれるのがアメリカの地方自治を通じた政治教育(民主主義の学校)。地域の問題を住民自身が考えて解決していく。仏のように行政的な中央集権がなく、人々が自らの手で身近な行政に携わっている。仏のように中央の官僚(王の僕)が政治を主導するのではなく、下から国家をつくっている。また、仏のように結社の自由が制限されておらず、結社を自発的に作って個人と個人が結びつく。さらに宗教により人間相互の連帯や社会への義務を自覚さる、利己主義を克服、紐帯が生まれている。トクヴィルTocqueville『アメリカのデモクラシー』1831
トクヴィルが礼賛したアメリカの地域コミュニティの結束は80年代辺りから弱まっている。市民組織や友愛団体の会員数減少。メンバーの高齢化。親の教育課程への関与(PTA)の減少。投票率の低下・公的な集会への参加の減少。相互援助や共感は弱まり。個人間のつながり・社会的な網目の弱体化。互酬と信頼の規範が衰退。社会的な信頼の低下。ロバート・パットナム『独りでボウリング』2000
※昔ながらの古い組織に注目するから「コミュニティが衰退している」ように見えるだけとの批判。新しいコミュニティ(SNSなど)はむしろ隆盛。
※仲間うちの結束をもとづく内部指向の排他的な信頼・規範・ネットワーク。外部指向で他者と橋渡しをする信頼・規範・ネットワーク。cf. デュルケーム。機械的連帯(結束型)。有機的連帯(橋渡し)。
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先日拝聴したライフネット生命の出口治明会長の講演の中で、『縦と横に見る視点が重要』とおっしゃっていた。先に読んだ、ちきりん著「自分のアタマで考えよう」の中でも、同じことに触れており、「『縦=時系列比較=歴史的な観点でものごとを見ること』と『横=他者比較=国際的な視点でものごとをみること』とのことですから、やはり比較といえばこの二種類を覚えておくべし」と言っている。そういう意味で本書は、現代の民主主義を考える上での「タテとヨコ」の決定版である。ちなみに本書も出口会長のお薦め本。
本書は、フランスの政治思想家トクヴィルが1800年代前半にアメリカに渡り実際の見聞を著したものである。(著者が初めてアメリカに渡ったのは25歳の時だから驚き!)アメリカ人ではないところがミソで、日本人から見れば、「タテとヨコ」でいう「ヨコ」に深みが増している。
一例をあげる。たとえば、著者は以下のようにアメリカの二院制について、
「立法権力を分割し、議会政治の進行を遅らせ、法律の修正のために上訴の場を一つ設けること、これが合衆国の二院制から導かれる唯一の利点である。
利点はこれらに限られるとしても、立法権の分割になお第一級の必要性があることを、アメリカ人は時と経験から知った。連邦に加わった諸国の中で、ペンシルバニアだけが最初一院制を試みた。フランクリン自身、人民主権の教義の論理的必然に導かれて、この措置に同意していた。その後、法を改正し、二院制をとらざるをえなくなった。かくして立法権の分割は最後の祝福を受けた。このとき以来、立法行為を複数の機関に分掌させる必要性は証明済みの真理とみなすことができる。この理論は古代の共和国にはほとんど知られておらず、多くの偉大な心理と同じく実行に移されたのはほとんど偶然の賜であり、近代の諸国もいくつかはこれを無視しているが、いまや今日の政治学の一つの公理となっている。」と述べている。
正直1回通読した現時点において、まだこの重みが処理しきれないでいる。ただ、噛めば噛むほど味が出そうだということはよくわかった。何度か読み返すべき名著である。
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政治のことばかりとおもっていたら、最初がアメリカの自然についてのことで驚かされた。
ところどころフランスとの差異は書かれているので、その比較としては意味があるであろう。どこがよく引用されるのかがよくわからないので、引用された都度、これを見るのがいいと思われる。