紙の本
私たちはどうして生きているのだろう?
2002/02/13 16:54
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投稿者:タツヨシ - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公(僕)が、作者自身の趣向を体現したような生活を送っていることから、読者は作者(村上春樹)自身の生活にも興味を持ち、作者によって書かれたエッセイや紀行文も、小説の延長として受け取る傾向があるように思う。
しかしたまには、「僕」が聴いている音楽や、食べる料理や、訪れる具体的な地名などをすべてかっこにくくって、作者が小説を通して言おうとしていることを考えてみることも意味があるかもしれない。この下巻は特にそう思わせてくれる。
無意識のなかの闇でつながれながら、不条理や欠損を抱えて生きる人間は、「寝る」ことを通してしか確かな感覚を得られないのだろうか。「死」とは、もう一つの世界でつながることなのだろうか。私たちはどうして生きているのだろう?
紙の本
ダンスダンスダンスというタイトル
2002/01/06 02:10
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投稿者:ユカリ - この投稿者のレビュー一覧を見る
バランス感覚を失うことがある。そんなとき、この小説を思い出す。上手にステップを踏めさえすれば、乗り切ることができる、と。
主人公は付き合ったことも無い、常識的で几帳面で変化に乏しい女を思い続ける。彼女はゴールであり終着点なのだから、そうでないと困るのだ。その後うまくいくかは別にして。ひとつひとつの観念上の問題を乗り越えて、観念上のステップを踏んで、ダンスができてゆく。精神の統合こそがダンスの終着であり、彼女の存在はその象徴といえるかもしれない。
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『風の歌を聴け』から始まる3部作の流れと、『ねじまき鳥クロニクル』へ繋がる不気味な流れが感じられると思う。深い闇の部分があちこちで口をあけているが、”僕”は軽やかなダンスですり抜ける。村上春樹の長篇の中で一番好きだ。
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ん?これで終わり?
読み終わった後、そんな感じがした。
でも、終わりはないのよね。
だって、ステップをうまーく踏み続けなければ。
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多くの読者がそう感じているとおり、この作品でこのシリーズが完結したとはとても思えないが、今までよりも孤独や現実を考えさせられる作品であった。自分の中にあった抽象的な思いが具体化されたような物語だった。
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時々読みたくなる世界。しかしどうしてこの人は人を死にたくさせる文章を書くのだろう?もう何もかも何でもいいよ、このまま消えてしまいたいと思わせる。もうAもKちゃんも助けてくれないところに私はいるというのに。僕が何もかも失いすぎたからだろうか。自分と社会を結びつけられないでいる。でも彼は死にたいとは思ってないだろうね。実にきちんと食事を作って食べてあちこちでsexする。そういうのって片岡義男の世界と同じだけど彼の文章は少なからずもう少し幸福だ。やれやれ今こうして私が書き物をしているなんて奇跡的だ。私はいつか彼の文章に殺されるかもしれない(あなたたちはどうしてそう元気でいられるの)。'92
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ムラカミワールド全開ですね。カッコつけた文章といい、話の展開といい、登場人物といい。話の内容としては一応、「風の歌を聴け」からの三部作に続く形ですね。いつものように全体に雰囲気が漂ってて、カッコよかったし、洗練されてる印象を受けました。まあ相変わらず俺には難解だったけどね…今回のお気に入りの一文は、「十二月の雨に濡れた三本脚の黒犬みたいに哀しげだった」ですね。
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村上春樹作品の個人的ベスト。最も「ハルキ・ワールド」を感じる作品だと思います。登場人物がみんな魅力的ですよね。
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現実を生きることを知った僕。
配電盤役の羊男、ユキ、五反田君、キキ、
「ユミヨシさん、朝だ」
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現実を生きることを知った僕。
配電盤役の羊男、ユキ、五反田君、キキ、
「ユミヨシさん、朝だ」
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解決しない謎と脱線しまくる展開。
ハワイ。
そして夏がやってくる。
朝だ。
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○2009/05/25
ユキが好きだなぁ。将来どんないい女になっているやら。
珍しくという言い方は変かもしれないけど、この本では各登場人物がくっきりはっきり目的とか役割を持っていて、主人公でさえぼやけたものをあまり感じなかった気がする。最後は釈然としなかったんだけど、それは読解力不足か。
アメと一緒にいたディック・ノースも印象的だった。片腕の元兵士。みんな流されて生きてるのにどうしてあんなにしっかりしてるんだろう。羨ましい。
村上さんの主人公って、語り口調の合わなさもあると思うんだけど毎度どうしても受け付けないんだけど。この本通してはそれほど感じなかったな。話にのめり込むといいのかも。
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これ村上さんの中ではかなり面白かった部類に入ります!なんか最後とかドキドキしてあっという間に読み終わった感じがありました。五反田くん好きだなぁ〜笑。他の続きのヤツも読みたくなりました。
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読始:2009,3,1
読了:2009,3,2
この作品を最後まで読むことになって求心力ともいうべき魅力は上で書いたので、その他の魅力を書こうと思う。
上ではマクロな視点からだったが下ではミクロな視点で見ていこう
作中で使われる様々な表現が私自身の肌とあっているというか、まどろっこしい言い回しが好きなんですw
たんにぐだぐだいってるのではなくテンポやその質というか好みの問題かも
僕が“冗談”を言う場面は作中何十回も出てくるがああいう一見くだらないやりとりも私のツボを抑えてるかも
。ハワイに行く件で何人もの人がいくつもの言い方をする。「だってハワイでしょ?カトマンズに行くわけじゃないもの」「でもまぁハワイですから。ジンバブエに行くわけじゃないんですから」…いろんな言い方があるwww
チョコレートに興味がないの件の僕とユキのやりとりなど数え切れないほどたくさんの冗談があるw
小説の最後はなんとも中途半端な気がした
またこれの続編が出るのか?そう思わせる終わり方であった。(あるいは出てるのかも知れないが私はしらない…orz)
途中までよかったが結末が自分の中で納得できてないかなぁ
この本を万人に勧める気もないので、自己満のメモの場としてここ使わせてもらおうww
以下気に入った数々の文のほんのいくつかを抜粋して終わろうw
・文化的雪かき 官能的雪かき
・非常に完全に死んでいる
・好むと好まざるとに関わらず
・「あなたはそれについてどう思うの?そういう考え方について」
―「僕がそれについてどう思うかというのは全然問題じゃない。“君がどう思うか”というのが問題なんだ。言うまでもないことだけれど。『それはいささか虫がよすぎる』という考え方もあるだろう。『考慮に値する建設的な姿勢だ』という考え方もあるだろう。そのどちらを取るかは君次第だ。何も急ぐことはないよ。ゆっくり考えて、それで結論を出せばいい」
・接続詞的存在
・「それはよかった」という台詞を使うのは、他に何ひとつとして肯定的言語表現を思いつけず、しかも沈黙が不適当であるという危機的状況に限られている。
・ソフィスティケートされている
・Different strokes for different folks.
・○○に二票、動議採択
・「これはむずかしいぜ、ワトソン君」とぼくはテーブルの灰皿に向かって言った。もちろん灰皿は答えなかった。灰皿は頭がいいから、こういうことには一切係わり合いにならないようにしているのだ。灰皿もコーヒー・カップもシュガー・ポットも伝票も、みんな頭がいい。誰も返事をしない。聞こえないふりをしている。馬鹿なのはぼく一人だ
・電話的沈黙
・「後悔するくらいなら君ははじめからきちんと公平に彼に接しておくべきだったんだ。少なくとも公平になろうという努力くらいはするべきだったんだ。でも君はそうしなかった。だから君には後悔する資格はない。全然ない。」
p.256
パンを切るときに足を使う下りを再度持ち出すタイミング
これはまたマクロな視点に戻るが、こういう前述の箇所をひっぱってくるタイミングの良さが長編作品を一つの作品にまとめる上でのポイントになってるとおもう。この持ち出しがあるかないかで全体から受ける印象がかわることは間違いない
ところどころ満足にいかない部分はあるものの、好みの作品なので★4
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敬遠しないでもっと早く読んどけばよかった。
でも今だから理解できるのかも。
この夏は村上春樹かな。