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様々な年齢の時点での団塊の世代の人生を描いた小説集である。若手時代、中年時代、老年時代といった多くの時代における、象徴的なエピソードが満載である。昔に書かれたとは思えないほど、団塊の世代の未来像を言い当てており、筆者の慧眼さが光る一冊である。これから団塊の世代がクローズアップされるが、改めて団塊の世代とはなんだったのか、と考える契機になる一冊であろう。
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堺屋太一氏の日本社会の体質と経済変化を算定した予測による小説。新業態に参入する電気メーカーの失敗例、中堅自動車会社の自動車工場売却、大手銀行員の関連会社への左遷、年金医療保険の崩壊など予想のため少々現実と違いはあったがかなりの部分はその通りになったそうで、堺屋太一氏の先見性を感じられる一冊。
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「団塊の世代」という言葉の生みの親である著者。
小説としての出来がいまいち好みではないのは
彼が文学者よりも研究者肌の人物だからだと思われる。
確かに、この本の初版が出た当時によんだら
相当な衝撃を受けたであろうことは間違いないけれど、
毎日これだけ新聞やニュースで2007年問題が取り上げられている上、
団塊ジュニアの私は小さな頃からそういう話を
学校の授業でも聞かされてきたから全く新しい事実がない。
内容が古いのは著者のせいじゃないけれど、
今読んでも面白くない。
文学と違って楽しめないのは人間が描かれていない為、脳みそに刺激を受けないからだ。
団塊の世代が何なのか知らない人は
読んだら勉強にはなるのかも。
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内容(「BOOK」データベースより)
「団塊の世代」とは何か?この言葉の名付け親である堺屋太一氏は三十年前に、彼らが日本の将来に何をもたらすかを分析し、この予測小説を書いた。その予測は、今読み直すと恐ろしいほど的中している。大量定年、高齢化が問題になっている今、あらためて新版を刊行し、「団塊の世代」の過去、現在、将来を考える。
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戦後直後に産まれたベビーブーマー世代を示す「団塊」の語源となった小説の新版。もともと1976年11月!に刊行され、4話からなる物語はいずれも団塊の世代に属する登場人物が主人公で、舞台は80年代前半、80年代後半、90年代、2000年と進む。著者の開発した予測小説で精密な事実分析を基に未来を描写しており、2011年の今振り返っても当時の予測はことごとく当たっている。
1947年から49年にかけての3年間で生まれた日本人はその直前よりも20%、直後よりも26%も多く、この巨大な人口の塊が日本経済、文化の中心となって高度成長を支えてきた。成長の功労者でもあり、膨れ上がる中間管理職が引き起こしたバブルの責任者でもあると本書では指摘している。
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「僕たちはむしろ(功労者でなく)責任者だと思いますよ。あの高度経済成長時代、いやそれに続く70年代・80年代の、まだまだ日本に力があった頃を無為無策に過ごしてきたことの・・・」
働いた分だけ報われる時代は終焉を迎え、永続成長の幻想も崩れ去った。
全員に出世が保障されている時代ではもはや無い。
そりゃあ個人の価値観が多様化してニートが増えるのも無理はないだろうな。
「団塊の世代」という言葉は本著が発祥。
予測小説なのが凄い、ほとんどが的中している。
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著者:堺屋太一 は予言者なのではないか!
80ページ余りの一章を読み終わった段階でそう感じた。
これは一風変わった小説で、予測小説という形式をとっている。
SFとは何が違うか?「科学っぽい空想」ではなく、「データに基づいた予測」なのだ。
著者はある1点を除いては、見事に現在の日本の状況を言い当てている。1976年(36年前)に著された本とはとても思えなかったのはその為だ。
・終身雇用/年功序列の崩壊
・これまでのキャリアとは全く異なる仕事に従事させられ、
最後には転籍させられることになる中間管理職の悲哀
・管理職ポストが詰まることにより、部下なし管理職の爆発的増加
・恵まれているはずの大企業の中間管理職なのに、
否、それだからこそ感じてしまうような会社に対する閉塞感
・社会の「中年化」による消費トレンドの変化
・「老人」対策が政策の中心に据えられる社会
上記の全ての事柄は、バブル崩壊以降の日本企業社会の実像である。
人口ボリュームの推移を中心に研究するだけで、ここまでの予測をした
著者の才能には驚くしかない。
だが、ただひとつ予測できなかったものがある。それがデフレだ。
1976年当時は「デフレーション」という概念自体存在していなかったはずなので仕方ない。物価は上がるものという前提で書かれているため、最終章だけは現在の日本社会とはややズレたパラレルワールドが描かれている。
<引用>
”今の年金の水準は低すぎる。年とった父母、この国を築き育てるために働いてきた 先輩たちを養うのは民族として、国民の義務なんだから、苦しくても貧しいものを分け合っていくことが必要だよ。物価が上がり給与が上がるんなら、せめて同じくらいは年金を引き上げるべきだよ。”
→言うまでもなく、今の日本は正反対の状況。
物価・給与は下がるのに、政府は年金を減額しない(できない?)
しかしながら、デフレ社会が想定されていないにもかかわらず、最終章は見事に締めくくられている。
"…今の老人が功労者ですかねえ…" "僕らはむしろ(団塊の世代は)責任者だと思いますよ。 あの高度成長時代、いやそれに続く70年代・80年代の、まだ日本に活力のあった頃を無為無策に過ごしてきた事の…"
→年金や世代間格差が問題にされたのはここ7・8年ほど前のこと。
世代間の軋轢にまで想像力を働かせた著者の構想力には脱帽せざるをえない。
私はこれまで著者の本を読んだことがなかったが、この本で一気に堺屋ワールドに引き込まれてしまった。続編的位置づけ(?)の「平成三十年」を手始めに他の本も読んでいこうと思う。
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【読書その53】「団塊の世代」という言葉の生みの親である、堺屋太一氏の著書。。物語は4話で、80年代前半、80代後半、90年代中葉、2000年で、主人公は全て団塊世代。1つの世代の各年代における未来を予測した小説。1975年の夏から翌76年春にかけての1年間に書かれたものであるが、信じられないほど、将来を当てており、衝撃。
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いま読んでも全く違和感がない。これを1975年に著したというのは驚き。団塊の世代という人口の塊の加齢が、時々の経済動向に大きな影響を与えるという主張は、「デフレの正体」にも影響したか?「デフレの正体」も再読したい。
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本の存在はもちろん知っていたが読んだことはなかった。お気に入りの古本屋さんで見つけ購入100円。まさしく我らが世代、団塊の世代。35年前に書かれたという事に驚く。
35年前に読んでたら今ほどの感慨は無かっただろう。毎日が日曜日のわが身だからこそつくづく思う。「その通り!」
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新刊に寄せての部分が今読むと面白い。
TVで情報格差がなくなった時代に限られたパイを取り合う人口異常の問題として、細かい差異に対する競争が受験戦争や持ち家貯蓄を促して長時間労働やバブル経済を産む。
人口トレンドのブレ幅が大きい世代なので、自分で長く働いて他の世代に負担をかけなければ悲観することはないという論調。
そうなると、長時間労働是正や定年延長は今となっては主に団塊ジュニアに対する問題であり、体力やモチベーションがある若手にとって、残業は無くそうとか長く働こうという風潮は余計なお世話ということになる。
そんなことを感じました。
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著者、堺屋太一さん、どのような方かというと、ウィキペディアには、次のように書かれています。
堺屋 太一(さかいや たいち、1935年(昭和10年)7月13日 - 2019年(平成31年)2月8日)は、日本の元通産官僚、小説家、評論家。位階は従三位。勲等は旭日大綬章。
83歳にて亡くなられています。
私が30代の頃、それなりに著者の本を読んだものです。
今回手にした、『団塊の世代』も読んだ記憶があります。ただ、通読はしなかったと思います。
が、今回は、通読しました。
まあ、60歳になった私には、興味を持てる内容ではなくなっていますね。
例えば、「第四話 民族の秋」の主人公は、、団塊の世代で52歳。
私よりもずっと若いです。
興味が持てない内容でも、仕方がないでしょうね。
で、この本の内容は、次のとおり。(コピペです)
「団塊の世代」が日本の経済社会になにをもたらすのかを予言した名著。今後の大量定年、老齢化問題への対策を新たに加えた新装版
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マルコフ過程の手法で書かれた予測小説。堺屋太一は日本の元通産官僚で、本著はこうした未来予測に定評のある小説。どんな本なのか、読んでみたかった。ちなみに、マルコフ過程とは、マルコフ性をもつ確率過程のことをいう。 マルコフ性??マルコフ性とは、未来予測は現在の状態のみに依存し、それより過去の状態には依存しないという性質のこと。よく分からないが、何かしらの根拠に基づき、シミュレーションした物語。主に団塊の世代という年齢、時代を象徴する構成因子の就労事情について、だ。
自分には、団塊ジュニアとバブル世代の違いもよく分からないし、ゆとり世代とさとり世代だって何の事か分かっていない。しかし、肌感覚や世代間格差、更に具体的に言えば、就職や受験難易度、税率、介護人口、家族構成、社会民度によって、ある世代に傾向的に見られる特徴がある事はよく分かる。パワハラが存在していた世代と、パワハラを恐れる世代、パワハラを知らない世代では、上下関係の捉え方は異なる。
短編集というのは意外だったが、どれもリアルで面白い話。今読んでも新しい。