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紙の本
発掘されたポンペイ
2024/01/10 20:24
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投稿者:DB - この投稿者のレビュー一覧を見る
ポンペイを訪れたのは2002年の5月、だいぶたっているので記憶もあやふやになっているが、大きく滑らかな石畳の大通りに整然と並んだ町並みと、背後にそびえるヴェスヴィオ火山が印象に残っている。
火山灰に包まれて二千年前の町がそのまま残っているため一夜にして滅びその当時の生活がそのまま残る町として有名ですが、実際は二万人ほどの人口の地方小都市だった。
もちろん二万人すべてが町と運命を共にしたわけではなく、逃げ遅れた二千人ほどが被災したのだけど火山灰に石膏を流すことで彫刻のように顔の表情までわかるほどの人型を見ると感慨深い。
本書では発掘により出てきた遺跡と当時のポンペイについて、二十年以上ポンペイを研究していたボルドー大学の教授が紹介しています。
西暦79年にヴェスヴィオ火山が噴火してポンペイを含むカンパニア地方に被害が出たのは史実として記録が残っている。
叔父である大プリニウスがこの噴火により亡くなった詳細について、歴史家タキトゥスに小プリニウスが手紙で書き送った文章も残っていた。
大プリニウスは被災した友人から救援を求める伝言を受け取って、船でポンペイへ向かいそこで窒息死したそうだ。
ポンペイは火山の噴火の17年前に大きな地震で被害を受けており、その復興の途中でもあったそうです。
もちろん修復技術の成果でもあるのだろうけど、町並みだけでなく色鮮やかな壁画が残されている写真を見ると、ポンペイの町が賑わっていた当時の様子がうかがえる。
フレスコ画から落書きまで町は様々な色で埋め尽くされていたのだろう。
神殿や彫像からは、ポンペイの人々の宗教観が見えてきます。
一番信仰されていたのはブドウの生産を司るヘラクルス、バッコス、ウェヌスの三神で、そこに外来のイシス女神やローマ帝国の支配下にあることを象徴するユピテル、ユノー、ミネルヴァの神殿、秘教であるデュオニュソス信仰と様々な神を信仰していたのがわかる。
中でもデュオニュソス信仰のための秘儀荘と、そこに遺されている赤い壁画は印象的だ。
もともとは黄色く塗っていたものが火山ガスの影響で赤くなったらしいけれど、「ポンペイ・レッド」と呼ばれる赤い背景に浮かび上がる神々の前でポンペイの人たちはどのような祭礼をしていたのだろうか。
ポンペイが再発見されたのは18世紀になってからで、ナポリ王国を支配下に置いたハプスブルク家の支配者たちや、ナポリをその後支配したナポレオン一族の人もポンペイ発掘に夢中になったそうだ。
ポンペイ発掘の経緯も含めて様々な角度からポンペイを掘り起こした本だった。