紙の本
人間の弱さと悪
2022/04/23 22:03
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投稿者:hachiroeto - この投稿者のレビュー一覧を見る
魔女の予言に振り回され、妻の煽りに乗せられて主君を殺したマクベスの破滅を描く傑作悲劇。その悪は人間としての弱さから来ているだけに、決して他人事ではない。
紙の本
訳の重み。
2018/10/16 17:18
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投稿者:うりゃ。 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小田島雄志氏訳は既読だったので、「あれ、こんな話だったっけな?」と思うような箇所あり、「ああ、こうだった」と思い出す内容あり。
「メタルマクベス」の舞台を見たあとクドカンワールドから抜け出すために手に取った。でも、セリフが、セリフが……!
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魔女の誘惑を「予言」と捉えてしまい(捕らわれてしまい?)、殺人と謀略を繰り返すマクベスとマクベス夫人。そして魔女の予言のままに今度は殺される側に回るマクベス。醜い欲望を描いた秀逸作。
また訳者あと書きの考察も素晴らしく、それだけでも読み応えがある。
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初レビューです。
シェイクスピアを好きになるきっかけの一冊でした。人の愚かさ、欲の深さ、曖昧さ、とゆうものをまざまざと見せつけてくれます。それでいて、作中の比喩が大変美しい。マクベス、そしてマクベス夫人が狂気してゆく姿は、悪魔の様で人間以上に人間らしい。素晴らしい作品です。
初めて鑑賞した演劇も、蜷川幸雄さん演出のこのマクベスでした。
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大嫌いなシェイクスピア悲劇を読み返そう第一弾!
これは元々ムカツクという登場人物がいるわけではない作品だったのだが、救いようがないって感じで嫌いだった。
誰が悪いっていえば、三人の魔女なんだろうけど、言葉に出されることで運命を翻弄されるというところがやはり恐々としていて、救いようがない。
悪いヤツじゃぁないのよ、マクベスもマクベス夫人も。なので本当にこれは悲劇だねぇ。
この夏、劇団☆新感線がロック・ミュージカルで舞台化。
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9/12-13
衝動的に買って読み始めたらめっちゃ面白かった。ハムレットのときと同じように、深読みし放題wしかし、学の浅い私でも分かる登場人物の心の動きや、いるだけで魅力的な魔女だけでも、十分。
松岡和子さんの訳も素敵だ。そして訳者あとがきも面白い。ひとつの言葉に複数の意味がこめられているのをどう訳すか、さりげない主語の人称をどう訳すか。深い。
原語で読めるなら読みたいところだけど、無理だから、その奥深さを感じたいところ。
これもハムレットの研究書のあとに、何かしらの「深読み本」を読んでみたい。
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短く編集したものを課題でやったことがあって、あとはアレンジされた舞台を見たことがあるくらい。
初めて読みました。
マクベスを殺したのがマルカムでないこと、ダンカンに息子は複数いたんだと初めて知りました。
恐ろしい…!
シェイクスピアが、読めるようになりました。長い台詞も、なんとなく意味が取れる。
舞台を経験したおかげです。
2回目だったけど、以前はきちんと向き合っていなかったことが明らかになりました…。
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シェイクスピア購読の授業で用いたもの。意訳がなされているので、英文学習上ではこれがいいと思う(ちゃんと研究してます←
でもテキスト読まずに試験に臨んだので、勿体無かった。
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シェイクスピア4大悲劇の一つ。
魔女3人の予言が、マクベスの人生に大きな影響を与える。
テンポが良く短いので読みやすい。
序盤のマクベス夫人の豪快さが目につく。
この時代は衣服の表現によって王位をあらわす。
この時代の劇は、ジェームズ1世も大好きでパトロンとなっていた。
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読みかけで積んどいたのを再読した。どろどろした権力争奪の話だ。マクベスは魔女たちの予言を信じてダンカン王を殺害する。ためらう夫をマクベス夫人がそそのかす所が、「猛女」という感じだ。その後、マクベスはバンクォーを殺し、マグダフの妻子を殺させ、途中で降りられない権力の道を突き進んでいく。だが、簒奪をそそのかしたマクベス夫人はマクベスの良心を代替するかのように、罪悪感から夢遊病になり狂死する。この両者は互いに補いあうような関係だ。マグダフがイングランドに逃げた王子マルカム、将軍シーワードとともに、マクベスを伐つところは、物のあわれがある。「バーナム森が動くまでは安全」「女の腹から生まれた者には殺されない」といったマクベスに味方するかのような予言に、つぎつぎと裏切られ、運命に抗いながら、摂理に屈して、殺されてゆくのである。破滅のせまる陣中に届いた妻の訃報に「何も今、死ななくてもいいものを」という返す言葉は寂寥そのものである。松岡訳の特徴である「朝が来なければ夜は永久につづくからな」(既訳は「朝のこない夜はない」)というセリフ、weの訳し方などの、解説に示された蘊蓄もよい。マグダフの子供が死ぬ前に「嘘つきはバカだ。嘘つきの方が数が多いから(少数の)正義の人をやっつければいい」という意味の言葉はなかな機知が効いていて面白い。「眠りを殺す」のセリフも印象的だし、時計の記述も興味深い。16世紀の時計ってどんな時計なんだろう。この戯曲を貫いている魔術とか運命とか精神疾患によって、自己が自己でなくなっていく感じなかなか現代的で、精神疾患的だ。
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きれいはきたない、きたないはきれい。
それだけは知っていたけど、こういうお話だったのか。
(この約では「きれいはきたない、きたないはきれい」ではなかったのも驚きw)
注釈と訳者あとがきだけでも楽しめるけど、やはり戯曲単体を読んで「面白い」とは感じないかも。
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反乱を鎮圧し王の下に向かう途中3人の魔女に出会ったマクベス、バンクフォー。自分が王になる予言に心を惑わされるマクベス。自らの館にやってきたスコットランド王ダンカンを殺害するようにマクベスをそそのかす夫人。見張りに罪を着せダンカンを殺害するマクベス。逃亡した王子達。王に即位したマクベス。予言を恐れバンクフォーと息子フリーアンスを殺害しようとするマクベス。逃亡したフリーアンス。再び3人の魔女に会い予言を受けるマクベス。「女の腹から生まれた男にマクベスは殺せない」「バーナムの森がダイネシンに向かってくるまではマクベスは破れない」予言の結末。
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「あるキング」を読んだのがきっかけで久々に再読。注釈部分が面白すぎて(勉強になったけど)、本編に集中できず。
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2015/4/18読了。
初めて読んだシェイクスピアが光文社の『マクベス』だったため、個人的に思い入れがある作品である。英語で読もうと考えているので、まずはいろんな人の翻訳を読んでみようと購入。
光文社のと比べて、特別読みやすい、読み難いということもなく、翻訳にも差はなかったと感じた。きっと原著を読んでもそれほど解釈に差が出ないのかなと感じた。
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シェイクスピア4大悲劇の1つ。
スコットランドの将軍、マクベスは、やはり将軍であるバンクォーと荒地を歩いていて、3人の魔女に出会う。不気味な魔女たちはは、マクベスに口々に万歳を叫び、彼が王になると予言する。バンクォーには、将来、彼の子孫が王になると告げる。そして問いただそうとした2人の前から空気に溶けるように消えてしまう("vanished into thin air")。
奇怪に思いつつ、汚い手を使うほどの野心は持たないマクベスだったが、予言のことを夫から聞いたマクベス夫人は、現王ダンカンを暗殺するよう、マクベスをけしかける。一度はやると決めつつも逡巡するマクベスに、夫人は激しい言葉で決心を促す。
自分を臆病者と思い決めて生きるつもり?
「やってやる」の口の下から「とても無理だ」、
魚は食べたいが、足は濡らしたくないという猫そっくり。
そしてこんな喩えまで。
私はお乳を飲ませて子供を育てた。
だから、この乳を吸う赤ん坊がどんなに可愛いかよく知っています。
それでも、私の顔に微笑みかけてくるその子の
柔らかい歯茎から乳首をもぎ取り
子供の脳味噌を叩き出してみせます。さっきのあなたのように
一旦やると誓ったなら。
夫人に押されるように、マクベスは悪事に手を染めていく。
ひとたび心を決めて足を踏み出してしまえば、もう引き返すことはできない。
一方で、勇ましい言葉で夫を鼓舞した夫人は次第に心を病んでいく。洗っても洗っても、手についた血の染みは落ちない。どんなに香料をふりかけても血の匂いは消えない。
あの激しい言葉を使った夫人がそんなにも弱いのかと少々意外な感じもする。だが、夫人はダンカン王を殺害した短剣に実際に触れている。口ではおどろおどろしいことを言っても、実際に目にした「血」は、思った以上に衝撃的だったということかもしれない。
夫人に唆されてしぶしぶしたがっていたようだったマクベスは、夫人と入れ替わりのように非情さを増し、次々に邪魔者を排していく。もちろん、子孫が王位に就くとされたバンクォーも。
さて、このままマクベスの天下となるのか。彼の前にもう一度魔女たちが現れ、またしても不思議な予言をする。「女から生まれたものはマクベスを殺せない」「森が動かなければマクベスは負けない」。およそありえないことであり、マクベスの世は安泰であるようにも思われたのだが・・・。
いくつも邦訳があるが、今回はちくま文庫・松岡和子版を。
解説の指摘で興味深いのは、マクベスと夫人が、しばしば「we」という一人称を使っていること。2人は一心同体、運命共同体なのだ。
まるで1人の人物が内心の葛藤と闘うように、ときには「悪」が「善」を抑え、ときには「光」が「闇」に抗う。表の顔と裏の顔。マクベスと夫人も役割を入れ替えながら、結局のところ破滅へと突き進んでいく。
陰鬱で救いがない話だが、いくつかの名台詞とともに、どこか心をとらえる魅力のある作品である。あるいはこの陰惨な闇自体が、戯曲「マクベス」の魅力か。
*このお話は、11世紀のスコットランドの実在の人物をモデルにしており、マクベス、バンクォー、ダンカン王はいずれもモデルとなった人物がいます。暗殺されたダンカン王の息子マルカムがマクベスを誅して王位につくところまでは劇中で描かれます。
あれ?バンクォーの方の予言は?と思うわけですが、史実としては、バンクォー自身はあっけなく殺されてしまうものの、息子は生き延び、ずっと先の子孫がマルカムの子孫と結婚して、王家に入ります。予言は成就するわけですね(というか、シェイクスピアはマクベスの時代より後の人なので実際にあうように予言させた、というところですか)。