紙の本
ミステリーとしてばかりでなく、家族を考える人に読んでほしい傑作
2002/07/10 11:12
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投稿者:kazoku - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリー作家の主人公は大学院生の息子と二人暮しの若い母親。
彼女のもとに、ひょんなことから「我が家の蒸発した息子を探してください」という依頼がとびこむ。
主人公はあまり乗り気ではなかったが、息子のほうがさっさと引き受けてしまい、ふたりで調査にのりだす。
ここまでは一見、ありきたりの巻きこまれ型のミステリーのようだが、ここからが作者の本領発揮となる。
この事件の調査を通して、主人公たちの母子関係の根底を見つめなおすことになり、その過程こそが読みどころなのだ。
最後はめでたしめでたしのハッピーエンドではない。けれども、それぞれが憑き物が落ちたように過去の亡霊を払い、未来に向けて動き出す準備ができたところで終わっている。
この作品にふれることで、作者のほかの作品にも眼を向けてみたくなること、間違いなしの傑作だと思う。
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2008/4/26 メトロ書店御影クラッセ店にて購入
2009/3/1〜3/3
矢口作品はアメリカにいるときに日本から友人が持ってきてくれた「償い」を読んでいるが、本作が2作目。矢口さんにとってもこの作品がデビュー2作目である。
女性推理作家がある失踪した少年の調査を依頼される。本人は乗り気でなかったが、その場に居合わせた息子が依頼を引き受けてしまう。二人で調査をする途中、自分達の親子関係にも目を向けさせられてしまう二人。果たして少年は見つかるのか?親子の絆は?
「償い」同様、矢口作品に流れる家族関係の難しさがデビュー2作目ですでに垣間見える。ただ残念なのは、途中までの魅力的な展開が最後少ししりすぼみになってしまっていること。このあたりはまだデビューして間もない頃の作品ということで大目に見ないといけないのか。
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作家の私を霊能者だと思い息子探しを依頼してきた母親。
息子 勇起と共に明を探す。
石川夫妻は事故なのか・?
家族。1つ屋根の下にいても他人なのか・・・・・?
でも、愛してる!
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うーーーん。これもちょっとな。
ミステリー作家の母と息子が、行方不明になった男の子を捜す話。
この親子も関係が曖昧で、母がアルコールにおぼれる夫を息子が2歳の時に殺そうとしてて、そのまま行方不明だから死亡届出しちゃっててそれをなかなか息子に言えなくって・・でも、息子は夫は死んでないこと知ってた。そういう触っちゃいけないようなそういう関係。
行方不明になった男の子は受験に失敗して、塾講師を慕い、岩手で農業を試みるんだけど、性同一性障害?てかホモみたいで・・
なんか結局誰によってその塾講師夫妻を殺したか、それとも事故なのかもわかんないし、パッとしない話でした。
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霊能者と誤解され,失踪調査を依頼された推理作家の女性。
院生の息子に引きずられるように,慣れない探偵活動に着手する。
失踪した少年の心の軌跡を追う中で,
息子との関係を見つめ直す。
失踪する少年の姿を通して,家族の意味を問う心理ミステリー。
あらすじを見て興味を持ったので読んでみたが,
美少年を登場させ,同性愛を絡めるなど少女漫画のような展開で,
家族の描写も母と息子の葛藤を描いただけの稚拙なものである。
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意外な展開が待っていて、面白かった。が、どうにも気が乗らないというか、座りが悪いというか…
巻末の解説を読んで、その理由のひとつが「息子を男として意識している母」に対する嫌悪感だったのではないかと。この作者は知らなかったが、もう数冊読んでみようと思う。
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まるで期待せずに読んだのですが、意外にも面白かったですね。丁寧な人物描写も好感が持てるし、伏線の張り方もなかなかのもの。話しの展開には強引さがあるけど、それさえ目をつぶれば、次第に見えてくるストーリーに引きこまれる。探し求める人物が遠ざかったり近づいたりしながら、次第に陽炎の向こうに行ってしまうような感覚が気に入りました。他の作品も読みたいがまずは何から読もうか。
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物語の行方が気になり、一息に読んだ。
単なるミステリーではなく現実世界でどこにもあるような人々の身近な苦悩や問題にも深く繋がっている。
今回のメインテーマは「家族」であるが、主人である母親の視点で語られているので読み手の親の経験の有無により、
感じ方が大分違うのではないだろうか。
随所に出てくる彼女独特の表現は魅力的であり、淡々とした文章の中にも彼女の堅固な思いが感じられる。
前回読んだ「償い」は、読み終わって時間が経過したころ、じわじわとメッセージが伝わってきた。
自分の経験や環境に照らし合わせることのできるテーマなだけに、
読み手によって受け取り方はだいぶ変わると思う。
例えていうなら、彼女の作品は一本の木であり、
その幹は私達読み手に向かって伸びているといった感じだ。
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この間まで、田口ランディの本を立て続けに読んでたから、余計に読みやすかった。
まぁ、でもこの本も結構不思議な話ではある。。
途中、メイの日記のあたりで中だるみしたけど、後半は一気に読めた。
最後は、なんだかムリヤリって感じがいなめないが。。
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主人公がサバサバした雰囲気なので、軽いノリで読んでいくと、ところどころに不穏な空気が漂って、それに引き込まれてしまう。時々ムリな展開だなあと思ったが、総じて面白かったです。
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推理作家の「私」は、ある少年の失踪捜査をその母親から頼まれる。なぜか積極的な息子と共にその真相を探り始めるが…あまりにも突飛な展開についていけず。
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家族の行方
ミステリ作家の主人公は、ある日知り合いの友人から息子を捜してほしいとの依頼を受ける。息子の勇起と一緒に彼の周辺をさぐるが、思わぬところで事件に遭遇することに。息子の行動に不審を抱いた主人公は、自分の過去と対峙する。
結局真相はなんだったのか? わからずじまいでごまかされたような気分になりましたが、そんなことはあまり重要ではないのでしょう。作者の意図としては、
行方不明の息子を抱えて散り散りになった家族、母子家庭、田舎で気ままに暮らす男やもめなど、
いろんな家庭の人間模様を対比させることで、そのかけがえのなさを表現したかったのだと思います。
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あらすじで紹介された「失踪した少年の行方」が、いつの間にか「主人公の親子関係」にポイントが置かれ、需要と供給の合わないお話になってしまいました。「少年の手記」などのガジェットが真相に生かされず、ミステリーとしては中途半端な出来だと思います。
ただ、家族というテーマを色んな視点で捉えて答えを示しているので、小説としては真っ当かなと思います。
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いつも思うけれど、矢口さんの小説はタイトルが上手い。
読み終えてから、タイトルが色んな場面や心情にかかっているんだなとわかる。
この作品は「色々な偶然が重なった」という点に少し甘えている感というか、話の作り込みの甘さを感じなくもなかったが、往々にして楽しく読めたし出来の良い作品だったと思う。(←なんか偉そうになってしまった。)
ラストのじんわりくる幸福感はとても好きだった。(石川夫婦は可哀想だけど…)
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衝撃の連続。行方の分からない明、明と同居していたと思われる夫婦、明の両親、推理作家の私と息子・勇起、勇起の父親。家族だから面倒くさい、そして面倒くさいがいいのかもしれない。