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商品説明
アメリカ美術業界の変化を促す一つの要因であるチカーノ・アート。21世紀に入っても機能し続けるチカーノ・アートについて、チカーノというマイノリティ集団の存在の歴史を絡めつつ、その発生から現在までの流れをまとめる。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
加藤 薫
- 略歴
- 〈加藤薫〉1949年神奈川県生まれ。ウニベルシダ・デ・ラス・アメリカス大学大学院修了。中南米・カリブ圏・ラティーノ美術史研究者。神奈川大学教授。著書に「メキシコ美術紀行」など。
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紙の本
メキシコ系アメリカ人の豊かで混沌とした美術の世界
2002/06/26 18:15
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投稿者:海野弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アメリカ合衆国におけるラテン・アメリカからの移民は今やアフリカ・アメリカンに追いついたという。そしてラテン・アメリカンの半分はメキシコ系であり、彼らは〈チカーノ〉と呼ばれている。そしてチカーノ・アートはアメリカの現代美術において無視できない地位を獲得しているという。
この本は、多様なチカーノ・アートについての、日本でははじめてのまとまった研究書である。私も『カリフォルニア・オデッセイ』(全六巻 グリーンアロー出版社)を書きながら、そこにあふれるチカーノ・アートが気になっていたので、この本はとても参考になる。
メキシコの現代美術といえば、オロスコ、リベラ、シケイロスなどの〈メキシコ・ルネサンス〉といわれる壁画運動が知られているが、その後どうなっているかあまり紹介されてこなかった。
私は最近、北川民次という画家に興味を持っている。アメリカに渡り、一九二〇年代から三〇年代にメキシコの野外美術学校で子どもたちに絵を教えていた。『絵を描く子供たち』(岩波新書 一九五二)はかなり評判になったがその後忘れられた。メキシコのモダン・アートの紹介者たちも、リベラやフリーダ・カーロには触れるが、北川を無視している。
しかしこのところメキシコでの実験的な美術教育であった野外美術学校運動は再評価されつつある。
おそらく、一九二、三〇年代のそれらの試みは今のチカーノ・アートにつながっている。そんなことを考えながらこの本を読んだ。チカーノ・アートはあまりに多様で混沌としているのでいまだ見取図をひくことができない。この本はまず、できるだけ多面的にチカーノ・アートを紹介することにつとめている。その魅力と可能性を理解するための第一歩となる労作である。 (bk1ブックナビゲーター:海野弘/評論家 2002.06.27)