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  • カテゴリ:一般
  • 発行年月:2006.3
  • 出版社: 草思社
  • サイズ:20cm/382p
  • 利用対象:一般
  • ISBN:4-7942-1478-2

紙の本

眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く

著者 アンドリュー・パーカー (著),渡辺 政隆 (訳),今西 康子 (訳)

5億年前、生物たちは突如、一斉に、奇妙キテレツな形へと進化した。この爆発的進化はなぜ始まったのか? その謎を解くカギ「光スイッチ」とは−。あらゆる分野を縦横無尽に精査し、...

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眼の誕生 カンブリア紀大進化の謎を解く

税込 2,420 22pt

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商品説明

5億年前、生物たちは突如、一斉に、奇妙キテレツな形へと進化した。この爆発的進化はなぜ始まったのか? その謎を解くカギ「光スイッチ」とは−。あらゆる分野を縦横無尽に精査し、画期的アプローチで挑む。【「TRC MARC」の商品解説】

著者紹介

アンドリュー・パーカー

略歴
〈アンドリュー・パーカー〉1967年英国生まれ。オーストラリア博物館研究員、オクスフォード大学動物学科の研究リーダーなどを経て、英国自然史博物館動物学研究部研究リーダー。

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みんなのレビュー72件

みんなの評価4.2

評価内訳

紙の本

光と進化

2010/01/26 20:34

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:king - この投稿者のレビュー一覧を見る

これはかなりの名著だと言って良いと思う。グールド、コンウェイ・モリスらのカンブリア紀ものの本を読んだことのある人は必読だといえる。そうでなくとも、カンブリア紀の進化についてのアップデートされた知識が詰まっている。

本書はカンブリア紀の爆発的進化についての最新の学説、「光スイッチ」説をその提唱者自らが解説した啓蒙書。その新説の肝はタイトル通り「眼」にあり、眼の誕生がカンブリア紀の爆発的進化を促した、という非常にシンプルなものなのだけれど、これを納得させるために、著者は自然界の生態系において、いかに視覚が重要なものなのかを様々な事例を用いて説明している。

その前に、この本を読んでバージェス動物群ものの議論で不思議だったことがひとつ解決したのが面白かった。奇怪な生物を新しい「動物門」に分類すべきかどうかが大きな論点として存在していて、グールドはカンブリア紀の爆発を生命の多様性の爆発的増加として考え、新しい動物門を主張したりしていたけれども、生物学を学んだことのない私には、ではこの「門」というのは何なのかよくわからなかった。

本書では、門とは内部体制(ボディ・プラン)の差であると述べられている。体内の設計は、突然変異などで部品の設計が変わると生命活動に支障がでてしまうので、ある門のなかでその体内設計は基本的に維持される。けれども外部体制はそこまで厳密ではなく、たとえば角が長かったり短かったりする程度であれば、それだけで生存不能なエラーとはならず、その変異が生存の上で有利であれば子孫に受け継がれることもあるだろう。だから、同じ門とは思えない外形をしている動物も多数存在し、同じような生存環境で同じような生活をしている似た形の生物が、違う門に属している、ということもあり得る。

門の分類はそうした内部体制の差異を基にしていて、外部体制に比べ変異しにくい。そしてカンブリア紀の爆発とは著者の定義によると、それぞれの動物門がいっせいに硬い殻を獲得した出来事だという。だからこそ化石に残りやすくなり、一斉に世界でその時代の地層から化石が発見されるようになる。また、内部体制自体はカンブリア紀以前、一億から五億年まえまでにできあがっており、カンブリア紀に新しく多数の門が生まれたわけではない、と著者は強調する(ここら辺はグールドに対するコンウェイ・モリスの批判と共通)。あくまでカンブリア紀の爆発とは、外部体制の爆発的な多様化であるというのが本書の基本的な前提だ。

さて、本題。嗅覚、聴覚などの感覚は対象が何らかの動きや匂いを発しなければ感知することができない。じっと動かずにいれば、ごく近くにいても相手に感づかれないということがありうる。コウモリなどの動物は音波を発してその反射で感知することができるが、それは自分で音を発するという行動を必要とする。対して視覚では、光がある限りその存在は遠くからでも明確に把握できる。音波などの特殊な装置を使わなくとも、光が降り注ぐ地上においては対象を認知することができる。これは捕食行動において非常に重要な情報となる。そのため、動物においてはその視覚を攪乱させる、体色、体型のカモフラージュが非常に進化している。

逆に海底や洞窟など光量が著しく少ない場所では、進化のスピードがきわめて遅くなる。海底の相互に断絶した場所にいる生物同士が、数億年単位の時間を経ても、ほぼ変わらぬ姿で発見される。オオグソクムシという生物は、一億年を経てもほとんど進化しなかった。また、洞窟では奥に進むに従って体色が退化していく様子が観察できる。そして、体色の退化の度合いにかかわらず、洞窟種ではすべて眼が存在しない。「眼は非常に高く付く」道具なので、必要がなくなれば即座に退化してしまうのだという。

その他構造色(色素による色ではなく、微細な構造によって色づいているように見える。CDの盤面がそう。なので、化石からでも構造色が判別できる)にかんする議論など、光と視覚にかんする生態学的、進化論的議論を踏まえ、著者はいよいよ自説を展開する。まあ、ここまで読んでくれば、著者の説は半ば理解したも同然、という構成になっている。

眼は、カンブリア紀に三葉虫が獲得したものが最初のものだという。光を感知するだけではない、像を結ぶ視覚を獲得したのは三葉虫がはじめてらしい。そして、史上最初の活発な捕食者もまた三葉虫であったという。五億四三〇〇万年前に、地史的には一瞬にして眼が誕生した。ある試算によれば、光を感知する眼点から眼に進化するためには、控えめに見て五十万年あれば充分なのだという。

カンブリア紀になり視覚を持った三葉虫が出現し、それをきっかけに生物の生態に激変が起こった。視覚による捕食行動が活発化した結果、生物は皆それに対する適応をしなければ生き残れなくなった。それが外骨格の形成を促し、視覚に適応することを促した。光が強力な「淘汰圧」として新たに進化のメカニズムに組み込まれた。洞窟の例を見ても分かるとおり、光がないと進化は遅滞する。先カンブリア紀においては、光が降り注いでいても視覚を持つものがいなかったために進化が進む速度は緩かったけれども、一度視覚を持つ動物が出現してしまうと、新たなニッチ(生態学的地位)が出現し、それを埋めるべく大規模な進化が起こった。爆発を経てそうしたニッチが埋められると、進化は通常のスピードに戻る。それ以降、基本的な生態の仕組みは変わらない。陸に上がるという事件も視覚の獲得に比べれば小さい事件なのだという。

これが「光スイッチ説」なのだけれど、新聞で報道するときに「これは本当に新説なのか?」(こんな分かり切った話が新説か?)という疑問を出させるほど、当たり前の話に思える。先カンブリア紀とカンブリア紀での生物との眼があるかないかの違いに注目した人がいなかったのだろうか。むしろそれが不思議なほど自然な説得力のある説だ。

で、著者も最後にこれだけは返答に困窮した質問として、ではなぜカンブリア紀に眼が進化したのか、という疑問について考察している。数十億年間光がずっと降り注いでいたのなら、眼が誕生したのはなぜ五億四三〇〇万年前なのか。これにはまだ決定的な答えは出ていないようだが、たいそう興味深い謎だ。

いや、ほんとにこの本は面白い。新説だけでも面白いが、新説を説得力あるものにするために解説される光と生態、進化についての記述がとにかく面白い。貝虫に回折格子を発見したときの経緯だとか、著者の体験した調査のくだりなど、予測と、それを裏切る新事実の発見だとかのストーリーは非常に面白い。カンブリア紀の爆発についてだけではなく、光と進化というテーマが一貫しているので、そうした側面からも楽しめる本だ。

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紙の本

カンブリア紀の爆発的な生物進化の謎を解け!

2006/04/07 00:13

9人中、9人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る

 5億4300万年前、生物は突如として複雑な形態に進化を遂げた。いわゆるカンブリア爆発である。それまで最も複雑化した生物であってもせいぜいミミズの親戚みたいなレベルだったのが、三葉虫やオウムガイ、アノマロカリスやオパビニアといった装甲を纏い、複雑な構造をとるようになる。
 カンブリア爆発の原因は謎だった。今では否定されているが、当初は進化して装甲を纏った1種類の生物が多くの種に分化したという説もあったが、それは否定されている。地質学的には一瞬といっていいほどの短期間に、一種や二種ではなく多細胞生物のほとんど全てが同じような進化をしたのである。
 その答えを出すまでに、迂遠とも言えるほど多くの話題をたどりながら、一つの結論にたどり着く。タイトルを見れば分かるとおり、目の誕生こそがカンブリア爆発を起こしたというのだ。
 結論だけ書いてしまえば、そんな単純なことが答えとは思えない。だからこそ、多くの話題をたどる必要があるのだ。その結果、眼の構造から色の見える理由といった物理的な点、そこから導かれる動物の色彩戦略といった話題から、海底の有機物分解者たちのような、文字通りにも比喩的にも光の当たらないところに生息する生物の生態まで本当に幅広くてどれも興味深い話が目白押しとなる。
 魚の腹が銀色に見える理由だって、これまで見慣れてきたから当然でもそこには深い理由がある。そんな話題が一見わき道にそれているようでいながら終章で一気に一つの結論に向かって収束する様は見事である。
 もう一つの本書の魅力は、カンブリア紀の奇妙な生物についての多くの図版があることである。彼らの色彩は永遠に失われて久しいが、本書を読むことで実情に近いカラフルな彼らを想像できるような気になれるのが嬉しい。古生物ファンは必見だろう。

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紙の本

膨大な証拠集め、科学読み物の宝庫。

2006/05/11 23:48

6人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:たむ - この投稿者のレビュー一覧を見る

 〈カンブリア紀の爆発〉のことはあまり知らなかった。本書でも指摘されている様な誤解をして、多くの生物が一気に進化した程度に思っていた。これは間違いとは言わないが正確でもないらしい。生物の分類は見た目ではなく内部構造(体制)によって決まる。カンブリア紀までの間に、三八の動物門の祖先は既に出揃っていた。つまり体制はカンブリア紀以前に“ゆるやか”に進化していた。だけど外部形態は似たり寄ったりだった。ところが、5億4300万年前に全ての動物門が硬い殻を獲得し、様々な複雑な形状へ変化するということが「またたくま」に起こった。これが〈カンブリア紀の爆発〉なのだという。

 なぜ〈カンブリア紀の爆発〉は起こったのか? 謎を解くために、著者はまず化石から何がわかるのか、を丁寧に説く。必然的に、化石からはわからないことも導き出される。それが色だ。そして色が存在するためには光が必要だ。ここで著者は、光がどれだけ進化を促す圧力となっているのかを、現存する動物を例に明らかにしてゆく。そして、光を——色を——見るためには、眼が必要なのである。
 本書を読まずとも題名からわかる通り、結論は「眼の誕生」だ。著者自身も述べている様に、言われてみれば「わかりきった話」「あたりまえの答」である。だけどあたりまえのことを「あたりまえ」で済ませられないのが科学である。あたりまえであることを証明しなければならない。それを素人にもわかりやすく、順を追って綿密かつ具体的に例証してゆく過程は圧巻だ。例え〈カンブリア紀の爆発〉の謎を追うという大きな目標がなかったとしても、一つ一つが魅力的な科学的エピソードにあふれている。

 例えば『ジュラシック・パーク』で有名な、琥珀に封じ込められた蚊の血液からDNAを採取して恐竜を蘇らせる方法。残念ながらこれは不可能であるらしい。

 あるいは——動植物の保護色や擬態についてはよく知られている。銀白色の樹皮にとまっていると隠蔽効果が発揮される灰白色のガが、工場からの煤煙で黒ずんだ樹木に適応して黒くなったというのは、何とも凄い例だ。

 ところが自然界には、そんな特定の目的のためではない体色変化もある。なぜサメは黒いのか? 答えは実に意外で、あっけないほど単純なのだがそれだけに虚を突かれた。

 虚を突かれたといえば深海動物の色だ。水深が二百メートルを超えると赤色の動物が増える。なぜか。何だか詭弁のような話だがなるほどと感心する。

 ほかにも、わたしにとっては新鮮で驚きに満ちたエピソードばかりだった。

 全て知ってる物知りな方でも、図版の説明文等から窺える著者の人柄には、にんまりできるのではないだろうか。ニュートン自筆スケッチに付された説明文には、「残念ながらニュートンにはレオナルドのような芸術的才能には恵まれていなかった」とある。確かに下手な絵だ。幼稚園児並みだと思う。だけどそもそもその図版が本文に絶対不可欠だとは思えないものだから、ちょっと息抜きといおうか読者をできる限り楽しませようという著者の心意気が伝わってきて微笑ましい。衝撃的なオオトカゲのカラー図版も、著者の説明にかかると衝撃よりも愚か者度が強くなる。

 オオグソクムシの頭部を『スター・ウォーズ』の帝国軍兵士のヘルメットに喩えたり(そっくり!)、エンゼルフィッシュの攻撃を同じく『スター・ウォーズ』の戦闘に喩えたりと、随所に一般向けを意識してくれている。訳者が選んだ「ぼく」という一人称も、そんな内容にぴったりだった。

 無論、只の面白エピソードが軽妙に語られているだけではなく、各々のエピソードが最後には収まるところにぴたりと収まる。長い長い証拠固めにつきあってきたからこそ、最後に明かされる(というか明かされ直す)答えを「あたりまえ」だと心から思えた。

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紙の本

光あれ

2015/10/24 23:32

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:okadata - この投稿者のレビュー一覧を見る

進化の歴史を辿ると5億4400万年前には動物の門は3つしかなかった。その後わずか4〜5000万年ほどで外骨格を持つ動物が門を越えて多数現れた。この本ではほぼ現在の38の門が全てこの時期に出そろったと言う説をとっている。これがカンブリア爆発だ。カンブリア爆発が起きた原因については例えばスノーボールアース説などさまざまな説が存在するが残念ながら全て有力な反証があり説明できていない。この本では眼の誕生が進化を促したという説を唱えている。

5億4300万年前の三葉虫の化石から彼らは誕生とほぼ同時に複眼を備えていたことがわかっているがその100万年には眼はできていなかった。ダーウィンが「比類のないしくみをあれほどたくさんそなえている眼が、自然淘汰によって形成されたと考えるのは、正直なところ、あまりに無理があるように思われる」と書いたカメラ眼の誕生にはどれほどの世代が必要なのか。出発点である皮膚の斑点=原始的な光受容器からカメラ眼に達するまで1世代当たりの変化率を0.005%と控えめに設定すると魚類のカメラ眼に進化するまで40万世代もかかっていない。1世代1年だと50万年足らずで眼が誕生するのだ。網膜のタンパク質はより原始的な眼点や他の感覚受容器に共通しており、神経も他の感覚のものを流用できる。三葉虫以前の捕食者、クラゲやイソギンチャクは偶々獲物が通りかかるのを待つだけであったが、三葉虫は眼の発明によって獲物を探すことが出来るようになった。補食による淘汰圧がいきなり高くなるとそれぞれのニッチでの適応が始まる。能動的な捕食者がボディプランや外形の変化を促したわけだ。

多くの動物だけでなく植物も擬態をしたり、色やダンスでパートナーを誘ったり、光ったり、花粉を運んでもらうために鮮やかな花を咲かせたりしている。特定の形状や色が子孫を残すために有利になるような圧力が働いた結果であるが眼が誕生してしまえば視覚が最も汎用的な情報であり光ほど影響力の強い刺激はない。また一般に栄養豊富な環境下では生物量は増えるが多様性は減る。栄養豊富な北極海の氷の下では膨大な量のプランクトンがクジラを育てたりしているが色彩は貧栄養な環境のサンゴ礁の方がカラフルなのはニッチな環境に淘汰圧がかかると変化が促されるからだ。逆に光が届かない洞窟の奥では眼が退化したり、体色がなくなったりするのはそこにエネルギーを使うのが無駄だからだ。例えば深海にすむオオグソクムシは1億6千万年の間ほとんど進化してこなかった。環境の変化が小さく色の変化のない深海では淘汰圧が働かない。

カンブリア爆発が起きた浅海の動物達がどんな色をしていたのか。復元図が示されているのだが体毛や殻の表面に回折格子が出来ていて鮮やかな虹色を示している。実際にアンモナイトの化石は金属的なオパール光沢ー真珠を想像してもらえばいいーを備えている。虹色のメリットは詳細には説明されていないがおそらく保護色として働く効果があったのだろう。アマゾンのエンジェルフィッシュの銀色の体も散乱光の中では姿を隠す働きをする。

では一体何が眼の誕生を促したのか?これまた明確な答えはないがカンブリア紀の地表や浅海は現在よりももっと暗かったと考えられている。例えば空気中の水蒸気量が減ったためか、太陽系が宇宙塵の多い銀河の腕から抜け出たためか定かではない。ただ世界が明るくなったのがきっかけではないかと言う。スノーボールアースからは3200万年の開きがあるので氷が溶けてもまだ世界は暗いまだだったのか。答えはよく分からない。

宇宙論のビッグバンも生物進化のビッグバンも最初の一言は「光あれ」だったのかも。

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紙の本

光スイッチ説とは驚天動地!

2006/05/30 12:45

7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者:k-kana - この投稿者のレビュー一覧を見る

三葉虫——甲殻類と言ってよいかな?——を中心に、思いっきりさまざまな姿形をした、大小の動物群が海中を泳ぎ回っているといった、カラフルな挿し絵を見たことがある。「カンブリア紀の爆発」との説明が付いていた。5億4300万年前のわずか500万年間に、現生の主要な動物グループがいっせいに硬い殻を進化させ、複雑な外部形態をもつようになった進化の大事変、これがカンブリア紀の爆発だ。動物進化のビッグバンとも。
ダーウィンによれば、動物の多様性は永続的な分岐プロセスによる進化の結果である。物理的環境や生物的環境はたえず変化している。生物種も、最適なデザインを維持するためにたえず変化する必要があるから。ところが、長期にわたる漸進的な進化が続いたあと、突如として起こる大進化によって停滞が破られる。短期間に爆発的な進化が炸裂する。
この「カンブリア紀の爆発」と呼ばれる出来事の起爆剤は何だったのか。著者の主張するのは、まさにユニークな「光スイッチ説」である。生物が太陽光線を視覚信号として本格的に利用し始めたことが爆発に至るという。「眼」の獲得というクライマックスがあるのだ。専門家の見解はいざ知らず、まさに驚天動地の仮説ではないか!
眼の最初の出発点は、光感受性のある皮膚の斑点であったろう。先カンブリア時代の終わりに、三葉虫では光感受性をもつ部位が精度を増してユニットに分かれていった。個々のユニットの神経が増え、それにつながる脳細胞も発達した。同時に、ユニットの覆いがふくらみ、集光力を持つようになる。そうした変化が累積され複眼が形成された。
カンブリア紀初頭、地球上のすべての海で、眼と捕食用付属肢をそなえた三葉虫が姿を現した。能動的な捕食の時代が到来したといえる。高度の機動性がともなえば、眼ほど便利なものはない。離れたところからでも、食物を見つけられる。動物の大きさも、形も、色もわかる。さらに、その行動も見てとれるので、逃げ足はどれくらい速いか、捕まえられそうかどうかの判断もできる。
カンブリア紀の爆発は、すべてが視覚に頼る捕食者から身を護るための進化だったといえる。あらゆる動物が、視覚に適応するための進化を迫られた。もたもたしていれば食われてしまうし、獲物を取り逃がしてしまう。かくしてカンブリア紀初頭に、視覚への適応レースが演じられた。現行の「生命の法則」が成立するまでの大混乱こそが、カンブリア紀の爆発だった。
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