ビジュアル物理全史 ビッグバンから量子的復活まで

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投稿者：永遠のチャレンジャー　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

ビジュアル版を謳う本書は、１頁２列組の本文に写真がふんだんに盛り込まれ、図鑑並みに堅牢で、紙質も発色も極めて良好なハードカバーの上製本である。副題どおり、ビッグバンから量子的復活までを壮大に活写する、肩の凝らない＜物理学の旅案内＞だ。

年代順解説の項目の多くに、関連の深い科学者たちの名前が挙げられる。解説文は、科学雑誌の記事のように読みやすい。巻末の「人名索引」で辿れば関連項目を確認することができるし、個別頁に「参照」項目が列挙されているので、「項目索引」がない欠点を補えるだろう。

難しい用語を「訳注」が補説してくれるが、引用する発言や文章への注記や参考文献の頁はない。その代わりに出版社Ｗｅｂアドレスが巻末に記載されており、熱心な読者には「注と参考文献」を記載した全２６頁のＰＤＦファイルが別途提供される。

サイエンスライターの著者は「はじめに」（物理学の範囲）の中で、悲観論と楽観論の相乗効果が新しい物理学の発見を推し進め、新しい考え方（科学の方法）が生み出されてきた物理学の歩みに触れている。

原題でMilestoneと呼ばれる２５０項目に、著者は独自の観点から、「キラーウェーブ」「野球のカーブ球」「ゴルフボールのくぼみ」「スーパーボール」「光が届かない場所がある部屋」など、一般にも馴染みのある商品や興味深い現象を取り上げる。

一方で、「戦争チューバ（空中聴音機）」「シリーパティ」「トカマク」など余り知られていない素材や装置をも紹介している。２５０個もの「画期的な出来事」と捉えれば良いのだろう。

「キャヴェンディッシュ、地球の重さを量る」は当然首肯できるにしても、「スティーヴン・ホーキング、『スタートレック』に出演」が“epoch-making”（画期的）だとは恐れ入った。