「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
【講談社本田靖春ノンフィクション賞(第42回)】原発が暴発・暴走するなか、地震・津波被災者の救助や避難誘導、さらには原発構内での給水活動や火災対応にもあたった福島県双葉消防本部の消防士約70名が、地元消防の苦難と葛藤を初めて語る。『世界』連載を大幅に加筆。【「TRC MARC」の商品解説】
われわれは生きて戻れるのか? ――原発が爆発・暴走するなか,地震・津波被害者の救助や避難誘導,さらには原発構内での給水活動や火災対応にもあたった福島県双葉消防本部一二五名の消防士たち.原発事故ゆえ他県消防の応援も得られず,不眠不休で続けられた地元消防の活動と葛藤を,消防士たちが初めて語った.一人ひとりへの丹念な取材にもとづく渾身の記録.【商品解説】
目次
- プロローグ
- 1 大震災発生──3月11日
- 2 暴走する原発──3月12日
- 3 原発構内へ──3月13日
- 4 三号機爆発──3月14日
- 5 「さよなら会議」──3月15日
- 6 四号機火災──3月16日
- 7 仕事と家族の間で──3月17日~月末
- 8 孤塁を守る
著者紹介
吉田千亜
- 略歴
- 〈吉田千亜〉1977年生まれ。フリーライター。福島第一原発事故後、被害者・避難者の取材、サポートを続ける。著書に「ルポ母子避難」「その後の福島」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
地元消防士が初めて語る福島原発事故。事故から九年を経て初めて語られる事実がある。
2020/04/03 16:01
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ぴんさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
東日本大震災の原発事故下で不眠不休の活動を続けた双葉地方広域市町村圏組合消防本部(福島県)の消防士たちの活動を記録した書籍。東日本大震災。応援はおろか満足な情報もない中、救助・救急活動に携わった地元消防士たちの覚悟、怒り、苦悩、そして葛藤。読みながら何度息をのんだことか。もう9年ではなく、「まだ」9年なのだと著者は記す。そして、自分の無力を感じ「バトンを渡す」という思いで書き続けてきたと。1人でも多くの人がそのバトンを受け取るべきだ。今も『孤塁』を守る人たちに思いをはせながら。
紙の本
福島第一原発事故で活動した地元消防士の記録
2021/06/14 07:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:YK - この投稿者のレビュー一覧を見る
福島第一原発事故では東京電力の原発職員の方や、自衛隊やハイパーレスキューなど数多くの方の献身的な活動のおかげで、最悪の状況を脱することができました。その一連の事故の下、地元消防である双葉郡消防本部に属した130名余りの消防士の方の活動の記録です。
原発事故があった場合に消防が担うべき役割は避難誘導とされていましたが、空間線量が上昇している事実も知らされないまま任務に従事する状況となっていました。事故の状況が悪化するにつれ、消防の担う役割が、なし崩し的に原発構内での消防活動への協力へとエスカレートします。それでも錯綜する状況から、その活動によって被るリスクなどの正確な情報は伝えられないままでした。
1号機、3号機の水素爆発の後、構内活動への協力要請を受諾するかどうかの会議では「特攻隊と同じではないか」、「自分たちは捨て石になるしかないのか」とまで追い詰められていました。
一方、自身の家族への連絡、安否確認はほとんどできないまま、活動を強いられる状況となっていました。「消防士の使命は国民の生命、身体、財産を守ることだ。しかし、自分の家族も国民だ。どうして自分の家族を守り、”避難しよう”と導くことができないのか。家族の恐怖や苦労をしのび、声を上げて泣いた(本文抜粋)」
さらに過酷であったのは、空間線量の高い地域からの傷病者の搬送の際、受入側の地域で差別のような視線を向けられたことでした。自らの家族が避難先で、放射能汚染を持ち込んでいるのではないかと疑われ、スクリーニングの証明書を持参するように依頼されたり、「我々は汚物ですから」と証言した消防士もいました。
最も危険な最前線で活動せざるを得なかった人たちが差別的な視線にさらされた事実は、昨今のコロナウイルス感染の拡大の状況下で活動されている医療関係者の家族への”いじめ”があったという報道を思い起こさせます。非常時において一般の市民の気持ちの余裕がなくなりつつある今こそ、寛容な気持ちを持ち続けることの重要性を認識させられるノンフィクションでした。
紙の本
偉大な消防士たち
2021/01/31 09:25
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nobita - この投稿者のレビュー一覧を見る
読み応えのあるドキュメントで且つ生き様である。老若男女に読んでほしい。地震被害・原発被災を消防士の眼から鋭くみている。自己犠牲で戦った消防士の姿を感じ、日本も捨てたもんではないと思った。一方、当事者能力・責任を持たない原発を推進してきた政治家・東電は捨てなければならないと強く感じた。
44年前に仙台で研修し、岩手、青森、福島など東北6県の方々と接する機会があった。私が住んでいる広島の方と異なり、とても心優しい方々が多かった。新聞で女川での震災死亡者の名前を見たとき、とても辛く思った。この本を読んで、今年こそ、東北にお祈りに行かなければならないと思った。
紙の本
忘れないぞ
2020/05/24 11:16
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:怪人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
9年前の東日本大震災は自然の力に驚愕させられた。それとともに福島原発事故という人間が造り出した最大級の惨事と重なったことに重大な意味がある。自然災害は規模の大小を問わず常に起こりうるが、対策を施していくことによって被害を軽減させることができる。しかし、この原発事故は起こらないと信じ込み、津波対策を十分に想定しなかったが故に起きてしまったことにより、災害被害を大きく増幅させてしまったものだ。
本書は原発事故の地元を所管する双葉消防本部の震災時の活動記録である。原発事故の消火活動について東京消防庁や自衛隊ヘリなどの活躍が報じられ、国民の多くは地元の消防署員がこれほどの活躍と悪戦苦闘を演じたことは知らないだろう。消防署員自身の家族は全国各地へ避難する一方で地元に残り消防活動を行っている姿には職務とは言え感動する。少ない情報と見えない放射能汚染の中での活動である。人々の震災記憶が薄れていくのも早いが、知られていない双葉消防本部の活動は忘れる記憶にもならないのだろう。
原発事故に対する東京電力の一連の対応には怒りをこえて呆れてしまう。夫々の立場で様々な意見があろうが、津波対策工事をしておけば地震津波の襲来は防げないが、被害は軽傷で済んだであろう。事故は起きないとするゼロリスクを標榜していたのであればそのための対策は十分に安全側の外力を想定して実施しておくべきだった。そのちょっとした安全側の対策を行って事故を免れた別会社の原発も近傍にあるのだ。東京電力の責任は筆舌に尽くせないほど重い。
紙の本
消防士たちが戦った記録を今こそ岩波書店の作品で読む
2020/12/19 12:12
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ミエル - この投稿者のレビュー一覧を見る
震災時の休む間もなく救助活動する消防士たち。大地震だけでも想定を大きく超えていた。わずかな情報しかないなか津波や原発にも直感で立ち向かうしかなく、本当に運良く生き残った消防士たちの活動を追った作品。消防士たちは震災のすべてを体験させられた。もし原子炉が爆発していたとしても、双葉郡の消防士たちは出動させられていただろう。今でも災害時の情報の流れ方は課題になったままではないかと感じた。