紙の本
新しい王とは誰?
2023/08/01 16:22
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
"アニメではなく漫画版のナウシカを語るという稀有の本、 「私は王にはならぬ、すでに新しい王を持っている」というクシャナの即位辞退宣言について著者は「ここに見える新しい王がだれを指しているのか、わたしはついに突きとめ切れずにいる」と告白する、私も新しい王はナウシカに決まっているだろうと長年思っていたのだが、その考えが最近揺らいできている"
紙の本
ファンレター。
2020/08/07 10:17
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投稿者:名取の姫小松 - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮崎駿の漫画版『風の谷のナウシカ』の論考。『ナウシカ』以前に描かれた別の漫画との関連性も事細かに述べられている。民俗学的な側面からというよりも、熱烈なファンレターのように読めた。
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ナウシカのアニメではなく、漫画版の考察である。漫画版を通読したのは20年くらい前であり、事前に読み返した方が良かった。漫画版は宮崎氏が足掛け13年に渡って書き上げたもので、その間にはラピュタ、トトロ、千尋を作っている最中は中断するという長丁場だ。この本を読み、改めてこの話の奥深さを認識することとなった。母と子の視点などは、自分では考えたことも無かったので、良かった。人間社会と環境問題を宮崎氏独特の世界観を持って書き上げたこの漫画は、漫画の最高傑作のひとつであろう。昨今世界的に環境問題が大きくクローズアップされている。願わくばジブリでもネットフリックスでもどこでも良いので、全編が原作通りに映像化されますように。
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ナウシカファンとして購入。はっきり言って全く面白くなかった。オタク的ウンチクも、批評的鋭さも感じず、なんか義務的に脱稿された文字のまとまりにすぎない印象。オタク、ファンなら別のナウシカ本をあたるべし。本書でも主たる批評書の言及があるのでそちらを参照されたい。
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そうであって普通、当然なんですけど、宮崎駿さんや「風の谷のナウシカ」を超えることはありませんでした。
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この本を読む前に、ナウシカ原作全巻を読みなおした。
もう30年ほど前に買った本だ。
当時、最終巻が待ち望まれた漫画がナウシカとアキラだったことを思い出した。
この壮大な物語のあとで、作者の論考を読む。なるほどこんな系譜もあるのかという感想とともに押し寄せるのは、映画を見た後に、その作品がすごく好きな人から解説を聞いるような気分だ。
原作者不在というなかで、ここまで持論を膨らませて論文をなすのは悪くないなと思う。
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マンガ版「風の谷のナウシカ」を読み解く一冊。自分もこれまでに読破した3回のうち2回は熱を出してる重い問を投げかけてくるマンガ。この本の著者も25年の歳月をかけて本の形にした。
宮崎駿がナウシカをどのように描き上げていき、ナウシカたちが作者の宮崎駿の手を離れ勝手に動き始めていったかがうっすらと見えてくるような気になった。もう一度漫画版を読まねばという衝動に駆られるが、生半可な気合では手をつけられないのもマンガ版風の谷のナウシカ。
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「風の谷のナウシカ」を読み返さずにこの本を読んだので大丈夫かと思っていたが,かなり丁寧に引用してくれていたので思い出しながら読めて分かりやすかった.アニメ版との対比,他の宮崎駿作品との関連性など詳細に分析し,色々考えさせられることの多いナウシカを綺麗に整理整頓してくれた.最後のドストエフスキーが出てきたのにはびっくりしたが,これだけが,ちょっと分かりずらかった.とにかくまた漫画を読み返してみようと思う.
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かなり厳しいなぁ。
酒飲みながら友達と語り合うようなレベル、と感じられることが難しい言葉を並べて語られているように思われた。
別にそういうのが嫌いな訳じゃない。
エヴァの第一期ブーム?の頃に出された考察本みたいなのを読んだ時の感じに似ている。あぁ、この人はこういうの好きなんだなぁ、って言うような。
でも、なんか自論に自信があるんだか無いんだか分からない言葉が気になった。
関西人のように「まっ、知らんけど」と、言い切るくらいの覚悟が欲しいなぁ。
1年半かけてようやく読み終わった。何とか読み終わった。何年か経ったら、こういう評論の評価もされていくんだろう。
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表紙は第5巻のナウシカの呟きを採っている。
虚無にいわれるまでもなく
私達が
呪われた種族なのは
判っている
大地を傷つけ 奪いとり 汚し 焼き尽くすだけの
もっとも醜いいきもの
この後、虚無的になったナウシカはメーヴェに乗って王蟲のところへ行き、大海嘯の後に腐海の苗床になり大地の傷を癒そうとしている王蟲と共に、腐海の一部になろうと沈んでゆくのである。その瞬間、王蟲はナウシカを救うためにナウシカを食べる。
もはやナウシカは、青き衣をまとった救世主ではなく、滅びゆく世界の仕組みを探し求める旅人でしかない。宮崎駿が、戸惑い探りながら作り上げた神話的物語。‥‥なんのことやらわかんないですよね。基本はやはり全7巻を読んでもらうか、この本をじっくり読むしかない(絵は少ないが、台詞はかなり採用している)。
どうやら初めて本格的に現れたマンガ版「風の谷のナウシカ」論らしい。82年に連載開始、何度もの中断のあとに94年に全7巻が完結。「アニメと原作は全くの別物である」ことは、知る人ぞ知られている。私は、最終巻は特に暗く難解で、正直戸惑った。どう言葉にしていいのかわからないままに本棚の奥に仕舞われて25年が経った。
そのあと「もののけ姫」(98年)は、正にマンガ版ナウシカだと私は思ったものだが、それさえも宮崎駿は否定して行った。もちろん宮崎駿の暗い衝動は、鈴木プロデューサーの仕掛けで巧妙に隠されている。この本は、直近アニメとの関連は、ほとんど言及されていない。残された課題は、そこだろう。
赤坂憲雄は、私の比較的信頼する民俗学者である。もちろん、民俗学含む人類学のバイアスがかなり掛かっていて、もう少し別の読み方も出来る余地があると私は思っている。ただし、赤坂氏も言うように「裏読み」的な読み方(隠されたメッセージを探る→マニアックな読み方)には、私も与(くみ)しない。絵も含めた物語と直に向き合う。豊穣な物語世界が、この全7巻の中にあることを改めて確認させて貰った。
短い書評で、赤坂憲雄版「ナウシカ論」を紹介することはできない。「ナウシカ」は反黙示録である。と言っても、なんことやらさっぱりわからないでしょ?私的には、最後の巨神兵が何故あんな「変容」を遂げたのか、今回やっと言葉でなんとか説明できる気がしてきた。とっても面白かった、とだけ言っておこう。
※本の趣旨とは関係ない処で啓示を貰うのは、読書の喜びのひとつである。文字を持たないナウシカ的世界の中で、文字がいかに世界を支配して変えようとしたかを、「ナウシカ」はもしかしたら見事に描いていたかもしれない。日本の古代、弥生時代は、もしかしたら意識的に文字を拒否していた可能性がある。もう一度、埃を被った本棚から引っ張り出して読む必要があるだろう。
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漫画版風の谷のナウシカの読本。
アニメ版と漫画版ではまったく別のものであることは広く知られているとは思いますが、この本を読む前に改めて漫画版を読み、この本を読み切り、ナウシカという世界が複雑で示唆に富む内容であったことを知りました。
いろいろな知識を持っていない私は理解していない部分も多々あり、まだまだ漫画版とこの本を読みかえしていく必要があると感じます。
風の谷のナウシカの世界に一度は魅了されたことがある方、是非読んだ方が良いと思います。
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「マンガという表現の可能性を信じている」という締めくくりに共感。赤坂氏の論考もさることながら、そもそも宮崎駿のこのマンガに込めた思想がすごかったのだとあらためて。
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マンガ「風の谷のナウシカ」を論じた大作。民俗学者である著者が、ひたすらにテキストとしてナウシカを読み込み、解釈した試み。かなり好き。
本書は25年間の考察を経て2019年11月に出版、マンガ「ナウシカ」の思想に真っ向から挑み、地理、世界史、民俗学、神話や文学など現実の文脈のなかにナウシカを位置付け、さまざまな角度から読み込んだ野心的な本です。
宮崎駿の思想の到達点など、丁寧にな解釈が面白い。
この本を読みながら、「ジブリ」と同時代であった幸運をつくづく感じました。
続きはブログへー!
https://hana-87.jp/2021/03/27/nausicaa_kou/
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実は本書の出版をSNSで知ったのが、こんなに駿やジブリに集中するきっかけになったのだ。
この本、カバーイラストがまず素敵。なんでもジブリは関連書籍に厳しいらしく、研究書に原作を引用する許可を出したのは初めてなのだとか。
そして引用文のフォント。
漫画版に合わせて、漢字はゴシック、ひらがなは明朝、というその拘りように、感動したのである。
読んで気づいたが、章が4つ、1章を除いて2-4章の節が4つ、その中で項が3つずつ、と構成も美しい。
そうこうするうちにコロナ禍、マスクあれこれ、映画館でジブリキャンペーン、と世相とも合致。(読後知ったが、数日後にナウシカ歌舞伎の配信が始まるそうだ。)
さて駿のフィルモグラフィーを経て、本書を読んでみて、すっきり理解したかといえば、全っ然。
だって原作自体が、混迷の中に終始しているのだ。
結局「ミソもクソも一緒に生きようという考えしか、これからの世界には対応しようがない」(『虫眼とアニ眼』)のだから。
章、節、項ごとにキーフレーズを拾った、それは非公開読書メモに書くが、さらにピックアップすれば、
西域憧憬。部族社会。陸風、海風。背負う。首長制。孤児。擬態としての母。語りは鏡。境界で対峙を繋ぐ。家族の幻想。贖罪。カリスマ。自己犠牲。贖罪。国家の権力意思。カリスマ。二元論への懐疑。1000年、300年の断絶。生態系。年代記。ポリフォニー。文字から分泌される権力。反ー黙示録。
決定版ではない。なぜなら原作が決定版という位置づけを拒んでいるから。
ずっと現在であり、未来に棚上げ・保留せざるを得ないのに現在形で気になり続ける作品に、立ち向かい続けるための、本書はひとつの棒だ。
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はじめに
第一章 西域幻想
1 秘められた原点
アニメとマンガのあいだ
はじまりの風景から
宮崎駿の種子をもとめて
2 神人の土地へ
小さな谷の王国
旅立ちのときに
奴隷とはなにか,という問いへ
第二章 風の谷
1 風の一族
部族社会としての風の谷
腐海のほとりに暮らす
風車とメーヴェのある風景
2 蟲愛ずる姫
背負う者の哀しみとともに
ギリシャ神話のなかの原像
血にまみれた航海者との出会い
3 子守り歌
孤児たちの物語の群れ
あらかじめ壊れた母と子の物語
擬態としての母を演じる
4 不思議な力
物語られる少女の肖像
境界にたたずむ人
王蟲の心を覗くな,という
第三章 腐 海
1 森の人
水と火と調和にかけて
火を捨てて,腐海へ
世界を亡ぼした火とともに
2 蟲使い
たがいに影として森に生きる
武器商人から穢れの民へ
森が生まれるはじまりの朝に
3 青き衣の者
ふたつの歴史の切断があった
邪教と予言が顕われるとき
犠牲,または自己犠牲について
4 黒い森
腐海の謎���読みほどくために
第三の自然としての腐海
喰う/喰われる,その果てに
第四章 黙示録
1 年代記
年代記と語りと声と
いくつかの歴史語りが交叉する
文字による専制が産み落とした偽王たち
2 生命をあやつる技術
悪魔の技の封印がほどかれる
帝国を支える宗教的呪力の源泉として
対話篇,シュワの庭にて
3 虚無と無垢
呪われた種族の血まみれの女
内なる森を,腐海の尽きるところへ
名づけること,巨神兵からオーマへ
4 千年王国
千年という時間を抱いて
墓所の主との言葉戦いから
物語の終わりに
終 章 宮崎駿の詩学へ
おもな参考文献
あとがき
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私はあまり作品を批評したり考察したりする本を読まない方で、それはどこか上から目線に何だかズレた論点で作品が語られることに我慢ならなかったりするから
でもこれは違った
民俗学という学問からナウシカについて考えたことなど今まで全くなかったけれどその視点自体がとても面白かった
そしてそれだけでなく、25年もかけて書き上げているからこその熱量、そして作家や作品への愛を強く感じた
これはただの上から目線の本ではない
作品と対等に向き合おうとするその姿から溢れ出る愛が心になだれこんでくるような、魂が込められた本だと思う